エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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ヤボな話ですが、誰しも他人の稼ぎは気になるものです。「あの人、年収いくらなんだろう……」とほとんどの人が思ったことがあるでしょう。
では、近年脚光を浴びているフリーランスはどれくらい稼いでいるのでしょうか?
GMOが2023年に行ったイメージ調査によると、会社員がもしフリーランスになったら「今より稼ぐ」ことを重視するという回答が目立ちました。会社員からすると、「フリーランス=より稼げる」という前向きなイメージを持っている⼈が多いことが伺えます。
しかし、これは本当なのでしょうか? 今回は個人事業主・フリーランスの稼ぎについて、各種統計やデータをつかって調べていきます。
目次
フリーランスの稼ぎを知るにあたって、
という4つのデータを参照し、同時に会社員とも比較していきます。
2019年に実施されたリクルートワークス研究所の調査によると、本業フリーランスの平均年収は約299万円となっています。
職種別では、ソフトウエア・インターネット関連技術者の平均年収が370.7万円と比較的高いことが分かります。
一方、dodaが実施した約63万人のビジネスパーソン(会社員、サラリーマン)のデータ調査によると、全世代(20代〜50代)の平均年収は414万円となっており、全世代の会社員と比較した際には、個人事業主・フリーランスの方が平均年収は低いと言えます。
フリーランスの年収分布は、フリーランス協会の発表している「フリーランス白書2024」でも最新データを確認できます。
これを参照すると、フリーランスの収入で一番多い層は200万円-400万円未満(26.8%)で、次に多いのが200万円未満(17.9%)という結果に対し、1000万円以上のフリーランスは9.7%いるとのこと。
フリーランスの中でも収入額には、やはり大きな格差があるようです。一方、この調査ではフリーランスの収入を「経費控除前の売上」と定義していることには注意が必要です。
また経費控除後の数字は、内閣府が2020年に実施した「フリーランス実態調査」に示されています。この調査によれば、本業フリーランス、かつ自身で生計を立てている人の年収は200万円以上300万円未満が19%と最も多くなっています。
フリーランスの年収(赤グラフ)を、本業で雇用者として働いている人の年収(青点線グラフ)と比較すると、フリーランスと雇用者の年収はほぼ変わらないようにも思えます。
しかし、ここでいう「雇用者」とは、
会社員、団体職員、公務員、個人商店の従業員など、会社、団体、個人、官公庁、個人商店などに雇われている者
と定義されているため、フリーターやパート、派遣社員なども含まれた数値です。正社員に限れば、収入が300万円未満の層の割合は減少すると思われます。
フリーランスの年収を語るうえで「経費」の話は避けて通れません。なぜなら会社員と異なり、収入に占める経費の割合が非常に多いからです。
フリーランスの経費率を示す具体的なデータはないのですが、ここではかつて税務署で用いられていた「概算経費率(標準経費率)」から大まかな経費率を求めてみましょう。
「概算経費率(標準経費率)」とは、かつて個人事業主に細やかな記帳が求められていなかった時代に「あなたは〇〇の職種ですね。ならば収入の〇〇%までの経費を自動的に認めます」という用途で使われていたもの。この制度では、職種ごとに経費率が定められており、一種の指標になっていたそうです(※現在は認められていません)。
関根稔法律事務所がHP上で公開している概算経費率表から、フリーランスに関連しそうな経費率を抜き出したのが以下の表です。
職種 | 経費率 |
写真家 | 44% |
文筆業 | およそ35~50%(収入により変動) |
日本画家、洋画家、漫画家、さしえ画家 | およそ35~50%(収入により変動) |
商工業デザイナー、服飾デザイナー | 30% |
時代が違うためエンジニアやマーケター、コンサルタントなどは考慮されていないものの、いまでも存在する働き方をふまえれば、経費率はおおむね年収の30~50%と推測できます。
最新の「フリーランス白書2023」では、回答者数が多かった上位5職種の年収分布もまとめられています。
やはり、最初の平均年収で見たデータと同じように、収入が高くなりやすい(=年収400万円以上が7割を超える)のは「エンジニア・技術開発系」や「コンサルティング系」という専門職系になりました。
逆に、一番収入が少ない傾向にあるのは「出版・メディア系」で、年収400万円以下の割合は59.5%となっています。
ここまでの調査から、以下のことが分かりました。
しかし、なぜフリーランスは「稼げる」「稼げない」と議論が割れるのでしょうか。
さきほどから、調査を紹介する際に「経費を除外するか否か」という点に触れてきました。これ自体が、フリーランスの「収入」に関する定義のあいまいさを象徴しています。
たとえば、会社員の収入は「額面収入」と「手取り収入」の二通り。どちらの定義にあわせて収入を示しても、会社員の働き方や差し引かれる社会保険料、控除などの金額の個人差はあまりないため、それほど問題にはなりません。
しかし、フリーランスは事情が大きく変わります。
フリーランスの収入を「年間の経費控除前の売上」にそろえると、単純に稼いだ金額は分かります。ところが、職種によって経費率は大きく変わってくるので、実際の「収入」は分からなくなります。
「なら、最初から経費を除いた金額を出せばいいじゃん」と思われるかもしれませんが、これも正確な収入を算出するのには不向き。
くわえてフリーランスには「控除」が多いことも考慮しないといけません。(経費と控除については、次の仮説で詳しく解説します)
つまり、調査によって「収入」の定義が異なることが、議論を呼んでいる原因のひとつと考えられます。
一般的な考え方として、「手取りの収入」を割り出せば、その人の稼ぎが分かると思われています。実際、会社員の場合はそれで問題ないでしょう。
しかしフリーランスの場合、「経費」や「控除」を考えていくと事情が変わってきます。
たとえば「経費」とは、ざっくり言うと「仕事をするためにかかった費用」。わたしはフリーライターなので、記事を書くための取材費用などが経費になります。
しかし、フリーランスをしていると、仕事とプライベートがしだいに混在してくるのです。たとえばフリーランスの場合は、自宅の家賃や水道光熱費などの一部が経費になります。会社員でも家賃補助などが支給される場合はありますが、水道光熱費は支給されないでしょう。
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このようなケースはほかにもあるため、フリーランスの収入から経費を差し引いたからといって、会社員と同じ感覚での「収入」を表せるわけではありません。
控除についても同様のことがいえます。たとえば、フリーランスはiDeCo(確定拠出年金)と小規模企業共済という制度を上限までMAXに活用すれば、年間で165万6000円の控除が受けられます。しかし控除されるとはいえ、この金額を支出していることは事実なので、単純に収入から差し引けば165万6000円のマイナスになってしまうのです。
ただ、この165万6000円は数十年後に高確率でそのまま手元に戻ってくるうえ、運用結果によっては増額されている可能性さえあります。
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そのため、控除を差し引いた額も「収入」と呼ぶのにふさわしいとは限らないのです。
収入の定義があいまいで、調査データがフリーランスの実態を表してくれない以上、わたしたちは感覚的にフリーランスの収入を把握しなければなりません。しかし、ここにも問題はあります。
フリーランスには最低時給がない一方、上限もありません。同じ労働時間でも実質収入が50万円になることもあれば、1000万円を超えることもあり得ます。前者をみれば「フリーランスは稼げない」となりますし、後者を考えれば「フリーランスは稼げる」と感じられるでしょう。
さらに、フリーランスには法定労働時間の概念がないため、意図的に働く時間をセーブする人もいれば、年中無休で働き続けている人もいます。そのため、1年間必死に働いて実質年収300万円という例もあれば、週3業務で実質年収300万円という例も想定されるため、見かけの収入だけで「稼げるか」を判断できないのです。
こうしたフリーランスの働き方の幅広さが、議論を呼ぶ原因になっているのではないでしょうか。
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本連載第1回でもまとめましたが、日本で本業フリーランスとして活動している人数は200~300万人程度です。
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会社員が6000万人程度いることを考えれば、フリーランスはかなり希少な存在です。
すると、ほとんどの人は実際にフリーランスとかかわる機会が少ない、もしくはまったくないと考えられます。
そのため、ニュースやSNS上で見かけるフリーランスや、身の回りにいる少ないサンプルから「フリーランス」の全体を判断せざるを得ず、実態を把握できていないのではないでしょうか。
会社員の場合、会社や職種によって収入が異なるという感覚が一般に浸透しているのに対し、フリーランスはその点が周知されていないと感じられます。
本記事の要点を整理します。
フリーランスは、会社員と異なり働き方や経費、控除などのあり方、さらに年代があまりにも多様です。そのため、見かけ上の平均年収は出せても、会社員と同じ感覚でとらえられる「フリーランスの実質年収」をデータで表すことは不可能と感じます。実際、わたしも自分自身の正確な実質年収はわかりません。
そのため、「フリーランスは稼げる」「稼げない」という議論は、そもそも論拠となるデータが「年収をどう定義するか」によって答えが大きく変わってしまうため、あまり意味はないでしょう。
あくまで大切なのは、「見かけの収入」ではなく「生活の豊かさ」です。見かけの収入を知るより、フリーランスの幸福度や充実度をデータ化したほうが、生活実態を把握できるかもしれませんね。
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(執筆:齊藤颯人 編集:泉)