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「好きじゃなきゃ続かない」オウンドメディア運営のお金事情【LISKUL × Workship MAGAZINE 編集長座談会】

オウンドメディア座談会
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MARKETER

2019年2月27日、隅田川に臨むオフィスビルの一角。株式会社GIGに、新進気鋭のWebメディア編集長が集った──。

GIGINC

……というわけで、Workship MAGAZINE運営元である株式会社GIGは、『「オウンドメディア×お金」の話。ぶっちゃけオウンドメディアってどれくらいお金かかるの?そして稼げるの?』と題したパネルディスカッションを開催。

株式会社ホットリンクCMOで元ferret編集長の飯髙悠太氏をファシリテーターにお迎えし、LISKUL編集長・五味田雄斗と、Workship MAGAZINE編集長・内田一良(じきるう)がオウンドメディアのお金周りを赤裸々に語りました。

若くしてオウンドメディアの編集長を担う2人がぶちまけた「メディア愛」とは? アツくて切ないオウンドメディアのリアルをお届けします。

五味田 雄斗(イツミダ)
五味田 雄斗(イツミダ)

ソウルドアウト株式会社所属。編集としてコンテンツ制作にあたり、ビジネスユーザーがメインのLISKULで10万PVを底上げ。2018年10月よりLISKUL編集長。現在は編集とコンテンツ管理を主に、新サービス立ち上げにも参画。 Twitter:@so_kokemida

内田 一良(じきるう)
内田 一良(じきるう)

Workship MAGAZINE編集長。毎月60本前後の記事を配信し、MAXで月間370万PVを達成。テクノロジーとクリエイティブが好き。ダンス歴20年で象使いの免許を持つ。Twitter:@kazzikill

飯髙 悠太
飯髙 悠太

元ferret創刊編集長。現在は株式会社ホットリンクCMO。Twitter:@yutaiitaka

※当日の模様はTwitterハッシュタグ「#メディアお金」でもご覧いただけます。

※座談会の内容は2019年4月当時のものです。現在とは状況が異なる可能性もございます。

オウンドメディア、正直儲かってます?

じきるうイツミダ

テーマが「オウンドメディアって儲かるの?」なので早速、ぶっちゃけお二人のメデイアは儲かってるのか聞きたいんですけど。
Workship MAGAZINEは、メディア単体だといま現在は儲かってないですね。メディア開設から約1年半経ったところなので、そろそろマネタイズ面でも動き始めようとは思っています。
LISKULもマネタイズは始まったばかりです。赤字ではないですが、かなり儲かっているとまでは言えないですね。
でもそもそもお二人のメディアは、メディアそのもので儲けることよりも「自社サービスへの流入やプロダクト貢献」っていう副次的な効果を狙っていくものですよね。であれば両社とも「儲かってる」とまで言えないにしても、かなりの貢献はあるんじゃないですか?
確かに、リード獲得にはかなり貢献していますね。
Workship MAGAZINEも、自社サービスへの流入には大きな効果があります。そういう意味では……「儲かってる」って言ってもいいのかな?
お後がよろしいようで(笑)。

月の運営費は「新車1台買えるくらい」

ちなみにメディア運営には毎月どのくらいコストをかけていますか?
主なコストは、編集部員の人件費、サイト保守運営のエンジニアの人件費、外部ライターさんへの記事発注費ですね。毎月60記事前後リリースしているのもあって、ひと月に新車1台分くらいのお金はかかっていると思います。
LISKULのばあい、ざっくりとしたコスト感でいうと、1記事にかける時間が10時間、月20記事上げているので200時間。1記事の作業量を時給換算すると3,000〜5,000円。合計で月60万〜100万円、っていう計算をしています。
どちらも外部ライターを抱えてるとのことですが、外部ライターの獲得ってどうやってますか?
ライターさんの集まるイベントで勧誘したり、優秀そうな人をTwitterなどで見つけたりしてますね。あと自社サービスのフリーランスプラットフォーム『Workship』から探してきたり……(露骨な宣伝)。
主には社内紹介でライターさんとご縁をいただいています。ライターさんのツテで他のライターさんをご紹介いただくこともありますが、「SEOライティングスキル×専門分野」を兼ね備えた方はなかなかおらず、探すのは正直大変です。

マネタイズはアドネットワークが全てじゃない

イツミダ

先ほどもちょっと挙がりましたが、「メディアのマネタイズどうしてる?」って話を訊いてみましょうか。
最初に思いつくのはアドネットワークの広告掲載ですかね。Workship MAGAZINEでも一部導入していますが、あまり大きな収益にはなりません。そして次にチャレンジしたのが記事広告。しかしそれも単体だと継続して収益化できないので、連載形式にして一度に複数本の記事広告を打つことにもチャレンジしています。
今後考えているのは「自社メディア内にクライアントさんのメディアを作る」という方法です。ちなみにこれは飯髙さんから教わったやり方ですね(笑)。LISKULさんの『RentaLISKUL』とも若干似ています。Workship MAGAZINEのドメインパワーも強くなってきたので、「ウチのドメイン配下で御社のメディアを運営しませんか?」という提案をできたら面白いなと。

ただ、メディア単体でのマネタイズはあくまで副次的なもので、自社サービスのリード獲得や認知拡大のほうに重点を置いています。

LISKULのばあい、もともとは自社(ソウルドアウト)へのリード獲得によって自社に貢献していました。それは今も変わっていません。一方でWebマーケティングの話題を拾っていくうちに、自社のリードにつながらない記事も増えてきました。ある種、いわば「持て余し気味」な記事を、外部に提供することを始めました。例えばMAツールの記事からは、弊社よりもMAベンダーへお問い合わせいただいた方が適切な課題解決が期待できるのではないかと。

ただ、ひとつのキーワードで書ける記事本数は限られていますし、ひとつの記事を複数社に提供するわけにもいきません。すると、その記事のコンバージョン先は提供した特定のMAベンダー、という構図になってしまいます。「それは読者にとって本当に幸せか?」と思って、誕生したのが『LISKULパーフェクトガイド』です。検討ユーザーが納得をもって比較検討できるよう、各カテゴリのサービス資料を集めました。

ちなみに先ほど内田さんが仰っていた『RentaLISKUL』も、多くの企業様からやりたい!とご好評をいただいていますね。LISKULは、WebマーケティングやBtoB分野のキーワードでドメインが評価されています。BtoB企業の方で、「リードに困っているから自社でもメディアを始めようかな」と検討している方にはおすすめです。

今、0からメディアを始めるとドメインパワーの強化とコンテンツの充実に1年くらいの下積みが必要かと思いますが、RentaLISKULを利用して5記事10記事あげれば3ヶ月~半年程度で検索上位に食い込むケースが多いですよ。相性もありますが、CPAが500円程度の事例もあります。

結局はコンテンツの質が大切

それぞれのメディアで、KPIはどこに置いてます?
Workship MAGAZINEのばあい、今はPVですね。最近はコンバージョンをKPIに置いているメディアも多いですけど、PVって結局、一番わかりやすい指標なんですよ。外部に紹介する際にも反応が良いし、PVに比例してコンバージョンも伸びてます。……まあ、あくまで今のところはですけどね(笑)。

そして当たり前ですけど、PVを伸ばすためには「ユーザーにとって有益かつ良質なコンテンツ」をしっかり作る必要がある。粗悪記事ばかりだと、いくら記事数があっても誰にも読まれませんからね。

LISKULは一貫して「Google検索で1位かどうか」を評価しています。ユーザーのニーズを一番捉えた記事が上位になる、という考えが根底にあるからです。

事実、今までの記事もそのように制作して評価されてきましたし、アルゴリズムがアップデートされるたびに検索順位が低かった記事が上位に表示されるようになりました。

リードの数や率は把握しますが、積極的には追いません。なぜなら、CVRは自社にとって都合の良いようにユーザーを操作すれば比較的かんたんに改善できるからです。例えば、ページ上部に誘導枠を置くだけで簡単に2倍3倍になりますし、記事の文脈をリード登録するようにうまく誘導すればある程度上げることができてしまいます。そのためCVRなどを指標にすると、ユーザーを操作する力学が働き、最高のコンテンツを作るという目的からそれてしまうと考えているからです。

マネタイズを意識してからは、需要のありそうなキーワード(≒CPC高い)かつPVの多い記事(≒検索数)を狙っていくという変化はありますが、検索順位をKPIに見ているところは変わりません。

またKPIではなく参考程度にですが、SNSでの反響は個人的に追うようにしています。反響といってもほとんどは「記事タイトル」と「リンク」のシェアでとどまりますが、たまにコメント付きのシェアもあります。メディア自体へのコメントをしてくださる方もいるので、LISKULが貢献したい人へ届いているかを振り返るきっかけにしています。
そうなんですね。

ちなみにferretの話をさせてもらうと、KPIは会員登録数しか見てませんでした。「コンテンツの質がよくないとferretの会員にはなってくれない」という考えが根底にあったので、とにかくそこに注目して、いいコンテンツを作ることに注力しました。流入チャネルもダイレクトを重要視していて、SNSからの流入は全体の1割もなかったと思います。

メディアとSNSの付き合い方。SNS流入をどう捉える?

五味田さんはSNSでの反響も追っているとのことですが、SNSでの言及数を上げるために何か取り組まれていますか?
公式アカウントはもちろん、個人のアカウントでも記事をシェアするようにしています。今はSNSでの言及数を特に上げたいとは思っていないので、他の施策と比べたら優先順位は高くありません。

ただインタビュー記事のような、人物やエピソードを掘り下げる記事がシェアされやすいということはわかってきました。課題解決を目標とした記事は、記事を読んで終わりになりがちで、SNSでのシェアには繋がりにくいです。そのような記事は、あくまで検索結果からたどりつく記事として割り切っています。

SNSは正直、メディアとどのように絡めていくべきか模索段階ですね。それでも発信力のあるメディアと拡散力のあるSNSは相性が良いと思っているので、地道に手探りしている状態です。

ボクはSNS向け記事とSEO記事について、タイトルや文体を明確に分けていますね。五味田さんの仰るとおり、それぞれに求められているものが異なるので。
メディアのSNSって難しいんですよね。「直近1週間でBuzzFeedの記事を見た覚えはあるけど、BuzzFeedの公式アカウントは見てない」って人がほとんどだと思うんですよ。公式アカウントはなかなか見てもらえない。記事は個人アカウントに言及してもらった方が、そのコミュニティ内で話題になりやすい。

つまりメディア運営者なら、自分がどういうフォロワーを持つことによって言及数が増えるかを考えた方がいいですね。

オオカミのコスプレしたらスベった

じきるう

大変だったエピソードとかありますか? 失敗談でもいいですよ。
やっぱり人的リソースの問題には頭を悩ませますよね。SEOの知見もイチから築き上げなければいけませんし。ちなみに弊社のばあい、社内ライターはコンサルタントやクリエイティブ職と兼務なので、実際にはそこまで人件費はかかってないです。

とはいえ、メディアはすぐに結果が出るものではありません。何が正解かわからないまま地道に毎日運営し続けるのは、やっぱりしんどいですね。

ライター確保の問題はメディアにつきものです。直近の話だと、ライターさんが今年の1月に3人ほど抜けてしまって……。あ、別にライターさんに逃げられたわけじゃないですよ! 「本の執筆に専念したい」など、前向きな理由での離脱です。不足した分は、知り合いのツテやSNSなども活用しつつ、早急に新しいライターさんと契約し、なんとか対応しました。

また毎日のメディア運用に忙殺されてしまい、新しいことに挑戦できなくなっている状況もあります。自分がやらなくてもいいことはなるべく外注化し、挑戦するためのリソース確保に努めたいですね。

失敗談でいうと、「オオカミのコスプレして『3びきのこぶた』になぞらえて資金調達方法を解説する」っていう企画記事が大スベりした話とか……(笑)。これはSNSでのバズもSEOも両方取りたいなと欲張ってしまって。カラダ張ったはいいものの、誰向けなのか全くわからない記事になってしまったんですよね。ちゃんと記事のペルソナを決めて、適切なターゲットに届くようにコンテンツを作ることが大切です。

記事広告やアドネットワークに頼り切っているメディアは今後廃れる

ここでディスカッションはタイムアップ。会場からの質疑応答へと移りました。

ーー 1日複数本記事を公開していると、ネタが切れてしまうことはないですか?ネタ探しはどのようにしているのでしょうか?

ありますね、ネタ切れ問題。編集部内でストックするネタは、記事に出てくる専門用語を調べて、記事にできそうなキーワードをピックアップしておいたり、競合メディアから探したりしています。

また弊社はWeb制作会社なので、社員さんはWorkship MAGAZINEの読者層(デジタル系クリエイティブ人材)とほぼ一緒なんですよ。なので、社員さんから欲しいコンテンツをヒアリングすることもよくあります。

そういえばUbersuggestっていうツールもキーワード洗い出しに便利ですよ。Googleのキーワードプランナーに似たシステムで、かつ関連ワードの検索ボリュームを出してくれるスグレモノです。

LISKULでは月に1本インタビュー記事を公開しているのですが、ここでのネタは基本的に自分の悩みからスタートしています。「こういう悩み、他の人も抱えてるんじゃないか」「他の人にとっても価値のあるインタビューなんじゃないか」と思ったら記事にしますね。

ちょうど私が新卒編集長になって右も左もわからないときの悩みを企画にした記事があります。同じ悩みを持つメディア担当者に届けば嬉しいですね。

ーー 記事広告、ネイティブアドといった広告を出稿してくれる企業の獲得方法は?

既存記事をベースにご提案させていただいたことがあります。Workship MAGAZINEはプログラミングスクール関係のキーワードで検索上位を取っているのですが、その記事の中で紹介していたスクールさんと一緒に記事を作らせていただきました

また少し変わった例として、SNSのつながりから案件を獲得したこともあります。企業のSNS担当者同士が絡んでいたら「一緒に何かやりませんか?」とご提案いただいたことがあったんですよ。SNSであらかじめ関係を作ってくと、意外とお仕事に発展することもあるんだと実感しまして。今後こういうケースも増やしていきたいですね。

広告について真面目なこと言わせていただくと、記事広告やアドネットワークに頼り切っているメディアは今後衰退していくと考えていますね。ネイティブアドの価値を理解して、販売できるメディアが継続していける。

また記事広告のようなスポンサードコンテンツは、従来の「記事を書いて自社メディアに載せる」以外の形態も検討した方が良いですね。たとえばコンテンツを書いて、それをクライアントさんのメディアに載せて、自社メディアに記事への誘導枠を提供するとか(ブランデッドコンテンツ)。記事広告を1本80万で請け負うよりも、月50万円でブランデッドコンテンツの広告費をもらったほうが継続的な利益になるし、結果クライアントの成果にもつながっていきますよね。

メディアが好きじゃなきゃ、オウンドメディアは続かない

飯髙

ーー 会社の立ち上げに際して、オウンドメディア設立を検討しています。一方で、Instagramを自社メディア的に扱うケースも増えていますよね。これから新しくオウンドメディアを立ち上げるメリットはあるのでしょうか?

私から喋っても大丈夫ですか? オウンドメディアのメリットは、トラッキングできるデータの幅が広い点にあるんですよね。

SNSだと基本的に、InstagramならInstagramの中、TwitterならTwitterの中でのインプレッションは測れますが、その先までは測れないです。オウンドメディアだと、たとえば「この記事を読んだ人がどの商品を買ったか」のようなデータまで取れますよね。

つまり、オウンドメディアとInstagramのどっちがいいかって考えはナンセンスで、何を目的にしているかを先に考える方がいい。手段から入るのはとてもよくないことです。

ちなみにメディアが好きじゃないなら、オウンドメディア運営はやめておいたほうがいいと思いますよ。生半可な気持ちで始めたメディアはすぐに潰れます。オウンドメディア運営って、結果が出るのも遅いですし、本当にしんどいんですよ……(笑)。

マーケティングの一手段としてオウンドメディアがあることは間違いないですし、LISKULもソウルドアウトへのリード獲得という目的があります。ただそれ以上に「企業理念やメッセージを伝えられる場」というところにオウンドメディアの価値があるんじゃないかなと思います。そういう点も含めて、「メディアが好き」という気持ちやパッションが先に立たないと、運営を続けるのは難しいかな、と。

それは完全に同意ですね。ちなみにボクは、Workship MAGAZINE以外にも趣味でメディアを運営していて(笑)。それくらい好きな人の方がオウンドメディア運営は続くし、やっていて楽しいと思いますよ。

まとめ

LISKUL×Workship MAGAZINE

「しんどい」「大変」「コスパ悪い」……そんな言葉が飛び出しつつも、最終的には「メディアが好き」「メディアをやる意義がある」という熱い思いが感じられたディスカッションでした。

メディアをマネタイズする道は数多くありますが、いずれもすぐには結果が出ません。地道に種をまき、根気よく育てる過程を楽しめるだけの「メディア愛」が必要です。

情報や想いを発信し、反響を得て、リードを生み出す。それがオウンドメディアのやりがいです。長い目線でメディアを育んでいきましょう!

 

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(執筆&編集:Workship MAGAZINE編集部)

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