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昨今、音声アシスタントに関する激しいバトルが繰り広げられています。特に『Amazon Alexa』と『Google Assistant』は、このバトルの中でも大きな存在感をはなっています。
音声アシスト市場が2023年までに78億円に到達することを考えると、この覇権争いが白熱するのも当然です。Alexaによる音声でのショッピング売上だけでも、2020年までには1年で50億もの収益をもたらすと予想されているほか、今はまだ存在していない音声アシストによる広告収益も2022年までに190億に達すると言われています。
Googleは世界最大の家電見本市『CES 2019』にて、遊園地のようなアトラクションを野外ブースとして設置したほか、パーソナライズドされたGoogle AssistantをCES会場内の数多くのブースへ送りました。
一方でAmazonのキャンペーンは、Googleのキャンペーンに比べると控えめで目立たないものでした。Googleが過去4年間、Amazon Alexaに遅れをとっていたことを考えると、Googleがこのように必死になっていることも納得できます。
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数ある産業の中でも、コンシューマー向けIoTほど、音声アシストの競争が激化している産業はありません。音声アシストは、コンシューマーIoTを中心にビジネスを進めるすべての会社で重要な焦点になっているでしょう。
あなたの呼びかけだけで、全ての操作ができる未来を想像してみてください。起きるとすぐに、洗面所の鏡が今日のスケジュールを教えてくれる。朝食を食べている間に、コーヒーマシンがエクストラフォームのラテが淹れてくれる。電車の中では、スマートウォッチが仕事にどれくらい遅れそうか教えてくれる。オフィスに行けば、プリンターが「もっとインクを補充してください」と呼びかけてくれる。そんな未来を実現するのが、音声アシストです。
アメリカでは、多くの人がAmazonやGoogleのスマートスピーカーを利用しており、IoTへのエントリーポイントとなっています。音声コントロールはスマートホーム市場を大きく成長させており、スマートホームで利用される音声デバイスは2023までに7500万台まで増えると言われています。
音声アシストを搭載した商品に関しては、今後どれが市場で勝利するかまだ分かりません。CES 2019に出展していたほとんどのテック企業がスマートホーム用のデバイスを紹介しており、未来のシェアを取ろうと必死になっています。LGの家庭用ビール醸造マシンや、Simplehumanのスマートゴミ箱、アワードで表彰されたKohlerのスマートトイレなどがその一例です。
ここからは、スマートホーム製品を開発しているBoschとNortek Security & Controlをご紹介します。
Amazonは、Googleアシスタントがパートナープログラムを始めるよりも前に、多くのサードパーティ製プロダクトにAlexaと連携させるシステムを提供することで成功を納めました。
Boschは2016年にスマートホームの子会社を立ち上げ、彼らのホームプロダクトをAlexaに連携。Boschの製品は「シナリオマネージャー」というシステムにより、Alexaからの音声操作でオーブンを温めたり、照明をナイトモードに変更したりする等、さまざまな操作が可能になりました。
またBoschのシニアブランドマーケティングマネージャーであるCara Ackerは、CES 2019にて、Boschの最新のイノベーションである「PAI」に関する講演をしています。
PAIとは、「タッチ」のジェスチャーによってコントロールできるプロジェクターです。ユーザーの手の動きを記憶することによって、まな板やキッチンタイル等、全ての平らな面をタッチスクリーンに変えることができます。ユーザーはさまざまな「平面」を利用して、ビデオチャットや、ネットサーフィン、YouTubeの鑑賞、レシピの閲覧等ができるようになるのです。
PAIをキッチンでの利用に限定して見てみると、AR技術がメインストリームになる可能性を感じます。さらにここに音声操作が導入されることで、テクノロジーはキッチンという場所を、キッチン以上の場所へと変えるでしょう。場所の主体が道具や器具中心でなくなり、教育や事業等へのソリューションになる可能性を秘めているのです。
プロジェクターはタッチデバイスよりも汎用性が高く、工場などの環境でも有用であることが証明されています。5年後、このようなプロジェクターによるARテクノロジーがメインストリームになることも大いにあり得るのです。
多くのスマートホーム関連会社は、Amazon AlexaとGoogle Assistantの両方が連携できればと考えていることでしょう。Nortek Security & Controlの新しい高知脳タッチパネル・ELANは、その両方に対応しています。またNortekはハンズフリーの製品を作るにあたり、音声アシスト以外の技術も活用しています。
Nortek Security & ControlのシニアディレクターであるBill Hensleyは「Nortekの最新製品は、ユーザーにより便利でパーソナライズドされた体験を提供するために”顔認識技術”を活用している」と話しています。
家に帰ると、ユーザーは顔認識のよってすぐにセキュリティシステムを解除できます。また顔認証によって個人のプロフィールを特定し、その個人が好む家のセッティングを提供します。もしその人が心地よいジャズが好きで、いつもエアコンを20度に設定しているのであれば、ELANシステムは自動的に彼が好む温度に調整し、彼が好むジャズ音楽を流します。その後は家のどこからでも、音声やBoschのスマートフォンアプリで操作すれば、彼が好きなように家の設定を調整できるのです。
iPhone Xでも利用されているように、顔認証システムは多くの消費者にとって「セキュリティ目的に使われる技術」として馴染みがあります。一方で「各ユーザーの好みに合った適切な体験を提供する」という目的で顔認識を利用している企業は、まだあまり多くありません。
顔認識は、Facebookでは広告の提供に利用され、また中国政府では治安維持目的に利用されています。しかし同様に、この技術を消費者により心地の良い時間を提供するために使うことも、最新トレンドのひとつなのです。
多くの産業は、未来の商品やサービスに顔認識を利用することを検討し始めています。オラクルによるHotel 2025のレポートによると、今後4年間で72%のホテルオペレーターが、ゲストを特定しコミュニケーションを増やすために顔認識を活用するだろうと述べられています。
音声アシストと顔認識技術の両方を活用することで、あらゆる商品やサービスの価値を上げられるでしょう。
スマートホーム技術と機械学習技術の発展によって、今後ますます音声アシストの市場競争は激化していくでしょう。
またAmazonやGoogleにとっては、スマートスピーカーやスマートホーム家電にだけではなく、マーケットにおける全ての商品に音声アシストを導入させることになるでしょう。
Amazonにとってのチャレンジは、音声アシスト市場を今後ともリードし続けることです。一方でGoogleは、Google Assistantを導入するパートナー企業を増やし、Amazonや新しいスタートアップからのマーケットシェアを奪うことに焦点を当てていくでしょう。
そしてスマートホーム家電が特別なものではなく、より一般的に使われるようになったら、また新しい戦いが待っていることでしょう。しかし今はひとまず、スマートホーム関連企業が、革新的な形で音声アシストを導入することに期待したいです。
来年以降のCESでいったいどんなプロダクトが出てくるのか、今から楽しみですね。
(原文:Hannah White 翻訳:Akiko Ogita)
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