ブランドアイデンティティとは?人々に選ばれる“強いブランド”を作るコツ

DESIGNER

ブランディングをするときに考えなければならない、ブランドアイデンティティ。

重要だとは知りつつも、理解できていない方も多いのではないでしょうか。

今回はブランドアイデンティティの概念、構成要素、成功事例をご紹介します。

ブランドアイデンティティとは

何を表しているのかちょっと分かりにくい、ブランドアイデンティティ。

ブランドアイデンティティの概念を提唱したD.A.アーカーは、以下のように説明しています。

「ブランドアイデンティティとは、創造したり維持したいと思うブランド連想のユニークな集合であり、ブランドが何を表しているのか示し、また組織の構成員が顧客に与える約束を意味する」
– D.A.アーカー

ブランドアイデンティティとは、消費者に「こう思ってもらいたい」という企業・商材・サービスの旗印なのです。

ロゴとブランドアイデンティティ

ブランドアイデンティティの代表とされる要素に、ロゴがあります。

20世紀までは、ロゴはブランディングの象徴であり、ブランディングとはそのまま「これはあの会社の製品だ」ということが分かるようなロゴを作ることを意味していました。

しかし現在、ブランドはロゴだけのものではありません。

「ブランドは期待や思い出、ストーリーと関係性の集まりであり、それらは一緒になって、消費者が他のものではなくある特定の商品やサービスを選ぶ決断を左右します。」
– セス・ゴーディン(著述家)

「ビジュアルアイデンティティはブランドアイデンティティの中でも私たちが実際に見る、視覚認知に関連した部分です。私たちはブランドアイデンティティをさらに抽象的なレベルまで深めていっています。」
– アヤディ・ガイト(デザイナー)

(出典:Blurring the visual line of brand identity

ブランディングには、ロゴなどの目に見える要素だけではなく、目に見えない要素もまた大切になってきているのです。

ブランドアイデンティティとブランドイメージ

企業側が「こう思ってもらいたい」という意思で作り上げるのが、ブランドアイデンティティです。

一方で、消費者側が企業や商品に対して「こう思う」という心象が、ブランドイメージです。

そして、ブランドアイデンティティとブランドイメージの両者を近づけるのが「ブランディング」です。

例えば、ある食品ブランドが「美味しくて体にいい」というブランドアイデンティティで売り出しているとします。消費者にも「美味しくて体にいい」というブランドイメージを植え付けられれば、ブランディングに成功したといえるでしょう。

ブランドアイデンティティを元にして一貫した広告宣伝やPRを行い、ブランディングを成功に導きましょう。

ブランドアイデンティティの4つの構成要素

消費者に「こう思ってもらいたい」という思いで作り上げる、ブランドアイデンティティ。

そんなブランドアイデンティティを消費者に届けてくれる、ブランドアイデンティティの構成要素を紹介します。

1. ロゴ

ブランドの名前を聞いたときに、最初に思い浮かぶのはやはりロゴではないでしょうか。

伝統のあるブランドは、シンボルを使わず企業や創業者の名前を書いたものが多いようです。このようなロゴは、「ワードマーク」や「ロゴタイプ」と呼ばれています。

現在のトレンドも、シンプルなワードマーク。Instagram、Google、Pinterest、Uberなども、シンボルのないロゴを用いています。

2. カラー

いくつかのブランドは、色の組み合わせでブランドを認識できるようになっています。企業の場合、これらはコーポレートカラーとも呼ばれます。

上の画像で縦に並べている色も、実はある2社のコーポレートカラー。どの企業か分かりますか?

答えは、左がGoogleで、右がAmazonです。

企業のコーポレートカラーが気になった方は、『GUIDELINE COLOUR』をチェックしてみましょう。メインカラーのみですが、馴染みのある企業のコーポレートカラーが載っています。

3. パターン

ロゴやカラー以外に、パターンもブランドアイデンティティ要素のひとつです。

デザインパターンだけでブランド認知を高められるため、看板や印刷物、プロダクトデザインなどにそのまま使われることも。

例えば上の画像は、シューズ・アパレルブランドであるVANSのブランドパターンです。スニーカーやスリッポンによく使われている、馴染み深いデザインですね。

他にも、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)やBurberry(バーバリー)といったブランドの名前を聞くと、特定のパターンが思い浮かぶ方も多いでしょう。

「このブランドといえばこの柄だよね」という印象づけも、立派なブランディング戦略です。ブランドアイデンティティを表現するパターンを考えてみましょう。

4. デザインシステム

デザインシステムとは、デザインの決まりを明文化し、誰もが同じ方向を向いてデザインできるようにするためのガイドラインです。

ときにはデザイン原則やパターンなどに、そのブランド固有の名前をつけることも。

▲出典:Airbnb design ”Building a Visual Language”

上の例は『Airbnb』のデザインシステム。見出しのサイズや、スペースの大きさまで決めています。

Airbnbの快適なユーザー体験は、この緻密なデザインシステムに支えられているのです。

ブランドアイデンティティの成功事例

ブランドアイデンティティをうまく設定し、ブランディングに成功している企業や製品をご紹介します。

NIVEA

NIVEAと言えば、深みのある青色の丸い缶に入った、真っ白なスキンケアクリームが思い浮かびます。

「肌がふれあう。ただそれだけで、人は人をあたためることができる。
まもることができる。一生の素肌に。あなたに。」
– NIVEA

NIVEAはブランドアイデンティティとして、「肌同士が触れ合うような、深い愛情を守り続ける」ことを大切にしています。

ビジュアルアイデンティティとしても、ブランドカラーを深い青色に統一。「青缶」と呼ばれるロゴそっくりの丸い缶が有名です。

青缶以外のパッケージデザインも、丸みのある優しいイメージで統一されています。

Starbucks

スターバックスコーヒーも、ブランディングに成功しているサービスのひとつです。

「人々の心を豊かで活力のあるものにするためにーーひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
– Starbucks

ブランドアイデンティティは、「コーヒーを通じて人の心を豊かにすること」。

ビジュアルアイデンティティとしては、深い緑と人魚セイレーンを起用したロゴデザインが印象的です。

店舗のインテリアや色使いも統一されており、どの店舗でもスターバックスらしさが感じられます。

まとめ

企業側が「こう思ってもらいたい」という意思で作り上げる、ブランドアイデンティティ。

ブランドアイデンティティにはロゴだけでなく、色使いやパターン、デザインシステムなど、さまざまな要素が含まれます。

ブランドアイデンティティを確立し、一貫したメッセージの発信を心がけましょう。

(執筆:mattun 編集:じきるう)

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