みなさん、おげんきですか?

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

 

こんにちは、ライターの西山です。

私事で恐縮ですが、2年前にメンタルの調子を崩して、半年ほど仕事を休んだ時期がありました。その経験からいまは「フリーランスのメンタルヘルス、めっちゃ大事」と、切実に思っています。

 

この連載で「フリーランスのメンタルマネジメント」について取り扱おうという話題が出たとき、僕は大学時代からの友人であるメディアアーティストの“えっちゃん”──市原えつこさんのことを思い出しました。彼女は以前、「じわじわとメンタルを蝕む、フリーランスの闇」というブログを書いていたんですね。

 

市原えつこ 階段

当時これを読んで「えっちゃんも闘っているんだな、自分も頑張ろう」と勇気をもらえたものでした。そんな市原さんにぜひ、「メンタルマネジメント」をテーマに話を聞いてみたいと思い、今回の取材が決まりました。

本記事では、市原さんの過去をひも解いていきながら、「フリーランスの上手なメンタルマネジメントのコツ」を言語化していきたいと思います。

 

落ち込んだりもする心と、私たちはどう向き合っていけばよいのか。

そんな問いに、市原さんは「メンタルは波打ってるほうが健全」「全人類、自分を褒めて生きていこう」と話します。

“フリーランスの”と銘打ってはいるものの、働く人たちみんなに読んでほしい「すこやかに生きるヒント」が詰まった記事を、どうぞご覧ください。

 

※メンタルの話題について気楽に話してもらうために、この対談は同級生どうしの距離感で進行します。あらかじめご了承ください

大根がバズって見えてきた、フリーランスの可能性

西山:まずは、読者の皆さんのために、市原さんの経歴をざっとまとめてみました。

 

市原えつこ プロフィール

西山:そして、今回は事前にモチベーショングラフならぬ「メンタルグラフ」を書いてきてもらったんですよね。今までのメンタルの上がり下がりを、直感的にグラフにしてもらいました。それがこちら。

 

市原えつこ メンタルグラフ

西山:えっちゃんの個人事業主としてのキャリアは、会社員時代から副業的にスタートしてるんだよね。大学生時代からメディアアートの作品はつくっていたけど、卒業後は就職して、UI/UXデザイナーをやってたと。

市原:そうだね。学生の頃からアーティストに漠然と憧れはあったけど、あんまり自分の人生には関係ないというか、「自分はそういうタイプの人間じゃない」と思ってたから。

 

市原えつこ アゴにて

西山:えっ、そうだったんだ。大学でずっと何かしらつくってたイメージがあったから、ちょっと意外。

市原:卒業したら、ちゃんと会社で働いて、ちゃんと真っ当に生きようって。そう、「社会的に“ちゃんと”しなければ」って義務感や呪いは、昔からすごく強く持ってた気がする。

西山:そこから「個人の仕事をやっていこう」と意識し始めたのは、何かきっかけがあったの?

市原:Webデザイナーとして就職したけどデザインやコーディングを専門的に学んでいたわけではなかったし、とくに会社に入って間もない頃は即戦力という言葉からはほど遠いダメな新卒で、自分なりに頑張っても、凡ミスも情けなさも積もっていく一方で。

そのはけ口として「ただただ楽しい個人の創作活動をやりたい」と思うようになっていったんですよ。まあ、学生の頃が懐かしくなったんだよね(笑)。

ちょうどそんなタイミングで、学生時代に知り合ったAR三兄弟の川田十夢さんに「僕らのイベントで何かパフォーマンスやってよ」と誘ってもらえて。そこに合わせて、学生時代に制作した作品を、ちゃんと他人様に見せられるようにつくり込み直したんです。

西山:「喘ぐ大根」で話題になった、セクハラ・インターフェースだ。

 

市原:これを発表したら、思った以上に評判がよくて。それまで会社で真面目に働いてもミスを連発して自信をなくしていたから、「自分のやりたいことをそのままやっても、こんなに受け入れられるんだ」って嬉しかったんですよね。

会社でやっていることには意義を感じていたし、先輩や同僚も尊敬できる方々だったし、仕事が面白くなかったわけじゃないんです。ただ、やっぱり会社の仕事は「自分じゃないほうがうまくできるのでは?」とも感じることが多くて。要領も悪くて社内政治に長けたタイプじゃないし、「会社員的な働き方が、自分には向いていないのでは?」って感覚がずっと抜けなかった。

西山:そういう悩みを抱えていた最中で、社外のアーティスト活動が評価されて、それが「個人でもやっていけるかも」と思うきっかけになった?

市原:最初のきっかけはそこでしたね。新卒2年目の2012年に入って、くすぶっていた自分を見かねた上司のすすめもあって、試しにいろんなコンペに応募してみたんです。すると東京都現代美術館のコンテストをはじめ、なぜか本業のデザインではなくアートの分野で立て続けに賞が取れて。

露出が増えていくにつれ、「喘ぐ大根」が国内外でバズり始めて、社外でアーティストとしての依頼が少しずつ増えてきたんです。

西山:「大根がバズる」の力強さよ(笑)。

市原:それで「これだけ評価してもらえるのであれば、独立して活動しても楽しいのでは?」という思いが芽生えていった。ただ、個人でやってる仕事と、会社で悩みながらやっている仕事の乖離が激しくて。あの頃は、完全に二重人格みたいになっちゃってたな。

西山:それでも、すぐに仕事を辞めたりはしなかったんだよね。

市原:うん。個人のアーティストとして「どうやったら食べていけるのか?」というメドはまったく立っていなかったから、その二重生活はしばらく続くことになるんだけど。

 

自分がなりたい姿≠周囲や会社が期待している姿

西山:それで、2013年のはじめに、一回ガンとメンタルが落ちてるよね。これは何があったの?

 

市原えつこ メンタル落ち

市原:それまでは会社の仕事と個人の仕事の繁忙期がうまくズレてたんだけど、ある時期に両方でキャパを超えるような仕事が、たまたま同時にきてしまって。片方だけだったら全然大丈夫だったんだけど、心身ともに参っちゃった。

 

市原えつこ 手を前

西山:大変だったね……。

市原:2週間ぐらい、早めに帰らせてもらって、個人の仕事も一旦ストップしてのんびりしたらだんだん元気になったんだけどね。その後から開き直りが生まれて、「そのうち辞めるかもしれないから、卒業制作のつもりでやり残しのないようにやり切ろう」と腹をくくったんです。

そこから会社の仕事に猛烈に取り組んでいたら、それまで全然使えない新卒だったのが突然成果が出てしまって、人手不足も重なって、任される仕事量や権限が一気に増えた時期があったんだよね。

で、「任されたらやりきらなきゃ」と、変な責任感でどんどん引き受けて。上司もすごく尊敬できる人で、絶対的に信頼していたから「ボスのためなら!」って感じで、その時期は作家業もおさえて滅私奉公モードで頑張っちゃって。ホントは自分にあまり向いてないマネジメントの仕事でも。

西山:なんか気持ちわかるな。「自分を頼ってくれてる……断れない……」ってなるよね。

市原:うん、意地みたいなものも生まれてきてしまって。やがて限界がきたときに会社を辞めようかとも思ったんだけど、「まだ辞めた後のことも考えきれてないから、まずは一旦落ち着いて、徐々に自分の責任やプライドを手放していった方がいいなと踏みとどまって。

ただ、このままの環境やポジションで働き続けるのは無理そうだから、最終的には思い切って上司に無理を言って、もっと自由な部署に異動させてもらったんだけど。

西山:やっぱり本当にヤバくなったら、SOSを出すことって大切だよね。

市原:そう思う。自分の限界を感じたら、「人に迷惑がかかるかも」なんて遠慮はしないで、正直にSOSを発信した方がいい。あの時は上司がすぐに対応してくれて、ホントに助かったな。

自分がなりたい姿と、周囲や会社が期待している姿が、必ずしも同じとは限らない。あの頃は「周りがそう期待するなら、私はそうならなきゃいけない」って思い込んでいた節があったな。それは本当に自分が望んだことではなくて、「ダメなヤツだって思われたくない」ってプライドの裏返しなんだよね。自分でそのプライドを剥がしていくのは、大変だった。

西山:一回ダウンして、自分の現状や心の状態を立ち止まって考えることができてからは、落ち着いた?

市原:そうだね。サラリーマンとしての出世とアーティストとしての人生を天秤にかけた結果、あらためて「個人の作家仕事に少しずつウェイトを移していこう」と決めて、仕事の量をセーブするようになった。

収入は安定している上で、社外でやりたいことはできるから、異動してからは個人的にはちょうどいい状態をキープできていたなと思います。周りの同僚や先輩たちも奇才揃いで、面白い人が多かったし。こういう考え方、従業員としては決して模範的ではないと思うけれど(笑)。

守護霊に足を折られて退職を決意

西山:その後、独立に踏み切れたきっかけは何だったの?

市原:占いと骨折です。

西山:占いと骨折???

市原:とある映像作家の展示に行ったときに、アート界隈でひそかに有名な占い師さんがいて。その人に「会社を辞めてフリーになるか迷ってるんですよねー」って軽く相談したら、深刻なトーンで「すぐにでも辞めた方がいい」と諭されたんですよ。「守護霊が貴方の足を折って、ゆっくり考えさせようとしている」とまで言われて。

西山:足を折って考えさせる……?

市原:私も「何それこわっ」と思いながらも、二重生活で忙しいからそんな話はすぐに忘れてしまっていたのだけど。そしたら、その1カ月後くらいに、会社で階段から落ちて。

西山:え、まさかそれで折れた?

市原:うん、本当に足の骨を骨折してた(笑)。だから、一週間後の面談で、上司に「会社辞めようと思ってます」と言ったんですよ。上司は自分のせいかと思って少し気にしていたけど、私は「いや、大丈夫です。これは守護霊のせいなので」って(笑)。

 

市原えつこ 良い笑顔

西山:退職理由が「守護霊のせい」って、いいね。誰も傷つけない感じが(笑)。でも、他人からの助言が踏ん切りをつけるきっかけになったのは、きっとよかったんだろうな。

市原:よかったよかった。そういうきっかけでもないと、なかなか辞めるタイミングが掴めなかったから。実際、骨折や入院がきっかけで会社を辞めた人って、周りにも何人かいて。普段のルーティーンから無理やり引き剥がされて、冷静に現状を考え直すチャンスになるんだろうね。

西山:忙しすぎると視点が今に集中して、長期的なことを考える余裕がなくなっちゃうもんな。

ヤスムノコワイ症候群、発症

西山:それで、独立してから1年くらいは調子よかったんだね。

市原:辞める時に退職エントリを書いて、それがきっかけで怒涛のように仕事のご依頼を頂いたから、いわゆるご祝儀案件だと思うけど、おかげさまで当面は仕事に困ることはなかった。

ただ、ずっと不安はあったんですよね。それを隠すように、ひたすらメンタルがハイになってた感じで。

 

市原えつこ 良い波

西山:不安?

市原:5年間ずっと、ヒマだろうが忙しかろうが毎月勝手にお金が一定額振り込まれてくる生活で、独立したらそれがなくなるから「ヤバい、怖い!」って気持ちは強くて。

とくに1年目は、どれくらい稼いだら安心なのかもわからないから、しばらくは目を「¥」のマークにしてがむしゃらに働いてた。でも、初期にたくさん引き受けていたのは、匿名的で手堅いデザインの仕事も多かったな。

そうして馬車馬のように働く生活を1年くらい続けたら、肉体的にガタがきて、ちょっと強制的に休む期間ができたんですよ。資金的にも余裕ができてたから、せっかくなので仕事をセーブして、しばらく自分を休ませるご褒美タイムにしようと。

西山:そこで立ち止まって、またメンタルを立て直していったわけだ。

市原:いや、逆に落ちた(笑)。

西山:えっ???(笑)。

市原:仕事をめっちゃ詰めてきたのに、いきなり何もしない期間ができたから「これってフリーランスの皮を被ったニート、いや、豚なのでは?」と、後ろめたさがすごくて(笑)。「自分は働くことで社会と繋がってる」って気持ちが強かったんだよね。

西山:なるほどなあ。フリーランスには「休むのが怖い」って人、結構多いかもしれない。

市原:会社にいると上司に管理されてるし、タイムカードを押したらモードが切り替わって「終わった終わった、ビールビール!」って言えたんですけどね。フリーになってからは、『千と千尋の神隠し』の最初に出てくる千尋の両親みたいに「休んでたり好きなことしかしていないと、気づかないうちに堕落して、精神的に豚になってしまうのでは……?」って怖さがずっとある(笑)。

西山:たしかにあの豚化は恐ろしいわ……。

市原:私が独立したタイミングって、ちょうど漫画家のかっぴーさんや売れっ子ライターのさえりさんも独立されてた頃で、自分も含めて周りを見ても「傍から見るとうまくいってそうなのに、なぜかメンタル落ちてる」みたいな人が結構いて。

「これってどういうことなのか?」とちゃんと分析して整理してみようと思って、いろんな人の顔を思い浮かべて勝手に想像しながら例のブログを書いたんですよ。

 

市原えつこ ろくろ風

西山:じわじわとメンタルを蝕む、フリーランスの闇」ね。あそこに書かれていた「自分の名前で生きていくプレッシャー」「全て自己責任」「苦楽を分かち合う同僚がいない」とかって、まさに個人事業主が向き合わざるを得ない課題だよなあ。

ただ、あのブログの後に、すぐ真逆の内容のブログも書いてたよね? 「フリーランスの醍醐味:闇と光は表裏一体」って。

市原:そうそう。整理しながら「でもこれ全部、フリーのいい面の裏返しでは」って気づいて。それと、闇のほうを出した後に「じゃあ貴方はフリー向いてないんじゃない? 辞めたら?」みたいなクソリプが来て、「うるせえ!」って気持ちもあったりして書いたんです(笑)。

西山:そうやって整理できたことで、メンタルを回復させるきっかけを掴んでいったの?

市原:いや、そうでもなかったかな。しばらくして、文化庁メディア芸術祭の受賞が決まって、アーティスト名義の仕事がぐんと増えていって。それで忙しくなって、当面の不安が消えていった感じだった。根本的な解決ではないけど、「ほどよく忙しいとメンタルは落ちない、時間的なゆとりができた時に落ちやすい」って傾向を自覚できたのはよかったな。

夢が叶って落ちたメンタル、立て直すきっかけは「海外遠征」と「将来設計」

西山:でもその後で、また急落してるんだよね。国内でも有数の権威を持つ賞も取って、忙しく過ごしていたにもかかわらず、なんで落ちちゃったんだろう?

市原:受賞展が終わった帰り道に、ふと気付いたんですよ。「あ、夢が叶ったのかもしれない」って。学生時代に憧れていた生き方を、いま自分がしているのかもって。その直後に、どっとメンタルが落ちた。

 

市原えつこ 波落ち

西山:夢が叶って落ちた??

市原:アーティストとして独立することも、メディア芸術祭で受賞することも、学生の頃に「生きてるうちに、こんなのできたらいいな」とぼんやり憧れていた大きな目標だったから。目指していた場所にたどり着いたら、その先に何がやりたいのかが全然見えなくなって、しばらく何もやる気が起きなくなっちゃったんですよ。

西山:燃え尽き症候群みたいな感じか……フリーだと会社員と違って、誰かが次のステップを用意してくれないもんなあ。

市原:それに会社だったら「同期が出世してて、いま自分はこういうポジションだから、頑張らなきゃ」って比較ができるから、現在地がわかりやすい。フリーはそれがないから、「いま自分がどこにいるのか」がわからないよね。

西山:それで、失ったやる気はどうやって回復したの?

市原:持ち直すきっかけになった出来事がふたつあって。

 

市原えつこ 講演

市原:ひとつは、翌年に海外のメディアアート賞を受賞して、初めて海外での作品展示の機会を得たこと。

新しい挑戦に取り組む中で、言語もままならず「自分ってまだまだだな。もっといろんなスキルを磨かないと」って思えた。やっぱりフリーの仕事は、変化がないとルーティーン化してくるから、それが目標を見失う原因のひとつだったのかもしれない。

西山:めっちゃ共感する……! 慣れてきた頃に「あれ、なんか手癖で仕事してない?」ってはたと気づく瞬間、自分にもあったな。手癖は積み上げてきたスキルだから、それ自体悪いわけではないんだけど。

ただ、そういう仕事ばかりしてると、どんどん楽なほうにいっちゃって、成長できなくなるんだよね。

市原:そうそう。海外の受賞展の準備は、まったく手癖で対応できない未知のことだらけだったから、必死に向き合うことでいろいろと持ち直した。

西山:もうひとつの出来事は?

市原:メディアアーティストの先輩で研究者でもある、落合陽一さんの受け持つ授業にゲストとして呼んでいただいたことですね。そこでいろいろ議論する中で、落合さんから「5年後どうしたいの?」って聞かれて。

西山:目標を見失ってた時期だよね、それはどう答えたの?

市原:「うーん、どうでしょう?」としか言えなかった(笑)。そこで落合さんが「5年単位ぐらいで将来設計を決めると、そこに向かうまでの流れが具体的に見えてくるから、あとはそれに乗っていけばいい」と話していて。

その言葉にガッツリ影響を受けて、早速大きい模造紙と付箋を買って家に帰って、「自分が死ぬまでにやりたいこと」を片っ端から書き出していったんです。

さらに「40歳までにはここまで、35歳までにはここまでやりたい」と時系列を定めていくと、自ずと今やるべきことが見えてきて。「ここまでに子どもを産む」って思ったら、「じゃあそれまでに、海外でやりたいことは一気に進展させておかなくちゃ」とか。

西山:仕事だけじゃなくて、私生活のやりたいことも一緒に整理していったんだね。

市原:そしたら目標もリセットされて、またやる気が戻ってきたんですよ。20代中頃までの「無知ゆえに想像の限界があった未来予想図」を、大人になっていろんなことを体験してからの自分でまた再構築するのが、30歳前後のひとつの課題なのかなって思いますねホント、自分のやりたいことの棚卸しはできてよかったなと。

海外に行けたのも、タイミングがよかった。所属している業界の規模もそんなに大きくないから、日本のメディアアート業界にいると、だんだん知り合いだらけになってきていて。けれども日本を離れてみたら、未知の領域がたくさんあって「まだ塗りつぶしてない陣地がたくさんある!」って気づくことができたから。

西山:何かの拍子に世界が広がると「まさかこの程度で“上がり”だと思ってたの自分?」って恥ずかしくなるよなあ……。

市原:それめっちゃわかる。日本でアーティストとして独立して食べていけるようになって満足してたけど、「マサラタウンでポッポ倒して満足してただけじゃん!」って。

西山:唐突な初期ポケモンネタ(笑)。でもホントに、すぐそばにまだ攻略してないチャンピオンロード(※)があるのに気付けてなかったりするんだよね。

※ゲーム「ポケットモンスター」シリーズに登場するダンジョン。

メンタルは波打ってるほうが健全?

西山:さて、ひと通りえっちゃんのフリーランス人生を振り返らせてもらったんだけど、あらためて「フリーランスのメンタルコントロールのコツ」って、どんなところにあると思いますか?

市原:まずは、「日々の振り返り」が重要だなと。

自分の場合は、新しいことに挑戦していない時期に仕事へのモチベーションが下がって、それと一緒にメンタルの調子も悪くなることが多かった。振り返りをして、自分のメンタルの上がり下がりの傾向が掴めてくると、なんとなく対策が見えてくると思います。

西山:そうだね。振り返らないと、同じことをただただ繰り返すことになっちゃうもんね。

市原:それと、「常に新しい挑戦をし続けること」も大事だと思ってます。進んでレベルアップできるような環境に飛び込んでいかないと、フリーランスは成長できないだけでなく、惰性でズルズルと意欲も下がっていく懸念があるから。

そうやって定期的に自分を追い込んでいくことで、「メンタルの豚化」は防げるはず。

西山:メンタルの豚化(笑)。でもたしかに、「自分はある程度成功してる」と思い込んでずっと成長機会をつくらないままでいると、スキルが伸びないままプライドばかり肥大化していきそうだ。

市原:最近「仮想通貨奉納祭」って奇祭イベントを主催したんだけど、大勢の人を巻き込むプロジェクトを切り盛りするのは初めてだったから、全然うまくできないことだらけで。毎日深夜まで半ベソかきながらガントチャートを引いてたんですよね(笑)。

 

市原えつこ お祭り

市原:そうやって「やりたいことをやるための、できないこと」をやっている時って、すごく“生きている感”が強かった。「挑戦している、あがいている」時期は、日々へこみはするんだけど、長期的に見たらメンタルは安定してるんだなって。

西山:なるほどなあ。そっか、メンタルって「一時的に下がっているから危ない」って話じゃないのかも。むしろ「細かく上がったり下がったりして、波を打っている状態」が健全なのかもしれない。

市原:そういえば、さっきのメンタルグラフで書ききれなかった部分があるんだけど……。

 

市原えつこ ぐしゃぐしゃ

西山:波でしかない!(笑)

市原:今までを俯瞰してみても、こうやって波打ってる時期が健全だなって感じがする。新しいことをやっている時は、いつも落ち込んだり喜んだりして、細かく波を打ってるしね。

西山:「メンタルが落ちないように」って気にしすぎると、逆に自分の自然な感情を押し殺して、心が疲弊してしまうかもね。落ち込む時は素直に落ち込んだほうが、あとで楽に上がっていけそうだ。

市原:うん。一旦落ち込みきって、落ち着いたら「なんで落ち込んだんだろう?」って振り返りができるといいかもしれないですね。

自分だけの「吐き出せる場所、振り返られる場所」を大切に

西山:ここまでの整理で、「フリーランスのメンタルマネジメントのコツ」は、以下の3つに整理できるかなと思いました。

ひとつは、日々の振り返りをして、自分のメンタルの上がり下がりを自覚すること。
もうひとつは、やりたいことに向かって、新しいチャレンジをし続けること。
そして、波を受け入れること。

あとは+αとして、内省もできないくらいに困窮した状況を察知したら、「(できれば骨を折らずに)今いる場所から一時的に離れてみる」ことも大事そうだね。

でさ、話を聞いていると、やっぱり自分の状態を自覚する「振り返り、内省」こそが、メンタルコントロールの基盤になるのかなと感じたのだけど、えっちゃんは日頃どんなやり方で振り返りをしてますか?

市原:それで言うと、自分は昔から日記を毎日つけているんですけど。

西山:毎日!

 

市原えつこ 良い笑顔2

市原:その日記の中で「あの時の自分はこうで、今の自分はこう考えているんだ」とか比較するのは、ただの趣味としてずっとやってきたんだけど、セラピーにもなるんですよね。それと別に、精神の膿出しのための、誰も読めない非公開のブログもずっと書いてて。

西山:それは、自分の感情を吐き出すための?

市原:そうそう。支障のないところに吐き出しておいて、後で振り返れるようにしてる。「何を書く」とか決めずに、ただ思っていることを全部書き出すような感じで。それをずっとやってるおかげで、今まで大きくメンタルに不調をきたすことがなかったのかも。

西山:なるほど。今って発信する場所はいっぱいあるけど、すべてを発信すること前提で書くと、吐き出せずに溜まっていくモヤモヤがきっとあるもんね。だからこそ、他人には見せない場所に、そのまま書いてみると。

市原:やっぱり、人に言えることって限られてるから。誰にも見せないからこそ、正直に思っていることを書ける。「自分が何をイヤだと思っているのか」「本当は何がやりたいのか」とか。それらはたまに自分でも見失っちゃうことだから、書き出すことでいつでも振り返られる状態にしておけるのは、とてもいいことだと思います。

全人類、自分をほめて生きていこう

西山:最後に、内省のやり方についてもう少し詳しく聞かせてもらえたらと。自分用の振り返りブログは、いつ書くとか決まってる?

市原:毎朝起きた後すぐに書いてるよ。

西山:へえ! その日のうちに、じゃないんだ?

市原:寝てる間に頭の中で情報が整理されるから、書きやすいかなって。それに、イヤなことがあった日は、その日のうちに振り返りをするとどんどんダークサイドに引き寄せられるから、寝られなくなっちゃう。そういう日はさっさと寝るのが一番。

一旦寝て、思考が搾りたてのフレッシュな状態で気持ちをバーッと書き出したら、頭も心もスッキリする。これを朝にやると、その日の仕事はやっぱり捗るんすよ。

西山:ノイズを吐き出してるから、落ち着いて仕事に打ち込めるんだろうね。「あー、昨日イヤなことあったな」って引きずりながら仕事してると、やっぱり進捗悪くなるもんなぁ。ほかに、内省のコツだなって思うことは何かあったりする?

市原:振り返る時は、もちろん反省もするけど、基本的に自分で自分のことをなるべくほめてる。そうしないと、人からの承認を求めるようになるから。人にほめてもらおうとするよりは、自分で自分をほめたほうが、メンタル的にも人間関係的にもヘルシーでよいと思う。

西山:それ、めっちゃ大事だ。そうだね、自己肯定できないと、他人からの評価に依存しがちになる。日本人は結構、自分をほめるの、苦手な人が多いかもしれない。

市原:アインシュタインが「どうして、自分を責めるんですか? 他人がちゃんと必要なときに責めてくれるんだから、いいじゃないですか」って言葉を残していて、私は結構その言葉を信奉してるんですよ。

主観的に自分のことを認めてあげられたら、客観的にも自分の行動って変わってくれると思うんです。学生の時は自己嫌悪が強くって、あの頃の日記を読み返したら、毎日「死にたい」とか、ネガティブなことしか書いてなくて(笑)。

ただでさえ自己嫌悪になる出来事が多かった会社員の頃に「ほめグセ」をつけていったら、メンタルが崩れにくくなったし、そこから自分の意志を信じられるようになって道が拓けていった感覚は、すごくあるんですよね。

西山:自分をほめて、人生変わったと。

市原:うん、そう言えると思う。だからホント「自分をほめる」ことは、全人類やってほしいなって願ってる。自分へのほめ言葉を誰かに見られるのは抵抗があると思うから、せめて誰にも見せないところで、自分を目一杯ほめてみてほしいですね。

西山:最後に力強いメッセージをありがとう。なんか、フリーランスとか関係なく、これから健やかに生きていくためのヒントをもらえた気がします。僕も積極的にメンタルをケアして、「ご自愛」していこうと思った。

市原:「積極的にご自愛する」っていいね(笑)。

西山:今日はホントにありがとう。お互い波打ちながら、今後ともサバイブしていきましょう!

(執筆:西山武志 撮影:山中康司 編集:山中康司、Huuuu)

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