エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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デザインについての知識があると、ブランドを「視覚的な情報」のみでジャッジしがちです。しかしブランドの真の価値は、ロゴや配色、タイポグラフィだけではありません。
意識しているかどうかに関わらず、顧客はブランドを「視覚以外も含めた総合的な情報」で判断しています。だからこそ大切にしたいのが、顧客の「感情」です。
今回は、ブランドが「感情的な価値」に重きを置くべき理由について解説します。
グローバリゼーションと自由市場の恩恵により、私たちはとても多くの製品とサービスから、望むものを選択できるようになりました。
しかし製品やサービスに独自性をもたせるアイデアや技術は、いまでは競合他社によって簡単にコピーされてしまいます。
そんな時代だからこそ、顧客は購入を決定するために「なにかしらの決定的な要素」を欲しています。それは企業にとっても同じです。
では「価格を下げる」といったクラシックな方法以外に、どのような価値が購買の決定打になり得るのでしょうか?
私たちは、自分の判断を合理的だと考える傾向があります。しかしポルトガルの神経学者であるアントニオ・ダマシオは、「感情を処理する脳の領域に損傷がある患者は、決定を下すことができない」ことを発見しています。
非合理的だと思われがちな感情ですが、じつは大量の選択肢から必要なものをフィルタリングするときに、おおいに役に立っています。感情を処理できない人にとっては「夕飯になにを食べるか」という判断でさえ困難なのです。
このように私たちの判断に深く関係している感情は、ブランドにとっても重要です。価格の安さや製品の出来栄え以上に、「ブランドの信念に共感できるか」といった要素が、購買を左右することも多々あります。
スポーツ用品店に行くと、同じようなデザインのスポーツシューズが、同じような価格で販売されていますよね。そんな中、Nikeは顧客の感情に訴えかけることで、他のブランドとの差別化をはかりました。そのスローガンが「Just do it」です。
一人ひとりが立ち上がって逆境を乗り越えることをサポートしてくれるようなスローガン「Just do it」は、ブランドの中核に位置するシンボル的な存在。魅力的なストーリーを取り入れることで、さらにそのイメージを強化し、共感を促しています。
顧客が物語の中に登場する人びとに共感し、「こうなりたい」と思うポジティブな感情こそが、ブランドの差別化に繋がるのです。
Nikeのブランド戦略について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
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ブランドをストーリーと考えるなら、ブランディングはストーリーの「語り」にあたります。視覚的なデザインは、この「語り」において重要な役割をはたす存在です。戦略的なメッセージや感動的なストーリーも、「語り」なしでは顧客に届きません。
成功しているブランドは、CX(顧客体験)における感情の重要性をしっかり理解しています。顧客がブランドとやりとりをする中で、ニーズが満たされたり、期待以上の対応をされたという経験は、顧客の心に深く残ります。
スターバックスを例に考えてみましょう。スターバックスの主力商品はコーヒーですが、顧客はコーヒーの質だけを理由にスターバックスを選んでいるわけではありません。そこで得られる体験もまた、スターバックスを選ぶ重要な決定のひとつとしているです。
スターバックスに訪れた顧客が、スタッフにきちんと要望を聞き入れられ、理解され、誠実に対応されていると感じることで、顧客のスターバックスに対する価値は大きく上がります。「人対人」のコミュニケーションによってブランドの特徴を印象づければ、顧客との絆も深まるのです。
タイムトラッキングツールの『Timeular』は、デバイスに問題が発生した際に、従業員、場合によっては創業者とチャットできるサービスを提供しています。
優れたカスタマーサービスを提供すれば顧客にリピートしてもらえますが、その逆もまた然り。いち顧客としても、対応が悪いお店よりも、対応が良いお店を選びたいですよね。
CXについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
BX(ブランド体験)向上のカギはCX。君はUXばかり見ていないか?
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Amazonは自社の6つのコアバリューのひとつとして「Customer Obsession(顧客へのこだわり)」を掲げています。このことからも分かるように、Amazonは「顧客ファースト」を大切にしています。A to Zのサービスを提供するAmazonは、優れたカスタマーサービスで厚い信頼を得ています。
こうした取り組みが、残念ながらカスタマーサービスが悪いことで知られてしまっている格安航空会社のライアンエアーなどとの差になっているのでしょう。
ライアンエアーのCMOであるケニー・ジェイコブス氏によると、ライアンエアーは「ヨーロッパ旅行におけるAmazon」を目指しているとのこと。
しかしAmazonとは対照的に、ライアンエアーは顧客をブランディングの中心にはしませんでした。それどころか、ジェイコブス氏は「ブランドが愛される必要はない」とさえ明言しています。
実際にライアンエアーの顧客の多くは、CXをそれほど重視していません。単に安いから選んでいる人がほとんどでしょう。ストライキやキャンセルが頻発しても「それも安いフライトを選ぶリスクのうちの一部だ」と捉えられています。
問題があるのは、顧客対応だけではありません。同社は劣悪な労働条件と低賃金でも知られており、乗務員は下請け業者で、機内販売の売り上げを競わされています。席の指定から機内の飲み物まですべてが有料であるうえ、トラブルが起こると長い列に並び、ほとんど機能していないようなカスタマーサポートと格闘しなければいけません。
価格を低く設定すれば、低コストで旅行をしたい人が一時的には飛びつくでしょう。しかし上記のような問題を抱えたまま、今後も成長しつづけることは可能なのでしょうか?
ジェイコブス氏が主張するとおり、愛されることは必須条件ではないかもしれません。ただし感情的な価値を無視するリスクは、長期的に見たときにベネフィットを上回る可能性もあります。
価格などとは異なり、数値化しにくい要素である「感情」。しかし自分の胸に手を当てて考えてみれば、顧客の感情がどれほど大切かは明らかですよね。
モノがあふれる時代だからこそ、顧客一人ひとりの感情に向き合い、丁寧に対応することで、他の会社との差別化がはかれるはずです。
執筆:David Mendes
翻訳:Nakajima Asuka
編集:内田一良(じきるう)
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