フリーランスが税務署に狙われる6つの傾向とは?追徴課税は年1132億円 他
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「フリーランスはなんでも経費にできていいよな〜」と言われますが、結局のところ節税って何をすればいいのか、何から始めればいいのか、よくわからないですよね。
この記事では、個人事業主・フリーランスが絶対に知っておくべき王道の節税方法を、ランキング形式でお伝えします。
これからフリーランスとして一歩を踏み出す方にも、売上が上がってきた方にも当てはまる内容です。ぜひ参考にしてください。

株式会社トラストプラス 代表取締役。小西会計事務所 代表。 公認会計士・税理士・行政書士。九州大学法学部卒業→銀行→大手監査法人→税理士法人での勤務を経て、横浜にて開業。 フリーランスや個人事業主が税金に関する不安がなく活躍できる社会をつくるため、2024年11月に無料で使用できる会計ソフト『トラストプラス』をアプリストアにてリリース。
最大65万円(2027年分からは最大75万円)の特別控除が受けられる、青色申告を行う個人事業主のための税制優遇です。
これを使っていないフリーランスは、「そんなに税金を払いたいんですか?」と言いたくなるくらい、絶対に使ってほしい制度です。
簡単に言うと、65万円の経費が自動的に追加で認められるイメージ。課税所得が900万円程度を超えている方なら、約28万円の税金削減になります。
ゼロからわかるフリーランス/個人事業主の青色申告。控除額/メリット/条件を解説【税理士監修】
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「青色」で確定申告を行う必要があります。手続きは次の2つだけです。
- 「青色申告承認申請書」を事前に税務署へ提出する
- 複式簿記で帳簿を作成し、確定申告で青色申告を行う
「複式簿記による帳簿作成」と聞くと、かなり高度で難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし、無料で使えるトラストプラスなど何かしらの会計ソフトを使えば、特別な知識がなくても複式簿記で記帳できます。
気をつけたいのが、「青色申告承認申請書」の提出期限です。
提出期限は、申告する年の3月15日まで。ただし、1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内に提出すれば、その年から青色申告を受けられます。
つまり、開業から2ヶ月以内に提出していれば、初年度から青色申告が可能です。提出を忘れていた場合も、3月15日の確定申告期限までに提出すれば、翌年の確定申告から特別控除を受けられます。
もうひとつ注意点があります。毎年3月15日(土日祝の場合は翌営業日)の確定申告の提出期限に2年連続で遅れると、青色申告は取り消しになってしまいます。
実は、開業届を出す”前”に使ったお金も経費にできます。それが「開業費」。しかも、経費にするタイミングは自由に決められます。
開業費とは、開業準備のために特別に支出する費用のことです(所得税法施行令7条1項1号)。開業”前”までの費用が対象で、一般的には開業届に記載する開業日の前日までの支出を開業費として計上します。
たとえば、次のような費用が当てはまります。
- 開業のためのセミナー参加費用
- 市場調査のための交通費、宿泊費
- 打ち合わせ費用
- PCの購入代金
- 名刺やポスター、HPの作成費用
- 店舗や事務所の家賃、水道光熱費
開業日より前のものでも、開業のための費用であれば経費に計上できます。
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「何ヶ月前まで」「いくらまで」といった決まりはありません。「開業にかかった費用」という説明ができれば、上限なく開業費として計上できます。
開業日前の支出でも、次のようなものは開業費にできません。別の会計処理が必要です。
- 商品の仕入:「仕入高」として計上します。
- 車や備品などの固定資産:「車両運搬具」などの固定資産項目で資産計上します。法定耐用年数に応じて、「減価償却費」として徐々に費用になります。
- テナント入居時の礼金:20万円以上の場合は「長期前払費用」として資産計上します。契約期間もしくは60ヶ月で割り、該当する会計年度内の契約期間の月数に応じて償却(「地代家賃」に振り替え)します。なお、20万円未満なら資産計上しなくてよいため、開業費として処理してもOKです。
開業日より前のレシートの合計金額を集計しておき、開業日に「開業費」としてまとめて計上します。1件ずつ入力する必要はなく、帳簿上は合計金額でOK。ただし、開業費の内訳は、Excelなどで別途わかるようにしておいてください。
償却方法は、均等償却(60ヶ月)か任意償却を選択できますが、実務的には任意償却にするケースが多いです。わかりやすく言うと、「利益が出た年に経費に計上すればOK」ということ。
仕訳は次のように行います。
<開業日>
開業費(資産)50,000円 / 元入金 50,000円<12月31日(費用にしたいとき)>
開業費償却(費用)50,000円 / 開業費(資産)50,000円
赤字の年こそ、確定申告です。赤字は3年間繰り越せるうえ、補助金・助成金・融資の申し込みには確定申告書が必須だからです。
個人事業が赤字なら、その事業について納付すべき税金は0円です。そのため、雑所得など他の所得がなければ、確定申告の義務もなくなります。
しかし、赤字でも確定申告をするメリットはいくつもあります。多少面倒ではありますが、絶対に確定申告を行うことをおすすめします。
一番大きいのは、青色申告を行っている場合、赤字を3年間繰り越せることです。
たとえば、今年300万円の赤字が出て、翌年300万円の黒字だったとします。赤字のときに確定申告していなければ、翌年は300万円の利益に税金がかかります。一方、赤字を繰り越しておけば利益は0円。税金は発生しません。
逆に、今年の赤字を前年の黒字にぶつけて、前年に支払った税金を取り戻す「繰戻還付」も可能です。繰戻還付を受けるには、確定申告書の提出期限内に「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」をセットで提出する必要があります。
また、補助金や助成金、融資を申し込むときには、必ず確定申告書が必要になります。非課税証明書の発行が受けられるほか、確定申告をしていない場合と比べて税務調査のリスクが下がるのもメリットです。
経費が少ないフリーランスは、消費税の「簡易課税制度」を使うと納税額が減ることがあります。計算の手間も大幅に削減できる制度です。
簡易課税制度は、「みなし仕入率」を使って消費税を簡単に計算できる制度です。
通常の消費税(原則課税)では、売上にかかる消費税から、仕入や経費にかかる消費税を控除して納税額を計算します。一方の簡易課税制度では、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を売上にかかる消費税に乗じるだけで、仕入控除税額を算出できます。帳簿の記録や計算の手間が、大幅に軽くなるわけです。
インボイス制度が始まったことで、売上が1,000万円に満たない個人事業主でも消費税課税事業者の登録を行い、消費税計算が必要になった方も多いはず。免税事業者のままでOKなら簡易課税制度の検討は不要ですが、消費税の納税義務がある場合には、事前に検討しておくことで納税額を下げられる可能性があります。
フリーランスの「消費税申告」は必須?免税基準・計算方法も【FPが解説】
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簡易課税制度を利用するには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下であること
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出していること
届出は原則として、課税期間の開始前日までに提出します。提出後は2年間変更できません。
みなし仕入率は、業種によって次のように決まっています。
| 事業区分 | みなし仕入率 |
|---|---|
| 第1種事業(卸売業) | 90% |
| 第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る)) | 80% |
| 第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業) | 70% |
| 第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業) | 60% |
| 第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く)) | 50% |
| 第6種事業(不動産業) | 40% |
ITフリーランスや、私のような士業は「第5種事業」。みなし仕入率は50%です。
具体例で見てみましょう。税理士事務所は、人件費(給与)以外はほとんど経費をかけずに事業を行えます。ここでは、課税売上高2,000万円、従業員給与800万円、事務所家賃120万円、雑費80万円で、利益が1,000万円だったとします。
給与は消費税が「不課税」のため、原則課税で計算すると納税額は次のとおりです。
売上に係る消費税:200万円(2,000万円 × 10%)
仕入税額控除:△20万円((家賃120万円+雑費80万円)× 10%)
納税額:180万円
では、簡易課税制度を利用した場合、納税額はいくらになるでしょうか? 先ほどと同じケースで計算します。
売上に係る消費税:200万円(2,000万円 × 10%)
仕入税額控除:△100万円(受け取った消費税 × みなし仕入率50%)
納税額:100万円
なんと、80万円も納税額が減りました。
つまり、業種ごとに決められたみなし仕入率よりも、消費税課税対象となる経費が少ない場合には、基本的に簡易課税制度を利用した方がお得です。消費税課税対象かどうかを調べるのが面倒な方は、経費のうち人件費(給与)と減価償却費を除いて比べてみてください。どちらがお得か、ざっくり把握できます。
次のような場合には、簡易課税制度を利用すると損になることがあるため、注意が必要です。
- 設備投資を検討している場合
- 赤字になる場合
機械設備の購入など、設備投資を検討している場合、簡易課税制度を利用すると消費税の還付が受けられなくなってしまいます。赤字の場合も同様です。簡易課税制度は売上に係る消費税をベースにするため、経費がいくらかかったか、機械設備をいくら購入したかは考慮されないからです。
さらに、簡易課税制度を選択してから2年間は、原則課税に戻せません。直近で設備投資を予定している場合には、特に注意してください。
もうひとつ、税理士実務の事故事例として毎年のように発生するのが、「選択不適用届」の出し忘れです。簡易課税制度をやめたい場合には、適用をやめようとする課税期間の初日の前日(個人事業主なら前年の12月31日)までに提出が必要です。これを忘れると、本来受けられるはずだった還付が受けられなくなってしまいます。
王道中の王道です。税金を減らしつつ、将来の退職金も確保できます。
小規模企業共済とは、将来のためにお金を毎月積み立てる制度です。その掛金が、全額所得控除。つまり、払った分だけ所得が下がって税金が減るという、お国の制度です。
積立額は、月額1,000円〜70,000円の範囲内(500円単位)で自由に設定できます。所得が高ければ高いほど、節税効果は大きくなります。
【FP解説】小規模企業共済は個人事業主・フリーランスに必要?メリット&デメリットを検証
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たとえば、所得1,000万円の人が毎月7万円を積み立てると、年間の節税額は36万7,000円になります。
40歳から65歳まで、25年間続けた場合を見てみましょう。
積立合計:2,107万円
戻ってくるお金:2,543万9,400円
これだけで、400万円ちょっと増えています。さらに節税効果が「36万7,000円 × 25年 = 917万5,000円」。合わせて、1,300万円以上のプラスです。
積み立てたお金は、個人事業の廃業時に手元へ返ってきます。返ってきたお金は「退職所得」となるため、「結局、出口で税金がかかるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、退職所得にはほとんど税金がかかりません。
退職所得の計算式は次のとおりです。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)− 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額
ここで大きいのが「退職所得控除額」です。
20年以下:40万円 × 年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超:800万円 + 70万円 ×(年数 − 20年)
先ほどのケースで40歳から65歳まで25年間掛金を掛け続けた場合、退職所得控除は「800万円+70万円×5年=1,150万円」。さらに1/2を乗じるため、もともと節税になっていた金額と比べれば、かかる税金は微々たるものです。

小規模企業共済には貸付制度があり、自分が積み立てている金額の範囲内で、低金利でお金を借りられます。もともと自分がもらえる積立金の範囲内なので、当然と言えば当然。必要書類が揃った状態で銀行窓口などで手続きを行えば、30分程度で借入できます。
ここでおすすめなのが、小規模企業共済で借入を行い、そのままiDeCoに投入する方法です。あまり知られていませんが、実は、小規模企業共済とiDeCoは併用できるんですね。
個人事業主の場合、小規模企業共済(年間最大84万円)とiDeCo(年間最大81.6万円)を合わせて、年間最大165.6万円の掛金を全額所得控除できます。それぞれ別の制度として、掛金上限は独立して計算されます。
まず小規模企業共済で積立を行えば、そこから借入が可能になります。その借入金をiDeCoに回すことで、レバレッジをかけて、より大きな節税ができるわけです。
通常、借金をして投資を行うことには反対の立場です。ただしこの方法は、もともと自分が積み立てている範囲内での借入。iDeCo内でも比較的リスクが低いポートフォリオを選択すれば、リスクを下げながら節税メリットを最大限に活かせます。
個人事業主/フリーランスのiDeCo入門。上限額やメリット・デメリットを解説【FP監修】
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今回は、個人事業主・フリーランスの方にぜひ取り組んでほしい、節税方法5選を解説しました。
特に青色申告特別控除は、簡単に取れる節税方法です。なんとなく白色申告を行っていた方は、無料で使えるトラストプラスなどの会計ソフトを用いて、ストレスなく青色申告を行ってください。
小規模企業共済は、リスクなく「節税×プチ運用」ができる制度。税理士の立場からも、かなりおすすめです。
今後の制度改正で、メリットが少なくなる可能性もゼロではありません(たとえば、小規模企業共済とiDeCoの併用が認められなくなるなど)。ただ、現状は認められている節税方法です。活用できるものは、どんどん利用していってください。
個人事業主・フリーランスとしての皆さまの活躍を願っております。
(執筆:小西 大貴 編集:Workship MAGAZINE編集部)