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テクノロジーの進化によって、家電メーカーの製品にもさまざまな技術が取り入れられるようになりました。そんな中、IT機器の規格とAV機器の規格を統一することを目的に発行された新規格がIEC 62368。
今まで単一の機能しか持たなかった製品に、テクノロジーやソフトウェアを組み込むと、製品の安全性を評価する方法をも変わります。今回紹介するIEC 62368はそのひとつです。
製品においての「安全性」とは、人と環境によって起こり得る危険性から人を守ることを意味しています。製品の安全性テストは、感電、火災、電磁場のような人にとって危険なエネルギーから守れるかを証明するもの。従来の製品安全基準も同様です。予期できない危険(ハザード)が起こらないように想定された規格が作られています。
IEC 62368とは、製品の安全を保証するための製品安全規格のひとつです。規格の失効期限が近づいたIEC 60065とIEC 60950-1の規格を含みながらも、新たな規格IEC 62368へと移行しています。
IEC 62368はオーディオ、ビデオ、情報通信技術が利用される製品が保証する安全性についての規格です。ハザードベースの規格で、最先端の技術融合をサポートしています。
工学原則、研究、および現場のデータに基づいて、不意の事故への対応や危険性を特定した安全対策とテストに基づいたリスクベースのアプローチも取り入れた将来的な規格です。
電子機器の設計、ほかのシステムとの接続(エコシステム)、装置の設置と使用、システムの構造のようにシステム自体の問題を簡素化するのに役立つ面もあります。
2014年以来、IEC 62368の欧州、EN規格(北米2か国共通)のCSA/UL規格として『IEC 62368-1』が現在も使用されていますが、ISO 60065とISO 60950の失効期限(2019年6月20日)と伴って新規格への規格移行準備が必要です。電気電子技術標準化委員会は欧州連合と2020年12月には、The Official Journal of the European Unionへ変更を掲載する合意しました。つまり、EN 62368はLVD(低電圧指令)と欧州RE指令(RED)の要件下では必須となることを意味しています。
IEC 62368の安全規格は製品から発生する可能性があるすべての危険性を考慮に入れた上で、製品の安全性を証明するものです。標準の範囲には機能安全面が含まれていないため、機能安全が適用される場合には他の標準と併用されます。
ハードウェアとソフトウェアが連動してハザードを防げなければ、ソフトウェアの安全性が保証されているとはいえません。火災警報器を例に考えてみましょう。
煙を検知したらスマートフォンを介して警告を発する火災報知機の場合、ソフトウェアの他のハードウェアも稼働します。安全性の欠陥は、双方に起こり得ます。「基本安全性」と「機能安全性」という言葉があります。両方が叶えられていないと、ソフトウェア性能の不具合が重大な安全性についてのリスクを引き起こす可能性があります。
基本安全性とは、製品の物理的構造や設計の結果、物理的危険性(火災、感電、環境損傷)から起こる事故を起こさないようにする安全性のことです。火災警報器が天井にまで達した煙を感知するとしても、天井が火災によって焼け落ちていたらどうなるのでしょうか? 火災警報器のソフトウェアが停止したり、クラッシュするとどうなりますか?
火災警報器の警告が機能しない可能性を限りなくゼロにするためには、火災警報器そのものに機能を追加するのではなく、アプリケーションとの連携によって安全性を高めると良いでしょう。
技術の進化に伴って、安全を証明するための規格は変わっていきます。このような規格の定義から製品の安全性はハードウェアからソフトウェアへと移行していることがうかがえます。
たとえば、オーブンのドアロックは、内部の温度センサーに基づいてオーブンのドアを開閉できます。それによって、物理的な機能安全が保証されています。これは機能安全性です。オーブンが勝手に開けば料理が灰になるか、最悪の場合は火災が発生すると考えられます。
その際に、火災報知器のソフトウェアがクラッシュしていると大変危険です。このような危険から人を守るために、現行の規格からIEC 62368へと移行が進行しています。
ちなみに、オーブンドアのロックのような安全性についてはIEC 60730や、多くのケースで求められる機能安全基準の枠組みを提供しているIEC 61508といった規格があります。
進化する技術に対して安全性を保証するために、今後もこのような規格が増えていくことでしょう。
(翻訳:Yuri Tanaka)