「専門スキルを伸ばす VS 幅広い領域に挑戦する」フリーランスの生存戦略討論
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こんにちは、トラベルグラファーの古性のち(@nocci_84)です。
真っ青な海と白い雲。目を見張るような自然。心が震えるほど美しい花々。旅をしていると、「こんな場所に来られて本当によかった!」と思う景色たちに出会うことがよくあります。もちろん、このままの景色を切り取るのも楽しいのですが、せっかくならこの素敵な風景の中に「自分も混ざってみたい」と思うでしょう。
特に女性であれば、そんな願望も大きいのではないでしょうか。近年ではSNSの普及とともに「インスタ映え」や「Twitter映え」などの言葉も現れ、自分自身の姿を発信する機会も増えてきました。
わたしもよく旅先で自分自身を撮ったり、撮っていただいたりする機会が多いです。
ありがたいことに、「のちさんの写真はドラマチックだ」とか「どうやって撮っていますか?」と質問を受けることもよくあります。
そこで今回は、いつもの「撮る側」からちょっと趣向を開けて、「撮られる側」の視点や、ドラマチックな1枚を作る上でわたしが意識していることをお話ししてみたいと思います。
目次
そもそも「ドラマチックな1枚」とは、どんな写真なのでしょうか。
わたしはドラマチック=ストーリーがある写真(想像力が働く写真)だと思っています。
人は、頭にぶわっと想像の花が開いたときに、心が震えます。まるで物語の1枚をそっと抜き出してきたような、そこにあったものをぽっと、持ち出してきたような。話声や匂い、思わずそんなものが感じられる。空気感を纏っている写真を”ドラマチック”と呼ぶのだと思っています。
なのでこの記事では、「ドラマチック=ストーリーを作る作業」と訳して読んでいただければ幸いです。
まず、ドラマチックな写真を撮りたいときに、撮られる側で意識しておけると良いのが以下のようなものです。
写真に写ったときに一番「何か違う」「こんなイメージじゃなかった」となってしまうのがポージング。よくやってしまいがちだけれど、避けたいのが以下の2つのポーズです。
まずはばっちりのカメラ目線。
ばっちりのカメラ目線写真を探したら、カンボジアで1000段くらいある階段をのぼった後に疲弊しているこの写真しかありませんでした。笑顔が完全に死んでいます。
「写真撮るよ」と声をかけられると、ついつい固まってカメラを直視してしまいがちです。ポートレイトなど、作品作りの時などは良いのですが、「ドラマチック」な写真を撮るとなると話は別です。
カメラを直視してしまうと、そこにはカメラがあり、意識的にこの状況を演出していることを強く意識せざるを得ません。この1枚で全てのストーリーが完結してしまうため、その先を思い描くことは難しい状況になります。
次に避けたいのが、動きが不自然なポーズ。
SNSでよく見かけるのですが、わたしは違和感を感じてしまうポーズのひとつです。景色を見ているときに座ってあぐらをかいてみる女性って、そもそもあまり多くない気がするんです。
自分が写るときに大事なのは、いかに自然な状態で写りこめるか。だって一緒に写る絶景やお店、花々というパートナーたちは、常に自然な状態でそこに存在しているからです。こちらも力を抜いて、その自然に溶け込む努力をしましょう。
こちらも。人によっては「よし」かもしれませんが、手をかけているのは岩なのに、目線ははるか遠く。岩を持っているなら岩を持つ。また、反対側が気になっているのであれば、
……などなどが考えられます。この写真を見た時に咄嗟に上記が浮かぶわけではありませんが、このあたりを肌で感じとってしまうため、ストーリーを殺してしまうのかもしれません。
次に意識したいのが、自分が「人間」ではなく「この風景の一部」として馴染むこと、または「さし色になること」のどちらかです。
まずは自分が風景の一部として馴染む場合。主に全体のトーンの話(服や靴、髪の色など)になりますが、今日どんなところで写真をとるのかを配慮したトーン選びが大切になってきます。
例えば上記の場合だと、「緑・赤茶のレンガ・黄色っぽいレンガがある場所にいく」と決めていたので、派手なアクセサリーは外し、服も黒や緑、さし色の赤茶など景色と同系色でまとめています。するりと自然に馴染むことができるので、比較的ドラマチックな1枚が作りやすい方法です。
もうひとつが、馴染むのではなく自分が差し色になる場合。この場合は、赤やピンク、黄色など、ぱっと目を引くカラーを取り入れます。
ちょっと派手な服が苦手……という場合は、ストールや帽子などにその色を取り入れて、写真が終わったら外してカバンにいれてしまうのもひとつの手。また、もし荷物が多くても構わない場合は、何着かカバンに入れてお出かけするのもOKです。
雨の日は傘もおすすめ。明るい傘をひとつ持っておくと、ぱっと差すだけで、差し色を作ってくれます。
女性であれば、ネイルも差し色にとても使いやすいアイテムです。例えば服がモノトーンでも、ネイルを赤や黄色などの鮮やかなもので彩っておくと、いざという時にさっとさりげなく写真に写すことで、そこに華やかさが生まれたりします。
私の場合、ネイルに頼りきって、左右で違う色のネイルを塗って、差し色として使っていた時期もありました。
最後のポイントは「物」ではなく「色」で捉えること。2.でお話をした ”「人」ではなく「自分もこの風景の一部」 ” の話にも通ずるものがあるかもしれません。
上記の写真を例に説明していきます。写真を見た時、きっとひとは「海にいるなあ」とか「どこの海だろうなあ」と考えをめぐらせます。咄嗟に頭の中に描かれているワードはきっと…
このあたりなのではないでしょうか。
確かにその通りなのですが、それを色に分解してみるとどうでしょう。
こうなるかと思います。
そこにある事実は一緒なのですが、こうして分解してみると、この写真は3つの色で成り立っていることがわかります。例えばこの服が
こんなピンク色だったらどうでしょうか。海・岩・女性の事実は変わっていませんが、1枚が与える印象がだいぶ変わってくるかと思います。
色で捉えたときに、この1枚でどんな印象を与えたいのか、そしてその印象を与えるために何色が足りないのかの頭で考えてみると、自分に足す色が決まってくるかと思います。
おまけになりますが、「こういう写真を撮りたい」といった参考資料を持っておくと、いざという時に威力を発揮してくれるのでおすすめです。
例えば、自分は準備がばっちりだけど、言葉でうまく説明できない状況に遭遇したときに「こういう風に撮ってね」とビジュアルを見せることで解決できます。また「この写真は服がピンクだからピンクを着て行こう」など、差し色の選定もしやすくなります。
今回はじめてきちんと言語化してみたのですが、意外といろいろ頭でごちゃごちゃ考えながら撮っているんだなあ、と改めて感じました。
ドラマチック(ストーリーを感じる写真)は、自然体が命なのですが、残念ながらそのままの自然な状態でつくることは難しいです。いかに自然体を「つくり込むことができるか」がポイントになってくるので、ぜひ次の旅先で、自分が自然体に映り込むドラマチックな1枚にチャレンジしてみてください。
それでは今日も、良い旅を。