エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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気づけばいつの間にか2020年代に突入。COVID-19の影響もあり、オンライン化が急速に進む昨今、いまでも注目を集めているのがオウンドメディア運用です。
ストック型のコンテンツマーケティングにより運用型広告以上の成果を上げる可能性がある一方で、「オウンドメディアはオワコン」なんて囁かれることもしばしば。
これからのオウンドメディアは、どう変化していくのでしょうか?
今回は、急成長中のBtoB向けメディア『Web幹事』を運営するユーティル株式会社CEO・岩田真さんと、過去にハウツーメディア『nanapi』の運営に携わり、現在はナイル株式会社で編集者としてご活躍されている高林勇秀さんをお招きし、オウンドメディア運用のこれからについて座談会形式で議論していきます。
(本記事ではオンラインイベント『2020年代、オウンドメディアはどうなっていくんだろう?① #オウンドメディア2020』のレポートをお届けします)
出版社にて書籍・雑誌の編集に10年携わった後、ハウツーサイトをはじめとした複数のウェブメディア運営を行う。現在はナイル株式会社にて、オウンドメディアの記事やサービスサイトのページを制作。おもに金融、法律、医療といったジャンルを担当。娘が2人、息子が1人います。
早稲田大学および同大学院でメディア表象にかんする研究に携わった後、2018年に株式会社GIG入社。編集者兼マーケターとしてクライアント企業のコンテンツ支援や採用支援を行うほか、オウンドメディア『Workship MAGAZINE』の編集長を務める。業務外でも趣味でウェブメディア『クレイジースタディ』を主宰するなど、根っからのメディア好き。趣味はダンス、作曲、イラスト制作など。
じきるう:まずはお二人が担当しているオウンドメディアの目的について、お伺いしてもよろしいですか?
岩田:『Web幹事』のコアは、Web制作会社と企業のマッチングサービスなので、そこでの集客を目的にスタートしました。全体の構成もLPっぽいものではなく、ポータルサイト+オウンドメディアみたいな座組みにしながらSEOを重視しています。ポータルサイトの側面を活用してロングテールのキーワードをとりながら、並行してノウハウコンテンツを展開して伸ばしていきました。
高林:私はクライアントのオウンドメディア支援がメインですが、弊社はSEOに強みを持っているため、基本的には集客を増やすためのリード獲得でのお問い合せが多いですね。
じきるう:やはり集客を目的とするケースが多いですよね。ちなみにボクが担当している『Workship MAGAZINE』は集客もそうですが、SNSでの言及や指名検索数増加など、ブランディングをメインに運営しています。
高林さんにお聞きしたいのですが……クライアントのオウンドメディア運営を支援するにあたって、PVなどの集客面と、クリック率や会員登録といったコンバージョン、どちらを求められることが多いですか?
高林:それこそメディアを運営する目的によると思います。ククライアントさまにヒアリングして、コミュニケーションをとりながらKPIなどを一緒に設計することもあります。目的のかけ違いが起きないよう努めています。
岩田:そういう意味でいうと、弊社はけっこう雑かもしれないです(笑)。オウンドメディア立ち上げから2年経つのですが、フェーズによってKPIも変えています。初期段階ではとにかく記事量産してPV数を上げることに専念していましたし、PVが上がってきたらCVを意識するようになり、CVが取れ始めたら領域を増やすためにまた記事数を増やし……どんどん変遷していきました。
じきるう:状況に応じてKPIを変えるのも大事なことですよね。
岩田:PVをKPIにしない方がいい、みたいな話もありますが、個人的にはPVを指標にするのは全然アリだと思っています。
じきるう:PVやインプレッションがないと、そもそも認知されないですしね。もちろん質は大事だけど、量が少なすぎるとリピーターを獲得できない。実際にうちのメディアでは、記事配信数を月60本にしたときと月20本にしたときで、前者の方が再訪問率が高いというデータも取れています。
じきるう:続いて、オウンドメディアを運営する中で生まれた効果と、その効果が出始めるまでにかかった時間についてお伺いしたいです。
岩田:Web幹事では「効果=コンバージョン(お問い合わせ)」と設定して追いかけていましたが、初期フェーズはぜんぜん上手くいきませんでした。問い合わせが全然こない時期が続いたり、サイト全体のPVが落ちたり……。我慢の時期はつらかったです。成果が出始めたのは、運営開始から9〜10ヶ月くらいですね。
じきるう:9〜10ヶ月は、むしろ早い方じゃないですか? オウンドメディアの成果が出始めるまで、最低でも2〜3年はかかると以前聞いたことがあります。
高林:オウンドメディアのフェーズや規模感によってさまざまだと思います。弊社が支援している金融系クライアントのオウンドメディアでは、半年くらいで成果が出始めた例も。また月5〜10本くらい記事を作って、3年かけてトラフィックが20倍になったケースもあります。
新規記事を作るだけでなく、記事のリライトを定期的に行うのも効果的だと考えています。タイトルやディスクリプションを変更するだけでも、検索順位が上がることはよくありますしね。
岩田:リライト方法における「あるある」はありますか?
高林:まずは競合と比較して、足りない部分を補完したり、オリジナリティを足したり。検索結果で公的機関の情報が上位を占めているケースなどは、順位が上がりづらいと判断して、リライトしないこともあります。リソースや優先順位の関係で、リライトすべき記事を決めていますね。
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Workship MAGAZINE
じきるう:お二人が担当されているオウンドメディアの調子は、最近どうですか?
岩田:ありがたいことに伸びています。ただ、最近はいい意味で「型」が出来つつあるので、その中で差別化するにはどうしたらいいんだろう?というフェーズにきている気がします。検索上位に出てくる記事ってどれも高品質だけど、みんな同じようなフォーマットですよね。検索順位を上げる方法は調べればすぐ出てくるので、競合から一歩抜け出すために差別化を頑張らないといけないですよね。
じきるう:競合と差別化するために、意識されていることはありますか?
高林:クライアントのオウンドメディアに関しては、その企業に直接ヒアリングさせていただくケースもあります。それぞれの企業が持っているノウハウや専門的な知見は、ファクトチェックやオリジナリティを追加することにつながるので。
じきるう:オリジナリティを作り出すためには、専門家や知見がある人との関わり(取材・監修など)は避けられないという意見もありますよね。
高林:弊社のツールで分析したら、2020年5月のGoogleアルゴリズムアップデートで、企業ドメインの方が個人ブログよりも評価される傾向があるというデータは取れています。これはつまり著者や情報元がどこなのかが重視されているんじゃないかなと。これからのメディアに不可欠な要素だと感じています。
じきるう:話は変わりますが、最近気になっているメディアがあれば教えていただきたいです。
岩田:私はmotoさんが運営している『転職アンテナ』が気になっています。
岩田:有名なメディアなので既知の人も多いと思いますが、私は最近知って感動しました。「転職」とか「人材」という超絶大変なクエリで結果を出しているだけでなく、記事数が20本程度と極めて少ない。オウンドメディアの行き着く先は、これがひとつの答えなんだろうなという気さえしています。
企業ドメインが評価されやすくなってきているというデータは確かにありますが、個人か企業かは関係なく、運営元にオーソリティ(権威性)があるかが重要かなと。運営主のmotoさんはTwitterのフォロワーが12万人くらいいらっしゃるので、SNS活用も大事になってくると再確認させられました。
じきるう:少しいじわるな質問ですが……知名度がなく、また有識者でもない人が、いまからメディアやブログをやるのは難しいでしょうか?
岩田:正直に言って……うーん、難しいかなと。何かしらの強みや専門性がないと厳しいのは、メディアに限らず、SNSでも同じだなと痛感しています。逆に、裏事情まで知ってるレベルの人たちが作るコンテンツって、企業/個人関係なく、とても貴重だしめちゃくちゃ強いんです。
高林:僕はクラシコムさんが運営している『北欧、暮らしの道具店』が気になってますね。最近はドラマや映画も製作しているので、今後どこまでいくのか気になっています。
ベースがECサイトなので、買おうと思ってサイトを訪れた人に向けてコンテンツを投げれば良し。「態度変容を促さなくていい」という考え方で運営されているのがポイントかなと思います。お客さんになるかもしれない人にどうやってリーチするかが、オウンドメディア運営の肝になってくるのではないでしょうか。
じきるう:お二人はそれぞれの担当オウンドメディアを、今後どのようにしていきたいですか?
岩田:Web幹事については、いい意味で「脱SEO」を目指していきたいです。今後、オウンドメディアが生き残っていくためには、単に読み物として成立するだけではダメで、SNSで言及されるようなコンテンツを発信していく必要性も感じています。
じきるう:Workship MAGAZINEの場合、SNSでの言及が増えたら、SEOもよくなる肌感があります。キーワードを意識しつつも、SNSウケしそうなタイトルにすることで検索上位を獲得できるケースも増えてきたので、いろいろ実験しながら何がうまくいくのか探っています。
高林:僕もお二人と近くて、いろんなパターンでコンテンツの届け方を試していきたいです。SEOだと「点」でしかユーザーと接点を持てないので、「面」でも接点を持つためにUGCを生み出す施策について知見を深めたいです。
じきるう:SNS文脈だと、最近ナイルさんは全社的にTwitterを強化していますよね。
高林:よく見てますね……(笑)。ソーシャルでの企業認知向上の他に、採用面でも活きている実感があります。面接に来る人が弊社社員のTwitterをフォローしていたり、複合的に露出することでいろんな効果があると分かってきたところです。
岩田:弊社もSNSは活用していますが、そこまで明確に目的を決めずにゆるくやっています。ゆるくやっていても、コンテンツのデリバリー手段として有効だなと感じる場面は多いので、SNSの重要性は今後もどんどん大きくなりそうですね。
じきるう:最後の質問ですが、今後オウンドメディアはどんな立ち位置になっていくと思いますか? 先ほどSNSの重要性が増していくというお話もありましたが……。
岩田:BtoB領域に関しては、まだまだ検索マーケットでも攻め所はたくさんあると思います。一方でBtoC領域は大量のインプレッションが必要なので、いろんなチャネルを使い分けないと存続するのが難しいと感じます。
そういう意味でも、コンテンツは使い回す前提で作るべきだなと。たとえばYouTubeやSNSで使う動画コンテンツを作ったとして、それを文字に起こしてオウンドメディアに掲載したり。全部別々でやってたら相当しんどいので、形を変えて使い回すのが賢明かなと。
じきるう:たしかに。ちなみにこのセミナーも、後日Workship MAGAZINEで文字起こしして掲載します。(※この記事です)
高林:もう少し抽象的な観点だと、僕は「愛されるメディア」を作っていくべきだと考えています。オウンドメディアは運営が大変なイメージもありますが、認知されて愛されることでユーザーと接点もできるし、企業の発展に大きく貢献してくれます。まだまだオウンドメディアの価値はあるので、これからも学び続けたいです。
この後も、参加者からの質問に丁寧に答えながら、セミナー終了予定時刻を過ぎても白熱した議論が繰り広げられました。
これからのオウンドメディアはどうなっていくのか。答えを追求するべく、次回の開催に期待したいです。
(執筆:岡田隆太郎 編集:じきるう)
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