フリーランスエンジニアに興味はあるけれど、「自分に本当にできるのかな?」「どうやって始めればいいの?」と悩んでいませんか?特に未経験や副業からのスタートを考えている方にとっては、不安や疑問が尽きないですよね。
この記事では、フリーランスエンジニアとして働く上で必要なスキルや準備、案件の探し方、リスク管理のポイントまでを、実践的なステップに分けて解説します。副業から始めたい人向けのおすすめサービスも紹介しています。
現役エンジニアとして複数の現場で常駐・リモート開発を経験してきた筆者が、現場目線で語る“リアルなノウハウ”をもとに、あなたの一歩を後押しします!

現役エンジニア兼フリーランスライター。万博に行ってきました。とても楽しかったので、期間中にもう一回行きたい!(note: @azasaz_a)
目次
フリーランスエンジニアの基礎知識
フリーランスエンジニアとして働くには、まずその働き方の特徴や必要な準備について理解することが欠かせません。ここでは、フリーランスとして活動を始める前に知っておきたい基本的な知識を解説していきます。
フリーランスエンジニアとは
フリーランスエンジニアとは、企業などの組織に属さず、個人としてクライアントと契約し、開発業務を請け負うエンジニアのことです。
案件ごとに報酬が発生し、働く場所や時間の自由度が高い一方で、収入の安定や営業、契約管理などもすべて自分で行う必要があります。また、扱う技術分野は案件によってさまざまで、システム開発、Web制作、アプリ開発など、その種類は多岐に渡ります。
少し前までは、フリーランスって「社会性はあまりないけど技術力だけはすごい人」みたいなイメージが強かった気がします。でも最近では、フリーランスという働き方自体が一般化してきたこともあり、「キャリアのひとつの選択肢」として前向きに捉えられるようになりました。
スキルや実績がダイレクトに評価されるため、会社員エンジニア以上に継続的なスキルアップが求められますが、自由と責任を両立させつつ、自分らしいキャリアを実現できる働き方といえるでしょう。
フリーランスと正社員との違い
フリーランスエンジニアと正社員エンジニアでは、働き方や責任の範囲、報酬体系などに明確な違いがあります。
正社員は企業に雇用され、安定した給与や福利厚生を受ける一方で、勤務時間や業務内容は会社の方針に従う必要があります。一方、フリーランスは自由度が高く、自分で働き方を選べますが、その反面、すべての責任が自己に帰属する働き方です。
項目 | フリーランスエンジニア | 正社員エンジニア |
---|---|---|
雇用形態 | 業務委託契約(非雇用) | 雇用契約(正社員) |
報酬 | 案件ごと・時間単価などで変動 | 月給制・ボーナスあり |
勤務時間 | 自由(自己管理) | 固定(企業の就業規則に従う) |
勤務場所 | 自由(リモート・在宅が中心) | 出社またはハイブリッドが多い |
福利厚生 | 自分で準備(国保・年金・保険など) | 会社の制度を利用可能 |
スキル評価 | 実績・ポートフォリオ重視 | 社内評価制度が中心 |
安定性 | 案件により変動あり | 安定して給与が支給される |
それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが合うかはライフスタイルや価値観によって異なります。どちらが自分にとって最適な選択肢なのか、将来のキャリア像を踏まえて検討することが大切です。
フリーランスエンジニアのメリット・デメリット
フリーランスエンジニアとして働くことには、多くの自由と可能性がある一方で、リスクや不安定さもつきものです。
例えば「働く場所や時間を自由に決められる」といったメリットがある反面、「収入が不安定」「確定申告などの事務作業が発生する」といったデメリットも存在します。働き方の魅力に惹かれて独立を目指す人も多いですが、現実的な側面を理解し、自分に合っているかを見極めることが重要です。
メリット |
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デメリット |
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自由に働けるのは確かに大きなメリットですが、だからこそ意外と一日中仕事のことばかり考えてしまって、気づけば休みなく働いていた……なんていうのもフリーランス“あるある”ですよね。それに、確定申告って想像していた以上に相当かなりメンドクサイ!
こうした自由の裏側にある「自己責任」を冷静に受け止めた上で、いかにうまく自己管理していけるかが、フリーランスとしてやっていけるかの分かれ道になると思います。
フリーランスエンジニアになる前に押さえるべき3つのポイント
フリーランスエンジニアとして独立を考えるなら、まず事前に理解しておくべき重要なポイントがあります。ここでは、実際に独立を検討するうえで押さえておきたい基本ポイントをご紹介します。
市場ニーズ
最初に押さえておくべきなのが、市場ニーズです。フリーランスエンジニアとしてどれほど高いポテンシャルを持っていても、ニーズがなければ仕事にはありつけません。
2024年の「労働実態調査」によると、エンジニアの人材不足は依然として深刻で、特に20代~40代においては「不足」と感じている企業が多数を占めています。
年代別に見ると、30代で約89%、20代は約63%、40代でも約62%と、若手から中堅層のエンジニアに対する需要が非常に高いことが分かります。40代に至っては、過去の調査と比較して不足と感じる企業が大幅に増加しており、即戦力としてのニーズが高まっていることがうかがえます。
このことから、フリーランスエンジニアとして活躍できる市場環境は十分に整っているといえるでしょう。
私はちょうど40代で、いわゆる“就職氷河期世代”なんですが、当時は就活でうまくいかなかった人がこぞってSE(システムエンジニア)になっていた印象があります。だから正直、エンジニアって人が余ってるくらいのイメージを持っていたのですが、今回のデータで40代も人手不足が深刻だと知って驚きました。
あの頃めちゃくちゃたくさんいた同期たち、いったい今どこで何をしているんだろう……。
単価相場
フリーランスとして働くからには、やはり収入も重要なポイントです。独立を目指すのであれば、フリーランスエンジニアの単価相場や年収についても事前に把握しておくことが大切です。
エンジニアの年間賃金は年齢とともに上昇しており、その需要の高さが収入にもはっきりと表れています。
2024年の労働実態調査によると、25歳での平均年収は389万円、30歳で456万円、40歳で575万円、45歳以降は600万円台に達するなど、経験やスキルの蓄積に応じて着実に収入が増えていることがわかります。また、企業規模が大きくなるほど賃金も高い傾向にあり、1000人以上の企業では50歳時点で約800万円に達する水準となっています。
こうした背景からも、スキルのあるエンジニアに対する市場価値が高いことは明らかで、フリーランスとしても案件単価は比較的高い水準で推移しています。継続的な学習と実績の積み重ねが、単価アップにつながるでしょう。
とはいえ、単価が高いということは、それだけ「やることが多い」「責任が重い」ということでもあり、ある意味でのトレードオフだとも言えます。高単価案件ほど市場からの期待値も高く、成果物に対するプレッシャーも大きくなりがち。つい金額だけに目が行きがちですが、そうした負荷や責任のバランスも含めて冷静に判断することが大切です。
フリーランスエンジニアの年収相場については、こちらでも詳しく解説しています。
フリーランスエンジニアの年収相場は600万以上?手取りを不必要に減らさないコツも解説
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生成AIによる影響
人材不足でエンジニアの単価が上昇しているとはいえ、生成AIの進化によってその構造が大きく変化しつつあるのも見逃せません。
米国のテック業界では、AIによる業務代替を理由に、企業が雇用を縮小し始めています。例えばAmazonは「ルーチン業務はAIに任せる」と明言し、社内で人員削減の方針を示しています。またMicrosoftは営業部門を中心に数千人規模の人員削減を計画し、その一部は生成AIによる効率化が背景にあると報じられています。
日本でも同様の動きが徐々に広がっており、富士通では2026年度から「新卒一括採用」を廃止し、通年採用を導入することを発表して話題になりました。
これはつまり、企業が「AIで代替できる部分」はきっぱり切り捨て、「高度なスキルが必要な領域」にのみヒトを割く方針へとシフトしていることを意味します。こうした状況下では、スキルが低い人材は市場の競争から脱落しやすく、まさに“弱肉強食”の時代に突入したとも言えるでしょう。
特に未経験やジュニアレベルのエンジニアにとっては、なかなか厳しい時代に突入したなとつくづく感じます。生成AIの進化によって、簡単な実装やコード生成といった業務はすでに代替されつつあり、今後さらにその範囲が広がっていくのは間違いありません。
だからこそ、「AIに代替されない仕事は何か?」「自分はどこで価値を発揮できるのか?」という視点で、エンジニアとしてのキャリアを俯瞰して見つめ直す時期が来ているのではないかと思います。
フリーランスエンジニアに必要なスキル
フリーランスエンジニアとして活躍するには、技術力だけでなく、ビジネス視点や対人スキル、そして自己管理力など、多面的なスキルが求められます。ここでは、実務で特に重要となるスキル領域を解説していきます。
1.技術スキル
フリーランスエンジニアにとって、技術スキルはキャリアの土台です。具体的には、次のようなスキルが求められます。
- プログラミング言語(Python、JavaScript、PHPなど)
- 各種フレームワーク(React、Laravel、Vue.jsなど)
- クラウド(AWS、GCP、Azure)に関する知識・運用スキル
- ネットワークやセキュリティの基本的な設計・管理スキル
- CI/CDやDockerなどの開発効率化ツールの活用スキル
案件によって求められる技術は異なるため、基礎を固めつつ、技術トレンドに合わせてスキルを継続的にアップデートする柔軟性が必要です。
2.設計スキル
開発の上流工程を担えることは、フリーランスエンジニアとしての大きな強みです。特に小規模~中規模案件では、1人で要件定義から設計まで対応する場面も多く、次のようなスキルが求められます。
- クライアントの要望を引き出すヒアリング力と要件整理力
- システム全体の構造を決めるアーキテクチャ設計力
- データの構造を設計するデータベース設計(ER図など)
- 外部とのやり取りを想定したAPI設計(REST/GraphQLなど)
- 設計書・仕様書などのドキュメント作成能力
設計力があれば、曖昧な指示でも論理的に構築でき、納品後のトラブルも減らせます。高単価案件への信頼を得るうえで、非常に重要なスキルと言えるでしょう。
3.AIリテラシー
生成AIの活用が日常になった今、AIリテラシーはフリーランスエンジニアにとっても必須のスキルです。単に「使える」だけでなく、AIと共存しながら価値を生み出す力が求められます。
- ChatGPTやGitHub Copilotを使った効率的なコーディング補助
- 要件に応じた適切なプロンプト設計力
- 出力されたコードや提案内容の妥当性を判断する力
- AIに任せる範囲と、人が判断・設計すべき範囲の線引き
- AIの限界やリスク(著作権・情報漏洩など)への理解と対処力
AIを“道具”として正しく使いこなせるかどうかが、これからのフリーランスの生存力を大きく左右するといえるでしょう。
4.コミュニケーション力
フリーランスは「一人で完結する仕事」のように見えますが、実際にはクライアントやチームとの円滑なやり取りも重要です。具体的に、次のようなコミュニケーションスキルが求められます。
- 要件や仕様のすり合わせを行うヒアリング力
- 誤解を防ぐための分かりやすい説明力・文章力
- 納期調整や進捗報告などのスケジュール管理力
- オンライン前提での敬語や言葉選び、チャット対応力
- 問題発生時に冷静に対処・相談できる対話力
どれだけ技術力が高くても、信頼関係を築けなければ継続案件にはつながりません。コミュニケーションも、フリーランスにとって“武器”のひとつとして磨いていく必要があります。
5.セルフマネジメント・営業スキル
フリーランスとして継続的に案件を受注し、信頼を積み重ねていくには、技術力だけでなく自己管理力と営業力も必要です。特に次のようなスキルが求められます。
- タスクの優先順位づけとスケジュール管理力
- 納期を守るための自己モチベーションコントロール
- ポートフォリオや実績の整理・可視化スキル
- SNSやエージェントを活用した情報発信・案件獲得力
- 提案文・メッセージの書き方とクライアント対応力
フリーランスは技術者であると同時に、自己を売り込む“営業マン”でもあります。この意識を持つことで、仕事の幅と収入の安定性が大きく変わってくるでしょう。
初心者がフリーランスエンジニアを目指すための5ステップ
未経験からフリーランスエンジニアを目指すためには、順を追って準備を進めることが大切です。ここでは、初心者が無理なく独立を目指すための5つのステップをご紹介します。
STEP1.スキルを習得する
まずはエンジニアとしての基礎スキルをしっかり身につけることが最優先です。HTML/CSS、JavaScript、Pythonなどのプログラミング言語から始め、Webアプリ開発やインフラ構築といった実践的な分野にも挑戦しましょう。
独学が不安な場合は、オンラインスクールや学習コミュニティを活用するのもおすすめ。特に「手を動かしながら学ぶ」ことが重要で、写経やチュートリアルでは終わらず、自分でゼロからサービスを作る経験が成長につながります。
STEP2.自分の市場価値を可視化する
スキルを習得したら、自分が「どの分野で、どのレベルの仕事ができるのか」を可視化しましょう。
具体的には、スキルシートの作成や職務経歴書の整理が有効です。自分の得意な技術スタックや開発経験を明文化することで、案件選びの軸が明確になります。
また、転職サイトやフリーランスエージェントに登録してみると、現時点での市場価値や単価の目安も把握できます。
STEP3.ポートフォリオを充実させる
クライアントに「この人に任せても大丈夫」と思ってもらうためには、実績の代わりとなるポートフォリオが必要です。
オリジナルのWebアプリやサービス、GitHub上での活動履歴、UIの工夫など、自分のスキルが伝わるものを可視化しておきましょう。完成度よりも「自分が何を考えて、どう実装したか」を丁寧に説明することが評価につながります。
フリーランスのポートフォリオ作成方法。事例やおすすめの制作ツールも解説
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STEP4.SNSで定期的に技術発信をする
SNSは単なる情報収集ツールにとどまらず、自分のスキルや考えを発信する「営業の場」でもあります。学んだことや開発の進捗、技術的な気づきを発信することで、同じ分野のエンジニアとのつながりが生まれたり、案件獲得のチャンスにつながったりすることもあります。
継続的な発信は、「この人は継続力がある」「成長している」といった好印象を与える要素にもつながるもの。はじめは小さなアウトプットからでも十分なので、気負わず、自分のペースで続けてみましょう。
一方で、SNSには高収入や実績を強調する“キラキラアカウント”が一定数存在するため、そうした投稿を見て落ち込んだり、やる気をなくしてしまったりという話もよく聞きます。SNSの情報はあくまで参考程度に留め、必要以上に比較せず、一定の距離を保ちながら付き合うことも大切です。
STEP5.まずは副業から始めてみる
いきなりフリーランスとして独立するのが不安な場合は、副業から始めるのが現実的な第一歩です。副業は、いわば“フリーランスの予行演習”。クラウドソーシングサービスや知人からの紹介などを活用し、小さな案件から実務経験を積むことで、スキルへの自信や仕事の進め方を身につけられます。
副業での収入が徐々に増え、仕事の流れや自己管理に慣れてきたら、本格的な独立も見えてくるでしょう。
未経験から始めるWebエンジニア副業の完全ガイド|成功のコツと実践方法
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フリーランスエンジニアの案件獲得方法
フリーランスエンジニアとして活動を始めたら、継続的に案件を獲得できる手段を確保しましょう。ここでは、フリーランスエンジニアの案件の獲得方法について解説します。
マッチングサイトを活用する
マッチングサイトは、フリーランスと企業をつなぐオンラインサービスです。職種や働き方、報酬などの条件をもとに案件を絞り込み、手軽に検索・応募できるため、初めてフリーランスとして活動する人にも利用しやすい仕組みといえます。
スキルシートやポートフォリオを登録しておけば、企業側からスカウトが届くことがあり、自ら営業しなくても案件獲得のチャンスが広がるのも魅力。多くのマッチングサイトでは稼働条件や契約面のフォロー体制が整っており、安心して仕事を始められる環境が用意されています。
フリーランスマッチングサイト「Workship」は、週1日から対応可能な案件やリモート案件が豊富で、柔軟に働きたい人におすすめのサービスです。また姉妹サービスの「クロスネットワーク」はインフラエンジニアとのマッチングに強みがあり、高単価かつ継続性のある案件を探す人に適しています。
フリーランスエンジニアとしての第一歩に、ぜひ活用してみましょう。
フリーランス向け仕事マッチングサイト13選【専門メディアが厳選】
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フリーランスエージェントを活用する
フリーランスエージェントは、エンジニアと企業の間に立って、案件の紹介や条件交渉、契約管理までを一括でサポートしてくれるサービスです。営業活動が不要なため、案件獲得に自信がない人や初めてフリーランスに挑戦する人にも適しています。
技術スキルや希望条件に応じて専任の担当者が最適な案件を提案してくれるほか、稼働開始後のフォローや確定申告に関するサポート体制が整っているエージェントもあり、初心者でも安心して働けるでしょう。
なお、エージェントによっては手数料(マージン)が発生する場合があるため、条件面を事前にしっかり確認しておきましょう。
フリーランスエージェントおすすめ10選|専門メディアが比較・解説
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営業や紹介で直請け案件に申し込む
知人の紹介や、自ら営業して企業と直接契約を結ぶ「直請け案件」の獲得も、有効な手段のひとつです。
私の知人のフリーランスエンジニアは、かつて正社員として勤めていた会社で知り合ったクライアントから継続的に仕事を受注していました。過去のキャリアや信頼関係を活かせる人は、大きな強みを持っていると言えるでしょう。
直請け案件は仲介を介さないため、報酬が高くなりやすく、クライアントとのコミュニケーションもスムーズに進めやすいというメリットがあります。SNSでの情報発信やポートフォリオの公開、過去に一緒に働いた人との関係を大切にすることで、新たな案件につながるチャンスが広がります。
ただし、契約内容や報酬の支払い条件はすべて自己責任で確認・管理する必要があり、ある程度のビジネススキルや交渉力が求められる点には注意が必要です。
クラウドソーシングを活用する
クラウドソーシングは、未経験者や副業から始めたい人にとってハードルの低い案件獲得手段です。「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったサービスでは、簡単なWebサイト制作や修正業務など、初心者向けの案件も多数掲載されています。
ただし、低単価案件や悪質なクライアントも一部存在するため、相場感や実績評価、仕事内容の明確さを確認したうえで応募することが重要です。慣れてきたら、実績を武器により好条件の案件にステップアップしていきましょう。
【初心者向け】クラウドソーシングサイト15選!タイプ別おすすめも紹介
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法務・税務とリスク管理で押さえておくポイント
フリーランスエンジニアとして安心して働き続けるためには、技術力だけでなく「法務・税務・リスク管理」の基本を押さえておくことが欠かせません。ここでは、案件を安全に進め、収入や生活を安定させるために重要なポイントをご紹介します。
契約書や機密保持(NDA)で成果物や権利・義務を明確化する
フリーランスとして仕事をする際、トラブルを避けるためには契約書の取り交わしが不可欠です。業務内容や納期、報酬、支払い条件に加えて、成果物の著作権や納品後の責任範囲などを文書化しておくことで、後々の認識違いや不払いといったリスクを防げます。
また、開発業務では顧客情報や設計書などの機密を扱うケースが多く、NDA(秘密保持契約)の締結も重要です。「口約束で進めてしまった」では通用しない時代だからこそ、契約書で権利と義務を明確にする意識が求められます。
社会保険や確定申告の手続きを確認する
フリーランスになると、会社員時代には自動で処理されていた税務や保険まわりの手続きを自分で行う必要があります。具体的には、次のような手続きが必要です。
手続き項目 | 内容 | 手続き先 |
---|---|---|
国民健康保険の加入 | 会社の社会保険から脱退し、自分で健康保険に加入する | お住まいの市区町村役所 |
国民年金の加入 | 厚生年金から国民年金へ切り替える | お住まいの市区町村役所 |
所得税の確定申告 | 年間の収入・経費をもとに所得税を申告・納付する | 税務署 |
開業届の提出 | フリーランスとして正式に開業する | 税務署 |
住民税の納付 | 前年の所得に基づいて課税/確定申告により自動的に通知される | お住まいの市区町村役所 |
特に確定申告は、収入や経費を正確に記録・申告する必要があり、青色申告を活用すれば節税効果も期待できます。
初心者にとってはややハードルが高く感じられるかもしれませんが、国税庁のサイトやWeb検索などを活用することで、基本的な流れは把握しておきましょう。
フリーランス・個人事業主が納めるべき税金の種類については、こちらで詳しく解説しています。
フリーランス/個人事業主が納める税金の種類は? いつ払うかや節税対策も解説!【FP監修】
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保険や貯蓄で万が一に備える
フリーランスは収入が不安定になりがちなうえ、病気やケガなどの突発的なリスクに対しても自衛が必要です。
会社員と異なり、傷病手当や有給休暇といった制度がないため、体調を崩して働けなくなった際の備えとして、民間の所得補償保険や医療保険への加入を検討するのも一つの手です。
また、毎月一定額を貯蓄に回し、「急な出費にも対応できる生活防衛資金」を確保しておくことも重要です。無理のない範囲でリスクに備えておくことで、精神的にも安定して働き続けることができるでしょう。
フリーランスエンジニアを目指す人によくある4つの質問
フリーランスエンジニアという働き方に興味はあるけれど、いろいろと不安や疑問が尽きないという方も多いはず。ここでは、実際によく聞かれる質問を取り上げ、それぞれについて現実的な視点からわかりやすく解説します。
未経験からでもフリーランスエンジニアは目指せるの?
未経験からでもフリーランスエンジニアを目指すことは可能です。
ただし、案件を獲得するには「実務経験」と同等のアウトプットが求められるため、学習後すぐに独立するのではなく、まずは副業やインターン、アルバイトなどで実績を積むのが現実的でしょう。ポートフォリオを整え、コミュニケーション力や納期意識もアピールできれば、仕事の幅も徐々に広がります。
未経験というだけで諦める必要はありませんが、地道な準備と成長意欲が求められることは覚えておきましょう。
未経験からフリーランスエンジニアになるには? 現役エンジニアが解説!
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フリーランスエンジニアを目指すのに年齢は関係ある?
年齢はあくまで「ひとつの要素」にすぎず、フリーランスエンジニアとして評価されるのは、スキル・実績・対応力といった中身です。そのため、厳密には年齢が直接のハードルになることは少ないといえます。
実際、30代~40代からフリーランスを目指す人も多く、業務経験や人脈を活かせる場合は、年齢がむしろ強みになることもあります。
一方で、スキルが浅い未経験者や50代以降での独立となると、体力や技術のアップデートにおいて苦労するケースもあるため、より戦略的なキャリア設計が求められます。
年齢別のフリーランスエンジニアのなり方や注意点については、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
フリーランスエンジニアは何歳からなるべき? 年齢別のなり方からその“限界”まで解説
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フリーランスエンジニアはやめとけと言われるのはなぜ?
「フリーランスエンジニアはやめとけ」と言われる背景には、収入の不安定さや孤独感、自己責任の大きさといった現実的なリスクがあります。実際、安定収入や福利厚生がない分、自己管理やスキル更新ができないと苦労するのは事実です。
しかし、それはあくまで「準備不足で飛び込んだ場合」の話。継続的な学習、適切な案件選び、良好な人間関係の構築ができれば、フリーランスは自由度とやりがいのある選択肢になり得ます。
詳しくはこちらの記事でも深掘りしているので、参考にしてくださいね。
「フリーランスはやめとけ」と言われる9つの理由
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フリーランスエンジニアの案件はどうやって探せばいいの?
案件の探し方は多様ですが、代表的な方法としてはマッチングサイト・フリーランスエージェント・クラウドソーシング・人脈経由の紹介などがあります。
初心者はまず、安心して始められるマッチングサイトや副業案件からスタートし、実績を積んでから直請け案件へと移行していくのが王道の流れです。また、SNSやポートフォリオを通じた発信も、継続的な案件獲得には有効です。
フリーランス初心者の案件の探し方については、こちらでも詳しく解説しています。
フリーランス初心者が案件獲得できない理由。「未経験=クラウドソーシング」が必ずしも正解ではない
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まとめ|フリーランスエンジニアへの第一歩を踏み出そう
フリーランスエンジニアとして活躍するには、市場ニーズや単価相場、生成AIによる影響といった時代の流れを正しく理解し、自分に必要なスキルや準備を計画的に進めることが大切です。
プログラミングや設計だけでなく、コミュニケーション力やセルフマネジメント、営業力といった周辺スキルも含めて総合的に磨き、ポートフォリオやSNSで自分の価値を発信していくことで、案件獲得の可能性は確実に広がります。
また、法務・税務・保険などのリスク管理を押さえたうえで、マッチングサイト・エージェント・直請けなど複数の手段を使い分けることで、より安定した収入基盤を築くことができるでしょう。
副業や週1稼働の案件を探しているなら、「Workship」や「クロスネットワーク」の活用もおすすめ。スキルや働き方に合わせた柔軟な案件が豊富に揃っているので、ここからフリーランスとしての一歩を踏み出してみるのも良いですね。
小さな一歩でも、始めることで未来が大きく変わります。自分のペースで、できるところから始めてみましょう。