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2020年に向けて、ますます競争が激化する「PPC広告(Pay Per Click/クリック課金型広告)」。
予算を効率的に使い、投資収益率(ROI)を最大化するためにも、最新情報のチェックは欠かせません。
今回はそんなPPC広告について、2020年に向けてチェックしておきたいトレンド予測を5つピックアップしました。
PPC広告はその登場以来、デジタルマーケティングに大きな変化をもたらしました。Googleの親会社であるAlphabetによると、2019年Q2にGoogleは広告から326億ドルの収益を上げたと報じられており、昨年同期比で約16%の増加となります。
ターゲットオーディエンスが、Googleの入札自動化システムを介したPPC広告から製品を購入してくれるというのは、デジタルマーケティング担当者にとっては夢のようなことですよね。そのためにまず必要なのは、キャンペーンに最適なオーディエンスを特定することでしょう。
膨大な量のデータをもとに、製品を求めているオーディエンスにターゲットを絞って広告を出稿できれば、マーケティングにかけるお金も節約できます。まさにWin-Winの関係ですよね。
Googleは自動化に多額の投資をしており、キャンペーンの目標に応じてさまざまな広告自動化オプションを利用できます。
入札自動化は時間やお金の節約につながるため、そのぶんの時間やお金を他のプロジェクトにあてられます。しかし、すべての事業に自動化が適しているわけではありません。キャンペーンがきちんと機能しているかどうかを観測する必要があり、定期的なメンテナンスも必要とされます。
まずPPC広告の入札自動化を適切に活用するためには、事業目標を正しく設定する必要があります。目標が定まっていないと、自社にとって理想的な顧客をターゲットにできません。
またGoogleは『Google Home』などのデバイスを通じて、大量のデータを手にしました。このデータを使用して、Google Homeでのアクションに基づいてパーソナライズされたPPC広告を表示することもできるでしょう。
Google Homeはユーザーの行動パターンを記憶し、それを活用して自動化システムを構築します。その結果、広告主に対してターゲットを絞ったオーディエンス情報を提供でき、広告主の無駄が減り、コンバージョン率が向上する、という仕組みです。
Stickyeyesのメディアリーダーであるジャック・バートン氏は、以下のように述べています。
「自動化の台頭により、手動入札は減少しています。Google広告のエコシステムで自動化はますます普及しており、2020年には自動化された機能が手動入札を大きく上回るでしょう。
Googleが最近導入した自動化ツール(最新のものは『コンバージョン値を最大化』)により、リアルタイム入札は強力なだけでなく、手動入札よりもはるかに効率的で、簡単になりました。Googleは2020年には、手動入札のオプションを削除するとも発表しています。
ただし、Googleも広告主も、その前にやるべきことがたくさんあります。
リアルタイム入札の採用率は依然として低いため、広告主が自動化を受け入れ、そして信頼するためには、そのための教育や理解が必要でしょう。Googleサイドについても、複数の目標とデータ不足を考慮した、より洗練された入札戦略の提供が必要になります。
安価で質の低いトラフィックを追いかけるのではなく、クリックとコンバージョンとのバランスを改善する『コンバージョン値を最大化』戦略が望まれるでしょう」
デジタルマーケティングのあらゆる分野で活用されているのが、AI(人工知能)です。AIによって日々の負担が減り、フォーカスしたい事柄に時間を割けられるようになったら魅力的ですよね。
では、AIはPPC広告にどのように貢献してくれるのでしょうか。具体的には以下のようなことが期待できます。
AIと機械学習が、顧客のライフサイクル全体に与える影響を視覚化したのが、以下のRACE機械学習ダイアグラムです。
AIは急速に進化していますが、とくにPPC広告においては大量のデータ学習により広告効果を予測できるようになってきています。ただし現段階では、推論や言語処理などについて人間の思考を模倣できないという問題もあります。
MTCR Marketingのグループマーケティングマネージャーであるアニル・イルマズ氏は、以下のように述べています。
「PPC広告におけるAIの課題は、人間の思考プロセスの欠如です。コグニティブAIは、人間の思考プロセスを導入することでこの課題に取り組み、ビッグデータを有意義な見識に変えようと試みています。これによりPPC広告の効率が向上し、事業の成果に繋がることを願っています」
「コンテンツは王様(contents is king)」だと、長いあいだ言われてきましたが、いまコンテンツの中でもとくに注目されているのが動画です。
フォーブスによると、平均的なユーザーは、動画のないWebサイトに比べて、動画があるWebサイトに88%も多くの時間を費やすとのこと。
動画は、企業がターゲットオーディエンスに個性やストーリーを伝えられる、強力で効果的なツールです。動画自体は目新しい存在ではありませんが、2020年も動画が活躍することは間違いありません。
Wyzowlによると、81%の事業がマーケティングツールとして動画を使用しているとのこと。
2019年にGoogleは、90秒未満の動画を6秒のバンパー広告に変換しYouTubeに表示できる『Bumper Machine』を導入しました。こうした技術は、動画広告の開発に役立つはずです。
Hurricaneの著者およびMDであるジョン・モワット氏は、以下のように述べています。
「動画は、消費者を行動喚起させるもっとも効果的な方法であり、マーケティング担当者にとっては優先すべきコンテンツになります。
そしてマーケティング担当者にとっての本当の課題は、動画をファネルの各段階に組み込み、きちんと機能するようにすること。動画は ”あったら助かるもの” 程度の付加価値的存在ではなく、ブランド戦略の根幹から組み込んで、適切な指標を用いて分析すべき対象です」
PPCというと、GoogleやFacebookの広告が思い浮かぶかもしれませんが、現在急成長中のAmazonも忘れてはいけません。AmazonのWebサイト内外で表示されるAmazon広告の人気は、じわじわと高まっています。
GoogleとFacebookは大勢のユーザーを抱えていますが、そうしたユーザーは必ずしも製品を購入しようと考えているわけではありません。これに対しショッピングを目的にしているユーザーが多いAmazonは、高コンバージョンを狙える優良な広告プラットフォームといえるでしょう。
Amazon広告について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
Amazon商品ターゲティング広告は高CV? 運用開始までの3ステップ
Workship MAGAZINE
Googleは2019年に、15種類のヘッドラインと4種類のディスクリプションを自動でテストし、ターゲットオーディエンスにあわせて組み合わせてくれる『レスポンシブ検索広告』の提供を開始しました。
幅広いデバイスに対応しており、既存のテキスト広告に比べてクリック率やコンバージョン率が高いのが特徴です。2020年以降はさらに人気が高まり、ますます発展すると見込まれています。
SEMrushのシニアPPCマネージャーであるセルゲイ・マトロソフ氏は、以下のように述べています。
「2019年に検索関連で起こった最大の変化は、レスポンシブ検索広告の開始です。2020年末までに、おそらく2018年に導入された拡張テキスト広告に取って代わるだけでなく、デジタルマーケティング担当者のワークフローも完全に変更されるでしょう。
まずレスポンシブ検索広告の導入により、検索にクリエイティビティが戻ってくるでしょう。Googleは入札の自動化を進めているため、デジタルマーケティング担当者はよりクリエイティブな側面にリソースをさけるようになるでしょう。一方でマーケターが、クリエイティビティを備えた”デジタルウエイター”になってしまうと悲観的に考える人もいますが、実際はもっと複雑でしょう。適切なインプットとUSPをマシンに提供するのは人間の仕事であり、これは今後も変わりません。
私の経験からすると、広告は非常にはやく燃え尽きます。たとえばFacebookなら、ユーザーは2回の広告接触でそれに飽きてしまいます。つまり企業が安定した成長を保つためには、定期的で安定したクリエイティブ制作フローが必要だということです。キャッチーな見出しを大量に作るために、スペシャリストを大量に雇ったり、24時間年中無休で見出しを生成するネットワークを構築することも不可能ではありませんが、もちろんそれが最適解とも言えません。
2020年の競争を勝ち抜くためには、クリエイティブアセット、強力なデータ分析スキル、デジタルマーケティング用のニューラルネットワークを構築&維持し続ける能力を併せ持ったデジタルマーケターが必要です。これらが近い将来のPPCスペシャリストに求められるスキルとなるでしょう」
デジタル広告はたえず進化しつづけており、新しい機能が次々とあらわれます。
進化のスピードがはやい現代において、デジタルマーケティングで競合他社に先んじるためには、新しい研究に常に目を光らせておくことが重要です。
今回ご紹介した2020年のPPCのトレンド予測は、企業が新規顧客を獲得し、よりターゲットを絞った関連性の高いオーディエンスにリーチする手助けしてくれるはずです。
執筆:Jack Davis
翻訳:Nakajima Asuka
編集:内田一良(じきるう)
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