女性がゼロから起業するための4ステップ【起業の実態/参考事例/支援制度まで紹介】

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「起業してみたいけど、どうしたらよいのかわからない……」
「経営者って男性ばかりだから不安が大きい……」

自分でビジネスを始めてみたいけど、女性だからと一歩踏み出せない。そんな悩みはありませんか?

この記事では、起業家の実態を踏まえて、女性だからこその起業するメリットや参考にしたい事例、支援制度・団体をご紹介します。

女性起業家の実態

まずは現代の起業家の実態をみていきましょう。

起業家の人数 男女比較

次のグラフは男女別・年代別の起業家の数のグラフです。20代前半のみ、女性起業家の数が男性より多いものの、それ以外では男性起業家のほうが多数を占めています。また30代後半と60代前半では、男女差がとくに大きいことが分かります。

起業家の人数 男女比較

▲出典:経済産業省

このように男性と比較すると女性起業家の数は少ないことがわかります。女性起業家の数は30代の人数が多いものの、他はどの年代でもほぼ同数であり横ばいとなるのが現状です。

起業時の課題 男女比較

次のグラフは、男女別の起業時の課題を調査したものです。起業時の課題を男女別に見てみると、女性が起業する際の課題は男性と比較して「経営に関する知識・ノウハウ不足」「事業に必要な専門知識・ノウハウ不足」と回答する割合が高いのがわかります。

起業時の課題 男女比較

▲出典:経済産業省

また「家事・育児・介護との両立」という項目については、男性と比べて約4倍の開きがあり、男性と比べてとくに意識している課題の一つと言えます。

女性が起業するメリット/デメリット

次に女性が起業するメリット/デメリットをご紹介します。

メリット1. 女性の間でブームを作りやすい

女性起業家であれば女性視点のサービスが作りやすいため、女性の間でブームがつくりやすいメリットがあります。近年では女性の社会参画が進んでいるものの、従来の企業は男性社会が根強く、女性視点のビジネスはまだまだ不足しています。

女性発のビジネスを行うことで、女性からの共感を獲得でき、これまでなかったブルーオーシャンの市場を獲得できる可能性があるのです。

メリット2. 女性の起業を支援する制度や団体がある

じつは、女性の起業ならではの助成金制度や支援団体が複数存在します。助成金制度を活用すれば資金調達に役立ち、支援団体が主催するセミナーに参加すれば経営知識を得られたり人脈を広げられたりします。

デメリット1. プライベートと仕事のバランスが難しい場合がある

女性には育児や家事、出産などのプライベート的な役割が大きい場合があります。特に出産は身体的なダメージも大きく影響せざるを得ないものです。経営を長く続けるためには家族や周囲の協力が必要だと考えられるでしょう。

女性がゼロから起業するまでの4ステップ

女性に限りませんが、起業するための方法や具体的なステップをご紹介します。

ゼロからの起業というと莫大な資金が必要なイメージがありますが、ポイントは最小限のコストでの検証を重ねて情報収集することです。その方法を以下の4ステップに分けて解説します。

  1. 収益目標と期限を考える
  2. ビジネスアイデアを考える
  3. 優先順位を決めて事業をスモールスタートする
  4. 将来性のある事業に注力し、収益が安定したタイミングで法人化する

ステップ1. 収益目標と期限を考える

収益目標とその期限を考えましょう。収益目標と期限を具体化することで、そこにたどり着くまでのビジネスアイデアや行動などの経営戦略が見えてきます。

まずは、

  • 1年後に月商200万円
  • 6ヶ月後に月粗利30万円

といったような、具体的な収益目標と期限を決めましょう。

ステップ2. ビジネスアイデアを考える

目標を立てたら、起業のためのビジネスアイデアを考えましょう。ポイントは、初めは質より量を重視してアイデア出しをすること。アイデアを洗い出したあとに、条件を決めて抜粋していくと良いです。

しかし、アイデア出しが一番困難でしょう。そんな方は次の記事を参考に発想方法を学んでみてはいかがでしょうか。

ステップ3. 優先順位を決めて事業をスモールスタートする

洗い出したアイデアに優先順位をつけ、上から順に事業をスモールスタートさせましょうみましょう。テスト的に実施することで、改善点やニーズ、収益性、将来性を洗い出せます。

なお、最初から莫大なコストをかけて事業を行ってしまうと、大赤字となる可能性があります。まずは最小限のコストでスモールスタートし、収益状況や反響をみて事業継続・拡大するかを判断しましょう。期待した効果が得られない事業は、早めに見切りをつけて次の事業に取り組むことをおすすめします。

ステップ4. 将来性のある事業に注力し、収益が安定したタイミングで法人化を検討する

ステップ3で将来性を見込めた事業は、スモールスタートする中で得られたデータを分析し、事業をブラッシュアップしていきます。収益が安定的なものになったタイミングで、法人化を検討しましょう。

なお法人化のタイミングは個々の状況にもよりますが、所得税や法人税のバランスを考えると、事業による年間所得が500〜800万円を超えたタイミングがおすすめとされます。

女性の起業 4パターン

次に起業パターンと、そのパターンごとの起業スタイルをご紹介します。最初から仕事を辞めて独立する人もいれば、最初は副業で始める方もいます。自分の立場やタイミングに合わせたやり方を検討しましょう。

パターン1. 独立型

見込みのある事業アイデアがあるなら、最初から独立する人もいます。独立型の場合、まずは個人事業主からはじめ、収益が安定してきたタイミングで法人化するのが一般的です。

個人事業主

個人事業主はその名のとおり、個人で事業を営んでいる人を指します。税務署へ開業届を提出することで、独立した個人事業主として正式に認められます。独立のための開業資金も必要なく、すぐに始められるのがメリットです。

一方で、社会的信用や税制上の優遇があまりないデメリットもあります。たとえば所得税を例に挙げると、所得が増えるごとに税金負担も大きくなります。

所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超〜330万円以下 10%
330万円超〜695万円以下 20%
695万円超〜900万円以下 23%
900万円超〜1,800万円以下 33%
1,800万円超〜4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

(参考:国税庁

ある程度所得が増えてきたら、法人化を検討するのがおすすめです。

法人化

法人化する大きなメリットに、税制上の優遇と社会的信用度の高さが挙げられます。

個人事業主が所得に応じて所得税がかかったのに対し、法人化すると法人税がかかります。内訳は以下のとおり。

所得金額 税率
〜800万円 15%
800万円〜 23.2%

(参考:国税庁

所得控除や各種制度利用にもよりますが、かかる所得税率が法人税率を超える場合は、法人化した方が節税になります。

なお現在の日本では法人化しやすい環境が整えられており、資本金1円で、1人でも会社の設立が可能です。(登記などの関係で初期費用として20〜30万円かかります)

パターン2. 副業型

お小遣い稼ぎ的な感覚で起業するなら、会社勤めしながら副業として始めるのがおすすめです。週末や終業後の空いた時間を利用して事業を行うのがポイント。

ネットショップを利用してハンドメイド商品を販売したり、スキルを活かして他社の仕事を手伝うなど、自分の好きなことややりたいことで無理せず小さく事業を始めてみましょう。軌道に乗り、本業以上の稼ぎが安定的に出始めたら、本格的に独立検討するのもいいかもしれません。

なおオンラインでの仕事を受注するなら、クラウドソーシングやお仕事マッチングサービスを使うのもおすすめです。

パターン3. フランチャイズ型

起業する方法として、既存企業のフランチャイズに加盟することも考えられます。フランチャイズとは、本部と呼ばれる「フランチャイザー」と加盟店(フランチャイジー)が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで商標の使用権や商品&サービスの販売権を得られるシステムです。

フランチャイズの経営ノウハウや商標を用いての経営ができるので、安定した運営が可能です。経営ノウハウがなくても、本部からのアドバイスやサポート、ネームバリューが最初からあるので、早くから経営を軌道に乗せやすいメリットもあります。

ただし、規定のマニュアルや運営方針が厳密に決まっている場合もあるため、自由な戦略や運営ができないデメリットがあります。

パターン4. 社内起業型

社内起業とはすでにある企業を母体に行う起業のことです。社内で自分のやりたいことを実現する方法は、失敗しても収入が途絶えないリスク軽減につながります。また、独立する場合と比較し、社内の人脈や予算だけでなく自分の持つノウハウや情報を比較的用意に入手できるメリットがあります。

失敗の経験も最小限のリスクで得られるため、その経験や情報を活かして再チャレンジする方法も一つの方法です。

有名な女性起業家の具体例

世界で活躍する日本人女性起業家の具体例をご紹介します。

事例1. 時岡真理子氏(EastMeetEast)

時岡真理子氏(EastMeetEast)

▲出典:startupgrind

テクノロジービジネスを構想段階から成熟期まで成長させた実績を有する連続起業家です。2015年に共同創業者として立ち上げたモバイルeラーニングアプリ会社・Quipperを4,000万ドルで売却。2016年には、Forbes JAPANにより「世界で闘う日本の女性55」に選出されて脚光を浴びました。

現在はニューヨークでアジア人に特化したマッチングアプリサービス『East Meet East』の創業者兼CEOを務めています。500 Startupsを含む有名な投資組織から資金調達に成功しました。

婚活に悩むアジア人の悩みを、彼女がもつ情報工学のスキルを用いて解決しようとしています。

事例2. 小林りん氏(ISAKジャパン)

小林りん氏(ISAKジャパン)

▲出典:NIKKEISTYLE

モルガン・スタンレー日本法人に勤務後国際協力銀行を経て、UNICEFへの勤務経験を持つ国際派な経歴を持つ女性です。現在は学校法人ISAKジャパンの代表理事を務めています。2014年には日本初の全寮制インターナショナルスクールを開講し、世界各地から多様な生徒を募集。国際社会で活躍するリーダーを育てる教育に注目が集まっています。

彼女は大学で学んだ経済学や、これまでのキャリアから学んだ金融・教育の知識を、リーダー教育に活かしています。

事例3. 石井リナ氏(BLAST)

 

石井リナ氏(BLAST)

▲出典:AMPmedia

石井リナ氏は、新卒でIT系の広告代理店に入社し、その後ベンチャー企業を経てフリーランスになった女性です。デジタル・SNSマーケティングに従事していました。

広告代理店時代、海外のメディア・インフルエンサー・起業館のSNSを用いた交流の仕方に注目していました。

そこから、欧米においてダイバーシティーやフェミニズムについて注目の集まるのに対して、フェンダーギャップ指数の低さや男女格差が存在する世界に対する日本の現状を知ります。そこで得た衝撃から、日本の現状を女性たちに伝えようと2018年にBLAST Inc.を創業しています。

女性の起業支援制度の具体例

女性だからこそ活用できる、起業の際の資金調達に使える支援制度をご紹介します。

女性、若者/シニア起業家支援資金

対象者 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
資金の使いみち 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
利率(年) 無担保・無保証人を希望される方で、税務申告を2期終えていない方1.86%(※)

※平成31年2月14日現在、年利%

(参考:日本政策金融公庫
『女性、若者/シニア起業家支援資金』は、日本制作金融公庫が提供するサービスです。返済期間は、設備資金が20年以内(内据置期間2年以内)、運転資金が7年以内(内据え置き期間2年以内)です。

この融資制度の優れているところは、無担保無保証人でも利用できる点と、創業前や税務申告をまだ2期終えていないような経験の浅い創業者であっても低金利で融資を受けられる点です。起業間もない方に向いている制度でしょう。

両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)

対象者 女性経営者および女性従業員の活躍推進をする起業
資金の使いみち 女性活躍推進法に基づいた課題解決
融資限度額 47.5万円※生産性要件を満たした場合は60万円
利率(年) 返金義務なし

『両立支援等助成金』は、従業員の職業生活と家庭生活の両立支援、および女性の活躍推進を応援する支援制度です。両立支援等助成金にはいくつかのコースがあり、中でも女性活躍加速化コースは女性経営者および女性従業員を対象としています。

策定した計画書の取り組み目標を2つ以上達成した場合には、最大で60万円が支給されます。毎年募集のある助成金制度なので、必ず厚生労働省の最新情報をチェックしましょう。
(参考:両立支援等助成金(女性活躍加速化コース) 厚生労働省

女性の起業支援団体の具体例

女性の起業に役立つサポート団体や、女性起業家たちのコミュニティーをご紹介します。

女性起業サポートセンター

女性起業サポートセンターは日本政策投資銀行が「女性の起業活動により、経済・社会の活性化、構造改革を促す」を目標に掲げて発足させた団体です。

女性の起業活動を支援するコンペティションやセミナーを行なっています。実施されるセミナーを利用して、起業に必要なスキルを磨くのも一つの方法です。

女性起業家サポートラウンジ

女性起業家サポートラウンジは、やりがいやライフスタイルを重視し、好きなことをビジネスにして輝いた毎日を送ろうとする女性を応援するサービスです。東京都中小企業振興公社が発足させました。

自身の資格・技能・経験などをいかして起業をしてみたいという女性のためのワークショップなどを開催しており、「どこから始めたら良いかわからない」というような女性にはおすすめのサービスです。ビジネスに必要とされるものや顧客のニーズを学ぶことで自分のアイデアがビジネスになるのかなどを知れます。

女性社長.net

女性社長.net

▲出典:女性社長net

20代~40代のさまざまな業種の現役女性経営者に特化したコミュニティーサイトです。会員数はおよそ2,800名(※2020年5月時点)に登ります。

イベント・セミナー開催を実施しており、女性が起業するのに役立つ情報が得られます。また事業主が集まり悩み相談やサポートをしあう仕組みがあり、そこで新たな仕事につながることもあるようです。

おわりに

女性が起業するメリットや方法、参考にすべき事例をご紹介しました。
ポイントは、いかに日常からアイデアを見出せるか。そのためには、常にアンテナを張り巡らせてスキルアップの意識が必要です。

自身にあった起業スタイルを選んで、いままでやりたかったビジネスの道へ歩み出してみませんか?

(執筆:上塚千恵子 編集:じきるう)

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