人工知能のマーケティング活用15選。顧客行動ステップ別に解説

MARKETER

2019年現在、「Artificial Intelligence=人工知能」はマーケティングの分野でもホットなワードです。

しかし一言に人工知能といっても、幅広いさまざまな技術がその中には含まれています。人工知能とは、人間の知能を模倣しようとする全ての技術を意味する言葉で、その中には音声認識や画像認識もあれば、機械学習やセマンティック検索なども入ってきます。

マーケターたちは最新のテクノロジーがいかに魅力的かを熱く語り、画像認識や音声認識、データ漏洩防止や離れたコミュニティをドローンで狙うなんていう技術まで話のネタをもっています。もちろん、全て素晴らしい技術ではあります。

しかし、それらがどうマーケティングに結びつくのでしょう? 派手な話で興味を引いても、使い道を示せなければ意味がないのです。

そこで本記事では、さまざまな規模のビジネスで利用可能な、マーケティングに関わる人工知能アプリケーションを顧客行動のステップ別に15個ご紹介します。

IC

人工知能の3つの種類

計算機による知能的な処理を含んでいれば、どんな技術も「人工知能」と呼べますが、ここでは以下の3つのタイプに分類してみましょう。

  • 機械学習:アルゴリズムを用いてデータセットから「学習」し、傾向モデルを作りだすような技術
  • 応用傾向モデル:機械学習により得られた傾向モデルから、特定のできごとを予測する技術。たとえば見込み顧客の購入傾向データに基づいてリードスコアリングをするなど
  • 人工知能アプリケーション:顧客への質問対応や新しいコンテンツの筆記など、通常は人間のオペレーターが必要になるようなタスクを人工知能が代替する技術

それぞれの人工知能はマーケターにとって大きな意味をもちますが、技術ごとに別の役割を持っており、顧客が購入に至るまでの過程のそれぞれのタイミングで効果を発揮します。あるアプリケーションは顧客を惹きつけることが得意で、一方で顧客との対話や過去の顧客を呼び戻すのが得意なものもあります。

今回はRACEフレームワークを用いて顧客行動を4ステージに分け、それぞれで役立つ技術を配置しました。

Reach:さまざまなインバウンド技術を用いて訪問者を惹きつけよう

「Reach(リーチ)」段階では、コンテンツマーケティング、SEO、その他のアーンドメディアなど、ユーザーを自社サイトに誘導し、コンバージョンまでの導線を引く仕組みが含まれます。

人工知能アプリケーションや応用傾向モデルは、この段階でより多くのユーザーを惹きつけ、自社サイトに訪れる人の興味をそそるような体験を提供するのに活用できます。

1. AI生成コンテンツ

これは人工知能の中でも特に興味深いエリアです。人工知能によって政治的な意見のコラムや産業別のビジネスアドバイスのブログを書くことは難しいですが、人工知能が生み出したコンテンツが顧客誘導に役立つ分野もあります。

人工知能の自動文章生成プログラムは、データセットから要素をくみ取って「人間のような」記事を書けるようになってきています。たとえば『WordSmith』と呼ばれる人工知能ライティングプログラムは、2016年に1.5億作ものコンテンツを生成しており、今後さらに成長することが予測されています。

人工知能ライターは特に「定期的なデータにフォーカスしたできごとの報告」に役立ちます。たとえば収益リポートやスポーツの試合結果、市場データなどがそれに当たります。もしあなたのビジネスが、たとえば金融サービスなどの定期的なデータと関連の強い分野で営業しているならば、人工知能生成コンテンツはコンテンツマーケティング戦略の重要な部分を担えるでしょう。現在の購買層の分析からヒントを得て、Facebookの広告のコピーやメールタイトル、お客様への定期配信メール(ナーチャリングメール)に活かせるコンテンツが自動生成できるのです。

2. スマートコンテンツキュレーション

人工知能主導のコンテンツキュレーションは、ウェブサイト内のコンテンツを訪問者の興味関心に合わせてキュレーションしてくれます。

一番よく見る例は「これを買った人はこのような商品も買っています」という表示ですが、ブログコンテンツの表示や、サイトに表示される個人向けメッセージでも同様の仕組みが活用できます。

この技術は会員制のビジネスにとっても素晴らしいものです。ある登録者がサービスを使えば使うほど、機械学習アルゴリズムが働き、レコメンド機能の精度を上げられるのです。その良い例がNetflixのレコメンド機能です。詳しくは以下の記事でご覧ください。

3. 音声検索

音声検索は独立したひとつの人工知能テクノロジーですが、マーケティングの場面では自社の音声検索機能についてではなく、大手企業(GoogleやAmazon、Appleなど)が開発してきた技術を利用する、という話になってきます。

音声検索は、未来のSEO戦略を変えるともいわれており、全てのブランドはこの変化についていく必要があります。これからは人工知能主導のバーチャルな個人向けアシスタントが増加することにより、より音声検索のトラフィックが増えていきます。音声検索を制する企業が、オーガニックトラフィックの中で高い購買意欲を持つ顧客を獲得し、利益を何倍にも増やせるでしょう。

4. 運用型広告

運用型広告(プログラマティックバイイング)では、機械学習アルゴリズムが生成した傾向モデルを、最も関連性の強い顧客に対して広告を効率的に打つために利用できます。特に最近のGoogleの安全性に関するスキャンダルを受けて、運用型広告もより「賢く」なる必要があると言われています。

スキャンダルというのは、Google広告(Google Ads)を通じてプログラムによって配置されていた広告が、テロリストのウェブサイトにも表示されており、それがテロリスト集団の収益に繋がっていたことが明らかになったものです。人工知能の技術はここでも利用されており、怪しいサイトの内容を認識し、広告を貼るサイトリストからそれらを除外するのに役立ちます。

Act:訪問者を招き入れ、製品に関心を持たせよう

5. 傾向モデル

すでに何度も言及しているとおり、傾向モデルが機械学習のゴールのひとつです。

機械学習のアルゴリズムは、過去のデータを大量に与えられ、それらを現実世界に対する「傾向モデル」を生み出すために使います。

機械学習

6. 予測分析

傾向モデルは、あらゆる分野への応用が可能です。例えば顧客が購入に至る確率や、どの価格で購入に至りやすいか、どんな人がリピーターになりやすいかといったことが予測できます。

分析したデータを顧客行動の予測に使うことを「予測分析」といいます。ただし傾向モデルの質は与えられたデータの質に左右されることには注意すべきでしょう。データの中にエラーがあったり不確実性が高かったりすると、正確な予測は不可能になります。

7. リードスコアリング

機械学習によって生み出された傾向モデルは、ある基準に従ってスコアリードに変換できます。これにより営業チームは、その潜在需要がどのぐらい「アツい」のか、また時間をつぎ込む価値があるのかを判断できます。

接客セールスを伴うB2Bビジネスでは、このリードスコアは特に重要です。一回の営業で相当な時間をかけるため、その商談にどれくらいの価値があるか知る必要があるからです。もっとも重要な潜在顧客に連絡をとることで、営業チームは時間をセーブでき、チームの資源を最も効果的なところに集中させられるのです。 この潜在需要・潜在顧客の購買に繋がる傾向に関する知見は、営業や値下げについて効果的なところに狙いを定めたいときに役立つでしょう。

リードスコア

8. ターゲティング広告

機械学習アルゴリズムは莫大な過去データを処理し、どの広告が、どの人にとって、購買プロセスのどの段階で一番訴求力が高いかを割り出します。このデータを使うことで、最良のタイミングで最適な広告を顧客に提供できるというわけです。

機械学習を使って、あらゆる変数をプラスに向けるよう改善を繰り返すことで、従来よりずっと効果の高い広告を打てるようになります。もちろん、クリエイティブな部分には人間の力が必要ですが。

Convert:興味を持った訪問者を購買に動かそう

9. 動的価格設定

多くの製品をさばくときに、セールが有効であるということはマーケターであれば誰でも知っているでしょう。値下げは特別に強力な戦略ですが、最終的な利益を損なう可能性も持っていることは忘れてはいけません。2/3の利益率で2倍の数売上げたとしても、セールをしなかったばあいと比べて少ない利益となるかもしれません。

値下げが有効なのは、以前の価格に不満を持っていた人々に対して購買を促せるためです。しかしそれは同時に、高い価格を支払えたであろう人々も、より低い料金しか支払ってもらえなくなることを意味します。

動的価格設定により、こうした問題を回避できます。購買には値下げが必要だろうと推測される顧客に対してのみ、特別オファーを出すのです。機械学習は、どの顧客が値引きを必要としていて、誰が値引きなしでも購入に至りそうかということを示した傾向モデルを作れます。一律に値下げをせず、不必要な利益率の減少を防ぎながら売り上げを伸ばすことで利益最大化をのぞめるのです。

10. ウェブ&アプリのパーソナライズド

傾向モデルを使って顧客が購買プロセスのどこにいるのかを予測することで、アプリやウェブページ上で、その人がその時もっとも必要とするコンテンツを表示することができます。

まだサイトに来たばかりの人には、サービス全体について教えてあげて、興味を持続させるようなコンテンツを配置するのが最も効果的でしょう。一方すでに何度も訪問していて興味のある製品が明らかならば、製品についてのより詳しい説明などが役立ちそうです。

11. チャットボット

チャットボットは人間とのやりとりを模倣することで、顧客の質問を理解して答えたり、注文を完成させたりできます。チャットボットの開発は非常に難しくて大企業が大規模予算をかけてやるものだと思われがちですが、実際はオープンソースのチャットボット開発プラットフォームを使えば比較的簡単に独自チャットボットを作成可能です。

12. リターゲティング

ターゲティング広告と同様に、機械学習は過去のデータを分析することで、顧客をウェブサイトに呼び戻すコンテンツはどのようなものかを洗い出します。

訪問歴のある顧客を呼び戻すのにベストなコンテンツを予測する傾向モデルを構築することで、リターゲティング広告の最適化に努めましょう。

Engage:顧客を繋ぎ止めよう

13. 予測的カスタマーサービス

新規顧客にリーチするよりも、既存の購買層にリピーターになってもらう方がはるかに簡単です。今いるお客様を大切にすることで、最終的に大きな利益獲得に繋がります。これは特に、解約率上昇が大きな損失に結びつきやすい登録制ビジネスで重要です。

解約する顧客に共通の特徴を突き止めることで、どの顧客が登録を解除しそうか予測分析しましょう。そして予測された顧客に対して登録解除を回避するために、値下げのオファーや利用のためのヒント、サポートなどを提供します。

14. マーケティングオートメーション

システム主導で一連の運用法則・ルールを生み出すマーケティングオートメーション(マーケティング自動化)でも人工知能の活躍は期待されています。これまではマーケターがなんとなく運用方法を決めてきましたが、機械学習を用いることで大量の顧客データを処理し、いつ顧客に連絡を取るが最適か、どんなメールの件名が響くかなどを分析できます。

機械学習によるインサイトを応用することで、従来人間がデザインしていた時に比べ、マーケティングオートメーションの効果を飛躍的に上げられるでしょう。

15. 1on1のメール対応

マーケティングオートメーションと同様のやり方ですが、機械学習で得たインサイトを適用することで、より効率的な1on1(一対一)のメールサービスを実現できます。

傾向モデルを用いた予測分析は登録者の過去の行動を通じて、色やサイズ、製品カテゴリにおける購買傾向を割り出すことが可能で、顧客が最も関心の強そうな製品をニュースレターに表示できます。在庫状況や取引状況、価格なども全て、メールを開いた時点で正しいものが表示されます。

(原文:Dave Chaffey  翻訳:Yuko Nakamura)

 

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