【中途採用の母集団形成】進め方5ステップと採用チャネル・改善策を解説

中途採用 母集団形成
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中途採用の母集団形成を成功させるためには、応募者数を増やすだけではなく、自社の採用要件に合う人材との接点を増やし、採用につながる「質の高い母集団」を計画的につくることが重要です。

中途採用では、職種やポジションによって求める経験やスキルが異なります。まずは採用ターゲットを明確にし、求人媒体・人材紹介・ダイレクトリクルーティング・リファラル採用などから、ターゲットに届くチャネルを選んでアプローチしましょう。

本記事では、母集団形成の進め方を5ステップで整理し、採用目標から必要応募者数を逆算する計算例(採用5人なら応募112人)、採用チャネル8選の比較表、課題別の改善策までを解説します。

「中途採用の求人を出しても応募が集まらない」
「求人媒体・人材紹介・ダイレクトリクルーティングなど、どの手法が自社の中途採用に合うのかわからない」
「採用予定人数から必要な応募者数を逆算する方法を知りたい」

という方は、ぜひ最後までご覧ください。

中途採用における母集団形成とは

中途採用の母集団形成は、「応募を何人集めたか」ではなく「採用要件に合う人が何人集まったか」で成否が決まります。

本章では母集団形成の定義、新卒採用との違い、中途採用で質が問われる理由を整理します。

母集団形成の意味

母集団形成とは、自社が求める人材から十分な応募を集め、選考対象となる候補者の集団をつくるための取り組みです。

採用目標を達成するためには一定数の候補者が必要なため、求人を掲載して応募を待つだけでなく、採用ターゲットに合わせて候補者との接点をつくることが重要です。

母集団形成の目的は、単純に応募者数を増やすことではありません。例えば、営業経験のある人材を採用したい企業が、幅広い層に求人を出して100人の応募を集めても、その中に営業経験者がほとんど含まれていない場合、採用ターゲットに合った候補者を見つけるのが難しくなる可能性があります。

採用の成功につながる母集団形成の進め方については、以下の記事も併せてご覧ください。

新卒採用との違い(比較表)

中途採用と新卒採用では、対象や実施時期、重視する能力などが異なるため、母集団形成の考え方も変わります。中途採用では、募集する職種やポジションに必要な経験やスキルを踏まえて、対象となる人材との接点をつくることが重要です。

中途採用と新卒採用の違いは以下のとおりです。

中途採用 新卒採用
対象者 社会人経験者 学生
採用時期 通年 一定の時期に集中
主に重視する点 経験・スキル・即戦力 ポテンシャル・人柄
主な採用方法 求人媒体・スカウト・人材紹介など ナビサイト・インターンシップなど
母集団形成のポイント ターゲット人材との接点づくり 幅広い学生への認知拡大

新卒採用の母集団形成について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

中途採用では「量」より「質」が問われる

中途採用の母集団形成では、応募者数を最大化するよりも、採用要件に合った人材を集める「質」を重視しましょう。応募者数だけをKPIに置くと、採用担当者の対応工数が増えるばかりで採用に結びつかないことがあります。

例えば、特定のシステム開発経験を持つエンジニアを1名採用したい場合、応募者が100人集まったとしても、必要な経験を持つ人がほとんどいなければ、書類選考や応募者対応の工数が増えるだけで、即戦力となる人材を確保できない場合があります。

一方で、応募者が20人でも、その多くが採用要件を満たしていれば、効率的に選考を進められます。

したがって、中途採用の母集団形成では、「応募が何人集まったか」だけではなく、「採用要件に合う人材がどれだけ集まったか」という視点で成果を判断することが重要です。

中途採用で母集団形成が重要な理由3つ

中途採用で母集団形成が重要なのは、採用要件を満たす候補者を確保しつつ、目標人数を効率よく採用するためです。十分かつ質の高い母集団を形成できれば、自社が求める人材を比較・検討できるため、採用のミスマッチや不要な選考工数を抑えられます。

本章では、中途採用で母集団形成が重要な3つの理由について解説します。

 1. 採用要件を満たす人材と出会える確率が上がるから

適切な母集団を形成すると、採用要件を満たす人材と出会える確率が高くなるため、比較検討したうえで良い人材を採用できる見込みが高まります。

採用候補となる人材との接点が少なすぎると、限られた候補者の中から選考しなければならず、自社が求める経験やスキルを持つ人材を十分に比較できないからです。

例えば、法人営業の経験者を1名採用したいとき、応募が3名しかなければ、その3名以外に選択肢はありません。一方で、採用ターゲットに合う候補者を十分に集められれば、経験年数や実績、自社との相性などを比較しながら選考を進められます

採用要件を明確にしたうえで、ターゲットとの接点を十分に確保することが、良い人材を採用するためのポイントです。

2. 歩留まりを見込んだ母集団がないと採用目標を達成できないから

応募者全員が入社に至るわけではないため、選考途中の不合格や辞退を見込んで必要な母集団を確保すると、計画した採用人数を達成できる可能性が高まります。

採用活動は「応募→書類選考→面接→内定→内定承諾・入社」のように、複数の段階を経て進むのが一般的です。各選考段階で次の段階へ進む候補者の割合を「歩留まり」として把握すれば、採用目標から必要な応募者数を逆算できます。

例えば、5名の採用を目標とする場合、内定承諾率や最終面接通過率、書類選考通過率など、自社の過去の実績をもとに各段階で必要な人数を算出しましょう。途中の辞退も考慮しておけば、「応募者は集まったのに必要人数を採用できない」という事態を防げます。

3. 採用コストと採用担当者の工数のムダを抑えられるから

採用コストや担当者の負担を抑えるためには、応募者数だけを増やすのではなく、採用ターゲットに合った母集団を形成する必要があります。

例えば、応募者が多く集まっても、求める経験やスキルを持つ人材が少なければ、採用につながらない候補者の書類確認や面接に多くの時間を費やします。さらに、求人広告費や人材紹介手数料などの費用がかさみ、採用活動が長期化する可能性もあるでしょう。

限られた採用予算と人員を有効に活用するためにも、応募者数だけではなく母集団の質にも目を向け、採用につながる人材を効率よく集めることが重要です。

母集団形成の進め方5ステップ

中途採用の母集団形成は、採用ターゲットを明確にしたうえで必要な応募者数を逆算し、適切なチャネルと訴求内容を設計して、継続的に改善することが重要です。求人を掲載して応募者を増やすだけでは、採用要件に合う人材を十分に集められるとは限りません。

本章では、母集団形成の進め方を以下の5ステップに分けて解説します。

  • ステップ1:採用ターゲット・ペルソナを決める
  • ステップ2:歩留まりから必要応募者数を逆算する
  • ステップ3:チャネルを選定する
  • ステップ4:訴求内容を設計する
  • ステップ5:KPIを設定し検証する

ステップ1:採用ターゲット・ペルソナを決める

まずは、自社がどのような人材を採用したいのかを採用ターゲット・ペルソナとして具体化しましょう。人材像が曖昧なままでは、使うべき採用チャネルも求人での訴求内容も決められません。

最初に、募集する職種や担当業務をもとに必要な経験やスキル、資格などを整理します。採用要件だけでなく、ターゲットとなる人材の転職理由や、仕事選びで重視する価値観なども具体化するとよいでしょう。

例えば、同じ営業経験5年以上の人材でも、「より大きな顧客を担当したい人」と「マネジメントに挑戦したい人」では、魅力に感じる求人情報が異なります。

ステップ2:歩留まりから必要応募者数を逆算する(計算例つき)

採用ターゲットを決めたら、各選考段階の歩留まりから採用目標の達成に必要な応募者数を逆算しましょう。応募者全員が入社するわけではないため、採用予定人数と同じ人数を集めても、目標を達成できない可能性が高いためです。

採用における歩留まりとは、「応募から書類選考、面接、内定、内定承諾と進む中で、次の段階へ移行した候補者の割合」です。自社の過去の採用実績から各段階の歩留まりを算出しておけば、目標人数を採用するために必要な母集団を逆算できます。

例えば、5人の採用を目標とした場合で、内定承諾率80%、内定率50%、最終面接通過率50%、一次面接通過率50%、書類選考通過率50%と仮定します。採用目標から各選考段階で必要な人数を逆算すると、以下のとおりです。

採用段階 必要人数・計算式
内定承諾(採用目標) 5名
内定 約7人(5 ÷ 0.8 = 6.25 → 切り上げ)
最終面接通過 約14人(7 ÷ 0.5)
一次面接通過 約28人(14 ÷ 0.5)
書類選考通過 約56人(28 ÷ 0.5)
応募 約112人(56 ÷ 0.5)

このように、採用目標と各段階の歩留まりから応募者数を逆算すれば、「何人集める必要があるのか」が明確になり、母集団形成を計画的に進められます。

ステップ3:チャネルを選定する

採用手法ごとに候補者へのアプローチ方法が異なるため、必要な応募者数を把握したら、採用ターゲットと効率的に接点を持てる採用チャネルを選定しましょう。

中途採用で使えるチャネルは、求人媒体・人材紹介・ダイレクトリクルーティング・リファラル採用・自社採用サイト・SNSなどが一般的です。それぞれの費用感や向いている企業は、後述の「中途採用の母集団形成に使える採用チャネル8選(比較表)」で比較しています。

ステップ4:訴求内容を設計する

仕事内容や給与などの条件だけでは、入社後の働き方やキャリアを候補者がイメージできない場合があるため、ターゲットが「この会社で働きたい」と思えるような情報を整理し、求人票やスカウト文の訴求内容を設計しましょう。

求人票では「法人営業を担当」のような仕事内容だけで終わらせず、担当する顧客や具体的な業務、入社後に期待する役割、身につけられるスキル、将来的なキャリアなどを具体的に伝えることが重要です。

さらに、職場環境や働き方、企業文化など、ターゲットが転職先を比較する際に知りたいと思われる情報も盛り込むのも有効です。

ステップ5:KPIを設定し検証する

どの段階に課題があるのかを把握するため、各選考段階のKPIを設定し、定期的に成果を検証・改善しましょう。KPIには、求人の応募率や応募者数、書類選考通過率、面接通過率、内定承諾率、採用人数、採用単価などを設定します。

さらに、求人媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなどのチャネル別に数値を確認すると、どの方法が採用につながっているのか比較できます。

例えば、応募数は十分なのに書類選考通過率が低い場合、採用ターゲットに対して利用しているチャネルや求人内容が合っていない可能性があります。

一方で、最終面接まで候補者が進んでいるにもかかわらず、内定承諾率が低い場合は、選考中の情報提供や条件、候補者への訴求内容などに課題があるかもしれません。

中途採用の母集団形成に使える採用チャネル8選(比較表)

中途採用で母集団を形成する方法には、求人媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなどがあります。特徴や費用、アプローチできる人材がそれぞれ異なるため、採用ターゲットや採用課題に合わせて選びましょう。

主な採用チャネル8つについて、向いている企業とメリット・デメリットをまとめました。それぞれの特徴は以下で解説します。

採用チャネル 向いている企業 メリット デメリット
求人媒体 幅広く応募を集めたい企業 認知度が高く応募を集めやすい 競合が多いと求人が埋もれ、応募が集まりにくい
人材紹介 専門職や即戦力人材を探したい企業 条件に合う人材を紹介してもらえる 成功報酬が高い
ダイレクトリクルーティング 欲しい人材へ直接アプローチしたい企業 潜在層にもアプローチできる 運用工数がかかる
リファラル採用 入社後の定着率を重視したい企業 ミスマッチが少ない 母集団を大きく増やしづらい
ハローワーク 採用コストを抑えたい企業 求人が無料で掲載できる 求人票が中心になるため企業の魅力を伝えにくい
SNS 若手人材や認知度の拡大を狙いたい企業 採用広報と相性が良い 継続的な運用が必要
自社サイト 自社の理解を深めてもらいたい企業 採用ブランディングにつながる 認知度が低いと応募が集まらない
合同企業説明会・転職フェア 多くの求職者と直接話したい企業 1日で数十人と直接会える 出展費用と事前準備・当日の人員が必要

1. 求人媒体

求人媒体は、Web上の求人サイトなどに求人情報を掲載し、求職者からの応募を募る採用チャネルです。多くの求職者が利用するサービスであり、幅広い層に求人情報を届けられるのが特徴です。企業側から候補者を探す必要がないため、応募を広く集めて母集団を形成したい企業に向いています。

一方で、多くの企業が求人を掲載しており、条件や仕事内容によっては、自社の求人情報が埋もれる恐れがあります。そのため、給与や福利厚生だけではなく、具体的な仕事内容や働く魅力、入社後のキャリアなどをわかりやすく伝える工夫が必要です。

2. 人材紹介

人材紹介は、自社の採用要件に合った候補者を就職エージェントから紹介してもらう方法です。求める経験やスキルなどをエージェントに伝えたうえで候補者を紹介してもらえるため、専門職や管理職、即戦力人材など、採用難易度の高い職種にも適しています。

応募者の選定を人材紹介会社に任せられる点もメリットですが、採用が決まった際は、転職エージェントに支払う成功報酬が発生します。複数人を採用するとコストが大きくなる可能性があるため、採用人数や予算を踏まえて利用を検討しましょう。

3. ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が自社に合う人材を探し、スカウトを送って直接アプローチする採用方法です。企業側から働きかけられるため「攻めの採用」とも呼ばれています。現在は積極的に転職活動をしていないものの、条件次第では転職を検討する「転職潜在層」と接点を持てる点が特徴です。

一方で、候補者の検索や選定、スカウト文の作成や送信などを自社で行う必要があります。さらに、返信率や面談率を確認しながら内容を改善するなど、継続的な運用も大切です。

4. リファラル採用

リファラル採用は、自社で働く社員から知人や友人などを紹介してもらう採用方法です。社員が仕事内容や職場の雰囲気を伝えたうえで紹介するケースが多いため、候補者が入社後の働き方をイメージできるのが特徴です。企業側も候補者の人柄や経験などを事前に把握でき、採用後のミスマッチを抑える効果が期待できます。

求人広告などと比べて、採用コストを抑えられる点もメリットです。ただし、紹介で入社する人材は多くないため、短期間で大規模な母集団を形成したい場合には適していません。

5. ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する公共職業安定所です。企業は原則として無料で求人を掲載でき、採用コストを抑えながら母集団形成を進めたい企業に適しています。

ただし、基本的には求人票を通じた情報提供となるため、写真や動画などを使った採用ブランディングには限界があります。自社サイトなどと組み合わせて、仕事内容や職場の魅力を補足するとよいでしょう。

6. SNS

SNS採用は、XやInstagram、TikTok、LinkedInなどを活用して、求職者との接点を増やす採用方法です。

求人情報だけではなく、社員の紹介やオフィスの様子、日々の仕事内容、企業文化などを発信でき、求人媒体では伝えきれない自社の魅力を知ってもらえます。すぐに転職を考えていない人にも情報を届けられるため、中長期的な母集団形成にも活用できます。

ただし、アカウントを開設しただけでは十分な効果は期待できません。投稿内容を企画し、定期的に情報を発信するなど、継続的な運用が必要です。

7. 自社サイト

自社の採用サイトや採用ページを活用する方法も、中途採用の母集団形成に役立ちます。仕事内容や求める人物像だけではなく、社員インタビューや1日の仕事の流れ、福利厚生、企業文化などを詳しく掲載できる点がメリットです。応募前に企業への理解を深めてもらえるため、入社後のミスマッチ防止にもつながります。

一方で、自社の認知度が低い場合、採用サイトを作っただけでは十分なアクセスを集められない可能性があります。そのため、求人媒体やSNSなどから採用サイトへ誘導するなど、他の採用チャネルとの組み合わせも有効です。

8. 合同企業説明会・転職フェア

合同企業説明会・転職フェアは、複数の企業が会場やオンライン上に集まり、仕事内容や企業の魅力を求職者へ直接伝えられる採用チャネルです。

短期間で多くの求職者と接点を持てるだけでなく、求人票だけでは伝わりづらい職場の雰囲気や仕事の魅力を直接説明できます。求職者からその場で質問を受けたり、面談や応募につながったりする場合もあります。

ただし、イベントへの出展費用に加えて、説明資料やブースの準備、当日の人員確保などが必要です。費用や工数に見合った母集団を形成できるよう、参加者の属性と自社の採用ターゲットが合っているかを確認してから出展しましょう。

母集団形成がうまくいかない原因と対策7選

母集団形成がうまくいかない主な原因は、採用ターゲットの設定や採用チャネルの選定、求人票の内容、募集条件などです。応募数だけを増やそうとするのではなく、原因を特定したうえで適切な対策を講じましょう。

本章では、母集団形成がうまくいかない7つの原因と、その対策をそれぞれ解説します。

1. 採用ターゲットが曖昧になっている

採用ターゲットが曖昧なまま採用活動を始めると、求人票や採用チャネル、スカウト内容に一貫性がなくなるため、求める人材からの応募を集めづらくなります。

例えば「営業経験がある人」のように大まかな条件だけを設定した場合、業界や営業スタイル、経験年数などが自社の求める条件と合わない人材が集まる可能性があります。応募数を確保できても、書類選考の通過者が少ない場合、効率的な母集団形成とはいえません。

まずは現場担当者へヒアリングを行い、業務に必要なスキルや経験、価値観などを整理しましょう。採用したい人物像を具体化した「採用ペルソナ」を作成すると、求人票やスカウトで訴求すべき内容や、利用する採用チャネルを決められます。

2. 採用チャネルがターゲットに合っていない

採用チャネルがターゲットに合っていないと、求める経験やスキルを持った人材からの応募が集まらないため、母集団形成がうまくいきません。

例えば、即戦力となる専門職を採用したいにもかかわらず、幅広い求職者を対象とする求人媒体だけで募集していると、採用要件に合う人材からの応募が得られない場合があります。

採用チャネルを選ぶ際は、採用したい人材がどのような方法で転職活動をしているのかを考えましょう。求人媒体の他に、人材紹介やダイレクトリクルーティング、リファラル採用、SNSなどを比較し、ターゲットに適した方法を選ぶ必要があります。

また、1つの採用チャネルだけに依存せず、複数のチャネルを組み合わせる方法も有効です。それぞれの応募数や採用率などを確認しながら、自社に適した組み合わせを見つけましょう。

3. 求人票やスカウト文の訴求力が不足している

仕事内容や応募条件だけを記載した求人票では、同じような人材を募集している競合企業との差別化が難しくなるため、採用候補者を十分に確保できない恐れがあります。求職者が「この会社で働いてみたい」と思える情報が不足していると、給与や勤務地などの条件で比較され、他社に流れるかもしれません。

そのため、求人票には給与や福利厚生だけではなく、仕事のやりがいやキャリアパス、企業文化、働く社員の様子など、採用ターゲットが知りたい情報を具体的に盛り込みましょう。

ダイレクトリクルーティングを利用する場合は、一律のスカウト文を大量に送るのではなく、候補者の経験やスキルに合わせた内容にするのもポイントです。「なぜスカウトしたのか」「どのような経験を評価しているのか」を伝えると、候補者に関心を持ってもらえます。

求人票の書き方を見直すだけでも、求める人材からの応募につながる可能性があります。魅力的な求人票を作成するポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

4. 募集条件が市場相場と合っていない

求職者は複数の求人を比較して応募先を選ぶため、同じような仕事内容にもかかわらず給与が低い、年間休日が少ないなどの場合は、他社の求人を選ぶ可能性が高まります。

まずは同じ職種や地域の求人情報を調査し、自社の募集条件と比較してみましょう。給与だけではなく休日数や残業時間、リモートワークの可否なども含めて確認する必要があります。

給与などの条件をすぐに改善するのが難しい場合は、研修・教育制度やキャリア支援、柔軟な働き方など、自社ならではの魅力を打ち出す方法もあります。採用ターゲットが転職先に何を求めているのかを把握し、訴求内容へ反映させるのがポイントです。

5. 選考スピードが遅く応募者が離脱している

応募を十分に集められていても、選考スピードが遅いと候補者が途中で離脱し、せっかくの母集団を維持できなくなります。

複数の企業へ同時に応募している求職者が多く、書類選考や面接日程の調整などに時間がかかると、その間に他社の選考が進んでしまいます。面接を実施する前に他社から内定を得て、自社の選考を辞退されるケースもあるのです。

そのため、書類選考や面接日程の調整、合否の連絡は可能な範囲で迅速に進めましょう。採用担当者と現場担当者の間で選考基準やスケジュールを共有しておくと、判断にかかる時間を短縮できます。

面接回数が多く内定まで時間がかかる場合は、本当に必要な選考なのかを見直すのも1つの方法です。応募から内定までの選考フローを整理し、候補者を待たせない体制を整えましょう。

6. 採用データを分析せず改善できていない

応募者が集まらない原因を把握しないまま同じ採用活動を続けても、課題に合った対策を取れないため、母集団形成の改善につながりません。

そのため、採用活動では応募数だけではなく、書類選考通過率や面接通過率、内定承諾率、採用単価などのKPIを確認しましょう。例えば、応募数は多いのに書類選考通過率が低い場合、採用チャネルや求人票が採用ターゲットと合っていない可能性があります。

また、採用チャネルごとに数値を比較するのも有効です。「求人媒体Aは応募数が多いものの採用につながらない」「人材紹介Bは応募数が少なくても内定率が高い」などの違いがわかれば、採用予算や担当者の工数を成果の出るチャネルへ配分できます。

採用データの集計や分析には一定の工数がかかるため、ツールの導入やプロ人材を活用する方法があります。詳細を知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

7. 採用広報・企業認知が不足している

企業の知名度が低かったり、働く魅力を十分に発信できていなかったりすると、求職者が自社で働くメリットをイメージできないため、応募先の候補に入りづらくなります。特に、知名度で大手企業と競うのが難しい中小企業やベンチャー企業では、求人を掲載して応募を待つだけでは十分な母集団を形成できない場合があります。

そのため、採用サイトやSNS、社員インタビューなどを活用し、仕事内容や企業文化、社員の働き方、キャリアなどを継続的に発信しましょう。求職者が企業を知る機会を増やすだけではなく、応募前に自社への理解を深めてもらえるため、採用ターゲットに近い人材からの応募が期待できます。

求人への応募を待つだけではなく、ダイレクトリクルーティングなどを利用して企業から候補者へ働きかける「攻める採用」も有効です。具体的な方法については、以下の記事を参考にしてください。

【課題別】母集団形成の改善方法

中途採用の母集団形成がうまくいかない場合は、応募数や応募者の質、採用コスト、選考スピードなど、どの段階に課題があるのかを整理する必要があります。

「応募が少ないから求人媒体を増やす」という対応だけでは、根本的な原因を解決できない場合があります。まずは採用データを確認し、課題に合った改善策を実施しましょう。

本章では、母集団形成の改善方法について課題別に解説します。母集団形成で起こりがちな課題と改善方法については、以下の記事もご一読ください。

応募数が集まらない場合

応募数が集まらない場合は、「求人を見てもらえていないのか」「求人は見られているものの、応募につながっていないのか」を確認しましょう。

診断ポイント 改善策
求人の閲覧数が少ない 求人媒体の変更・追加、ダイレクトリクルーティング、SNSを活用して求職者との接点を増やす
閲覧数はあるが応募率が低い 求人票のタイトル、仕事内容、給与、休日などを競合他社と比較し、求人票の訴求内容を見直す

求人の閲覧数自体が少ない場合は、利用している採用チャネルがターゲットに合っていない可能性があります。求人媒体を追加したり、ダイレクトリクルーティングで企業から候補者へアプローチしたりして、接点を増やしましょう。

閲覧数が十分にあるにもかかわらず応募が少ない場合は、求人票の内容に課題があると考えられます。給与や休日、仕事内容、働き方などを競合企業と比較し、求職者が応募したくなる情報を盛り込むのがポイントです。

ターゲット人材から応募が来ない場合

応募数を確保できていても、採用要件を満たす人材が少なければ、母集団の質に課題がある可能性があります。

診断ポイント 改善策
求める人材とは異なる応募が多い 採用ターゲット・ペルソナを再設定する
ターゲットとの接点が少ない ターゲットが利用する求人媒体を選ぶ

ターゲット人材から応募が来ない場合は、採用ターゲットが明確になっているか確認しましょう。必要な経験やスキルだけではなく、価値観や働き方の希望などまで具体化すると、求人票やスカウトで伝えるべき内容を整理できます。

ターゲットとなる人材が少ない求人媒体を利用すると、応募数が増えても採用につながらない場合があります。職種や年齢層、経験年数などを踏まえ、求人媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなどを使い分けるのが効果的です。

採用コストが高い場合

採用コストが高い場合は、採用チャネルごとの費用と成果を比較して、費用対効果を確認しましょう。

診断ポイント 改善策
成果が低いチャネルへ予算を使っている  成果の低いチャネルを見直し、採用につながるチャネルへ予算を集中させる
外部サービスへの依存が大きい  リファラル採用、自社採用サイト、SNSを活用して採用コストを抑える

求人媒体や人材紹介を利用していても、応募や採用につながっていなければ、予算の使い方を見直す必要があります。応募数や内定数、採用人数、採用単価などをチャネル別に確認し、成果の高い方法へ予算を配分しましょう。

人材紹介などの外部サービスだけに依存せず、リファラル採用や自社採用サイト、SNSなどを組み合わせれば、中長期的な採用コストの削減が期待できます。

採用の質を維持しながらコストを抑える方法については、以下の記事も参考にしてください。

採用スピードを改善したい場合

応募者を十分に集められていても、選考に時間がかかると途中離脱が増えるケースが多いため、母集団を十分に活かせなくなります。

診断ポイント 改善策
選考期間が長い  応募〜内定の各工程の日数を可視化し、「書類選考は3営業日以内」「合否連絡は面接翌日まで」など工程ごとに期限を決める
社内対応が属人化している  書類選考の期限や面接日程をルール化して選考基準を共有する
面接の数が多い  面接回数の削減やオンライン面接を導入する

応募受付から書類選考、面接、内定まで、それぞれ何日かかっているのかを可視化しましょう。特定の工程に時間がかかっている場合は、担当者や承認フローを見直します。

採用担当者や現場の担当者によって対応速度が異なる場合は、書類選考の期限や合否連絡のルールを設定するとスムーズです。面接の回数が多い場合は、選考基準を整理したうえで回数を減らしたり、オンライン面接を取り入れたりする方法もあります。

選考辞退・内定辞退が多い場合

選考辞退や内定辞退が多い場合は、候補者がどの段階で離脱しているのかを確認しましょう。

診断ポイント 改善策
辞退の理由を把握していない  辞退した段階と理由を記録し、原因を分析する 
結果の連絡が遅い  合否連絡を迅速に行う 
仕事内容や条件への不安がある  仕事内容や働き方を面接で具体的に説明する 
内定後のフォローが不足している  定期的な連絡や社員面談、職場見学を実施する 

辞退が発生した際は、選考段階や辞退理由を記録し、共通する原因がないかを分析します。面接後の連絡が遅い場合は選考スピードを改善し、仕事内容への不安が多い場合は、面接や求人票での情報提供を見直しましょう。

内定後から入社まで期間が空く場合は、定期的な連絡や社員との面談、職場見学などを実施し、候補者の不安を軽減するのも有効です。

ただし、候補者が企業へ伝える辞退の理由と、本当の理由が必ずしも一致するとは限りません。理由の見極め方や防止策については、以下の記事で詳しく紹介しています。

スカウトの返信率が低い場合

ダイレクトリクルーティングを活用していても、スカウトへの返信が少なければ、十分な母集団形成にはつながりません。

診断ポイント 改善策
定型文を送っている  候補者ごとに内容をカスタマイズする 
返信への心理的なハードルが高い  「まずは情報交換から」など返信しやすい表現を使う 

同じ文章を多数の候補者へ送っている場合は、「なぜ自分に送られてきたのか」が伝わらず、返信されない可能性があります。そのため、候補者の経歴やスキルを確認し、興味を持ったポイントや自社で活かせる経験を具体的に伝えましょう。

また「まずはオンラインで情報交換しませんか」など、応募を前提としない表現を使うと、転職意欲がまだ高くない候補者とも接点を持てる場合があります。

入社後のミスマッチが多い場合

採用人数を確保できていても、入社後の早期離職が多い場合は、母集団形成から選考までの過程にミスマッチを生む要因がないか確認しましょう。

診断ポイント 改善策
求人内容と実際の仕事に差がある  業務内容や残業時間、評価基準まで正確に伝える
面接でスキルしか確認していない  価値観や働き方の希望も確認する 
現場との相性を確認できていない  配属予定部署の社員に、二次面接以降へ同席してもらう

応募を増やすために、会社の良い面のみを求人票で強調すると、入社後に「想像していた仕事と違った」と感じる原因になります。仕事内容や働き方、残業時間、評価方法などは実態に即して伝えることが大切です。

また、経験やスキルだけではなく、仕事に対する価値観や希望する働き方なども面接で確認しましょう。配属予定の社員に面接へ参加してもらえば、現場との相性も判断できます。

採用ミスマッチが起きる主な理由と企業への影響、対策について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

母集団形成でよくある質問

母集団形成を効率よく進めるために、押さえておきたい5つの質問をまとめました。

母集団形成はいつから始めるべき?

母集団形成は求人を出す直前ではなく、採用計画を立てる段階から始めるのがおすすめです。

中途採用では採用人数を決めるだけではなく、採用ターゲットの設定や必要な応募者数の算出、採用チャネルの選定などの準備が必要です。また、採用サイトやSNSを活用して企業の認知度を高める場合、成果が出るまでに一定の期間を要する場合もあります。

「いつまでに何人採用したいのか」から逆算し、余裕を持ったスケジュールで母集団形成を進めましょう。

応募数が多ければ母集団形成は成功といえる?

応募数が多いだけでは、母集団形成に成功したとはいえません。例えば、100人から応募があっても、採用要件を満たす人材がほとんどいない場合、書類選考や応募者対応の工数が増えるだけで、自社に合った優秀な人材を採用するのが難しくなる恐れがあります。

反対に応募者が20人でも、その多くが採用ターゲットに合っていれば、効率よく採用につなげられる可能性が高まります。

そのため、応募者の「量」だけではなく「質」にも注目することが重要です。採用ターゲットに合う人材が集まっているか、採用目標を達成できているか、採用コストは適正かなど、複数の観点から評価しましょう。

中途採用の母集団形成でもっとも効果的な採用手法は?

業種や募集職種、採用ターゲット、採用人数、予算などによって適した方法が異なるため、すべての企業に共通する「もっとも効果的な採用手法」はありません

幅広い求職者から応募を集めるなら求人媒体、専門職や即戦力人材を探すなら人材紹介、企業側から求める人材へアプローチするならダイレクトリクルーティングなど、それぞれに特徴があります。

1つの採用チャネルに絞るのではなく、複数の方法を組み合わせるのも有効です。チャネルごとの応募数や採用率、採用単価などを比較し、自社に適した方法へ予算や工数を配分しましょう。

母集団形成がうまくいかない場合は何から見直すべき?

母集団形成がうまくいかない場合は、採用プロセスのどの段階に課題があるのかを確認しましょう。求人の閲覧数が少なければ採用チャネル、閲覧されているのに応募が少なければ、求人票の内容に原因があると考えられます。

応募数は多くても書類選考の通過率が低い場合は、採用ターゲットの設定や、利用している採用チャネルが適切ではない可能性があります。応募数だけを増やそうとせず、求人の閲覧から応募、選考、内定、入社までの数値を確認し、課題が発生している段階から改善するのがポイントです。

母集団形成の効果はどのような指標で確認できる?

母集団形成の効果を確認するためには、応募数だけではなく、求人閲覧数や応募率、書類選考通過率、面接通過率、内定承諾率、採用単価などの指標で確認しましょう。

応募率が低下していれば求人票の訴求内容を見直し、書類選考通過率が低ければ、採用ターゲットや採用チャネルを再検討するなど、数値によって改善すべきポイントが異なります。KPIを定期的に確認し、目標値と実績の差を分析しながら改善を繰り返すと、より効率的な母集団形成につながります。

まとめ|自社に合った母集団形成で中途採用の成果を高めよう

中途採用の母集団形成では、応募者数のみを増やすのではなく、自社の採用要件に合った人材との接点を増やしつつ、採用につながる質の高い母集団をつくることが重要です。中途採用では求人媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど、複数の採用手法が活用されています。

また、書類選考通過率や面接通過率、内定承諾率、採用単価などのKPIを継続的に確認することも大切です。「応募数が少ない」「ターゲット人材が集まらない」「辞退が多い」など、自社の課題を特定して改善を繰り返すと、採用コストや工数を抑えながら自社に合った人材の採用につなげられます。

採用課題の特定から施策の実行・改善までを自社だけで進めるには、専門的なノウハウや十分なリソースが必要です。採用活動を見直したいものの「どこから改善すればよいかわからない」「採用業務に十分な時間を割けない」と悩む場合は、採用支援サービスを活用する方法もあります。

Workship CONSULTINGでは、採用戦略の設計から採用ブランディング、採用広報、SNS運用、スカウト代行まで幅広く支援しています。自社の採用課題を見直し、求める人材に選ばれる採用活動を目指したい企業は、ぜひチェックしてみてください。

(執筆:fujisiro 編集:猫宮しろ)

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