エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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「個人事業主になるには?」という質問の答えは、「税務署で開業届を出す」の一言で終わってしまいます。
しかし「自分が個人事業主に向いているか」という視点で考えると、知りたい情報は変わってくるのではないでしょうか。
このような質問には、答えがなかなか出せないもの。しかも、人によって正解が変わってしまう可能性もあります。
そこで、今回は「個人事業主として活躍するためには」をテーマに、座談会を行いました。実際に個人事業主として活躍している・個人事業主に仕事を頼んでいるメンバーは、どのようなことを考えているのでしょうか。
会社員を3年間経験したのち独立。現在は個人事業主2年目のライター兼編集者。(X:@hayawo_)
18歳でフリーランスとして働き始め、19歳で法人化。現在は個人事業主としても働く5年目社長。SEOのリード獲得やマーケティングなどを得意とする。(X:@kou_director)
大学生時代から個人事業主として活動。2018年に株式会社GIGに入社し、編集者として働く。5年以上にわたり数多くの個人事業主と仕事をしているほか、自身も個人事業主としてWeb制作・マーケティング分野で活動。「じきるう」とも名乗る。(X:@zikilluu)
企業でシステムエンジニアとして5年間働いた後に独立。個人事業主のライター兼ディレクターとして、現在は7年目に突入。スプラトゥーン3が好き。(X:@siro3460)
目次
しろ:
個人事業主になるにあたって、不安はありませんでしたか?
宮﨑:
以前の職場には個人事業主の人もいましたし、学生からフリーランスになりたくて準備をしてきたので、不安は少なかったです。唯一の不安は、健康面だけでした。
しろ:
健康面も大事ですよね。宮﨑さんは会社員から個人事業主になっていますが、収入面の不安はありませんでしたか?
宮﨑:
多少収入は下がるでしょうが、やればやるだけ収入も増えるから大丈夫かなと思っていました。数ヵ月は生活できるだけの貯金も貯めていましたし。
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しろ:
心理的安全の意味で、貯金は大事ですよね。水落さんはいかがですか?
水落:
父が個人事業主として仕事していたので、自分がそうなることに何の不安も抵抗もなかったです。身近にそういう人がいると、キャリアプランが想像しやすいかもしれません。
しろ:
続いて、内田さんはどうですか?
内田:
ボクは学生時代から個人事業主としてキャリアをスタートしましたが、正直不安しかなかったです。田舎出身で、周りに個人事業主の知り合いもいなかったので……。クラウドソーシングすら知らずに、企業に直接営業して仕事をもらっていました。
しろ:
企業への直接営業、かなりハードルが高そうです……。とはいえ、確かに相談できる人や情報が入ってくる場所がないと、どうやって仕事を取っていいかもわからないですよね。
内田:
確定申告をしなきゃいけないことも後から知ったぐらいで、ほんと不安だらけでした。
あとは当時、ココナラで作曲を代行するサービスも立ち上げていたんですが、全然お仕事が決まりませんでした。相場がわからず1,000円とかで提供していたんですが、いま思い返すと安すぎて逆に怪しかったかもしれません(笑)。
しろ:
情報収集の大切さが身に染みてわかったんですね……。みなさんはどのように情報収集されたんですか?
宮﨑:
当時はWebライターが増えていた時期で、Twitterで情報を集めていました。また、会社員時代はメディアを運営していたので、ランチなどでプロのライターさんに話を聞く機会もあったんです。
しろ:
近くに相談できる人がいたらいいですよね。
水落:
僕はココナラで「文章代筆」の仕事を見つけたのをきっかけに、個人事業主という働き方を知りました。キャッチアップは、Web広告やアプリの口コミが多い気がします。
しろ:
なるほど……。あとは僕の周りだと、クラウドソーシングで情報を得るパターンもよく聞きますね。
しろ:
個人事業主になった当初は、どんな仕事をしていましたか?
宮﨑:
独立の準備をしていたときに、Twitterで「業務委託の編集者募集」のツイートを見て、そこに応募して採用されたのが最初ですね。
あとは、前職の会社に辞めることを伝えたところ、会社で運営していたメディアについては業務委託として仕事を継続していただけることになりました。元々いた会社から仕事をもらえると、独立についての不安は少し減るかと思います。
しろ:
なるほど、前職からメディア運営やシステム開発などの仕事をしていたのであれば、個人事業主として業務を継続しやすいかもしれませんね。
水落さんはいかがですか?
水落:
コンテンツ制作をしていましたが、「執筆作業そのもの」は外注し、企画・構成・ディレクションなどをメインで受けていました。上流工程を受けたほうが単価もいいので。当時は浪人生で、受験勉強もしなきゃいけなかったので、自分で記事を書くのは難しいというのもありましたね。いろいろ方法を模索していました。
その中で、やっぱり記事の良し悪しをしっかり判断できるようにならなきゃいけないし、「自分が間に入る価値」を出す必要もあると感じたので、その後は改めて記事を書くところから始めました。
しろ:
ありがとうございます。簡単ではありませんが、上流工程の仕事を獲得することは、収入面での安定を目指すうえでの王道ですよね。
内田:
ボクはとくに職種を限定せず、幅広い仕事を請けていました。たとえば作曲代行だったり、ダンスのインストラクターだったり、家庭教師だったり、研究助手だったり……。
しろ:
すごい! でも、どうしてそんなに幅広い仕事をしていたんですか?
内田:
好きなことを仕事にしようと思っていたんですが、単純に好きなことが多かったんです。ただ分散しすぎて、どのスキルに注力すればいいか悩んだ時期もありましたね。
しろ:
個人事業主は会社員と違って、先輩について教わるわけでもないし、目標面談のようなものもないので、スキルが多くても、どこに進んでいくべきか、何に注力していくかなど悩みますよね……。
しろ:
続いて、個人事業主に向いている人/向いてない人の特徴はありますか? おそらくたくさん出てきてしまうと思いますが、絞ってお聞きできたら嬉しいです。
宮﨑:
なろうと思えばだれでもなれるので、「向いてる人」というとあまり思いつきません。一方、会社員になれないから個人事業主になる、という考え方だと難しい気がします。
もちろん、「会社員が合ってない」のは理由のひとつとしていいと思うんですが、それ以上に「個人事業主になってやりたい目標」があると頑張れるんじゃないでしょうか。
水落:
確かに、自由になりたいから独立するという人が多いなと感じます。でも、会社という後ろ盾がない個人事業主は、完全に自由競争じゃないですか。
同じ仕事をやれる人が10人いたとしたら、質が高くて安い人から仕事が来るので、その競争に勝てるか、ロジカルに考えていける人じゃないと、どこかで頭打ちというか、つまづいてしまって収入が不安定になるリスクはあると思います。「自由になりたい」という理由は大事だけど、客観的な事実に基づいて行動できる人じゃないと、生活していくのは難しいと感じます。
内田:
ぜんぶ自分でやりたい人は向いていると思います。仕事も自分で取ってくるし、クリエイティブも作るし、請求管理もする。このあたりができないと、そもそも個人事業主としてはやっていけないので。または、苦手な業務を外注できるぐらいに稼げる人も向いていると思います。自分の力で稼ぐ力があるってことなので。
少なくとも、自分で考えて行動できない人はなかなか難しいですね。
しろ:
たとえばライターでも、営業、記事制作、スケジュール管理、経理、事務など全部やりますし、「競争の中で戦う」というのもよくわかります。
僕の場合はあまり準備せずに個人事業主になったため、手探りで色々調べてやっていった記憶があります。収入の壁、スキルの壁、方向性の壁など色々悩んだので、そういう意味では「自分で調べて進められる」「ある程度全部できる」などが大事かもしれませんね。
しろ:
個人事業主になる前にやっておくべきことはありますか? 個人的にはクレジットカードの作成や引越しなどの「社会的な信用」が必要なことを事前にしておくこと。あとは生きる上で必要な貯金をしたり、クラウドソーシングなどで少しずつ仕事を試してみるのが大事かなと思っています。
宮﨑:
貯金とスキルは前提として大事ですね。
あと僕の場合、会社員時代に個人で仕事を受けた経験がなかったのですが、独立してから請求書の作り方がわからなかったり、会社とは仕事のフローも違ったりなどでギャップを感じて苦労しました。もし可能ならば、副業として個人で仕事を受ける経験をしておくのは大事な気がします。
個人的には一度、会社員側として、個人事業主に仕事を依頼する経験を積んでおくのがおすすめです。仕事を依頼する側の気持ちがわかるので、自分が個人事業主になったときにどう立ち振る舞うと良いかがわかります。
水落:
個人事業主としてのキャリアを、楽観/普通/悲観の3パターンで考えておくのがおすすめです。
例)会社員から個人事業主になろうと思ったとき
- 楽観:個人事業主になって上手くいく
- 普通:個人事業主になったが上手くいかず、会社員に戻る
- 悲観:個人事業主になったが上手くいかず、会社員にも戻れない
僕は浪人中に独立しましたが、収入がない月もあったので、もし社会人だったら厳しかったと思います。楽観/普通/悲観を洗い出したうえで、それぞれの対策を考えておくと安心できます。
しろ:
これまでも話題に挙がっていた「考える力」が、より大事になってきそうですね。
内田:
余談ですが、パートナーがいる場合は、パートナーに事前に伝えておくことも重要ですよね。相談なしに独立してしまうと、後からトラブルになって大失敗するケースもあるので……。
水落:
「パートナーから反対された場合」を想定しておくのも大事ですよね。どうしても反対された場合に備えて、次の就職先を考えておくとか。
内田:
Workship MAGAZINEにも「フリーランス独立準備 診断テスト」があるので、こちらもチェックしておくといいかもしれません!(宣伝)
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しろ:
個人事業主だからこそできたことは何かありますか?
宮﨑:
「休みを自分で決められる」ですかね。納期が決まっている仕事であれば、そこまでのスケジュール管理ができればいいので。
内田:
人によっては朝が苦手な人もいるので、「出勤時間を決められる」のはあるかもしれませんね。
しろ:
それはありますね。僕もパソコンにSwitchを接続していて、休憩時間にゲームをやることがあります。会社だと仮に休憩中でも、Switchでゲームをするのは難しいですよね(笑)。
水落:
あとは、ワーケーションがやりやすいというのもありますよね。働く場所に縛られたくない人にとってはいいんだろうなと思います。
内田:
「人間関係を自分で選べる」ってのもありますね。仮に嫌なクライアントと当たっても、次から断ればいいだけですから。
【討論】フリーランスと会社員、結局どっちがいいの? 働き方の長所/短所を語ってみた
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しろ:
個人事業主になってから、想像していたものと違ったと感じたことはありますか?
内田:
確定申告なんて面倒なものがあるなんて、全く知りませんでした……。個人事業主になる前に知りたかったです。
フリーランスが読むべきはじめての確定申告ガイド【FP監修】
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水落
安全な道を選べば選ぶほど、サラリーマン的な働き方になっていくことも意外な気づきでした。個人事業主にも色んな道がありますが、たとえば業務委託で週何日働くなど、サラリーマンに近い働き方をすると精神的にもお金的にも安定しますよね。社会は上手くできているなと感じました。
宮﨑:
マイナス面では、お金が思った以上にかかると思いました。僕はライター兼編集者ですが、パソコンやカメラなどの大きな初期費用がかかり、税金も自分で納めなきゃいけない。
プラス面では、意外と孤独感がなかったことです。業務委託先でも勉強会や飲み会のお誘いがあり、「一人寂しく仕事する」という感じではなかったので、いい意味で嬉しい驚きでした。
内田:
そこは取引先のカラーによるのかもしれませんね。ボクの場合は、実績を見せればお仕事いただけるケースは意外と多いんだなと感じました。
というのも、ライター未経験の時に文字単価2円のお仕事をいただけたんです。未経験かつ、当時としてはまあまあ高かったのかなと。DJ機材の紹介記事だったんですが、過去にDJをしたことがあったので、未経験でもその価格のお仕事をいただけました。ちゃんと自分の実績やスキルを提示できれば仕事はあるんだなと。
水落:
営業にしても、自分の長所やできることをしっかり理解して、その上で提案してくれる人だったらクライアントも嬉しくなりますよね。大事なのは「仕事が欲しい!」という熱意じゃなくて、本当にいいものを作るために、お互いマッチするかどうかですよね。
しろ:
最近はAIが話題に上がることが増えてきました。個人事業主の仕事はAIによってどう変わりそうでしょうか?
結局、AI創作とどう向き合うべき? 知られざる著作権の落とし穴と対策【弁護士解説】
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内田:
単純な制作しかできない人はキツくなってくると感じています。でも、過去にも似たような流れはありました。
ちょっとマニアックな話ですが、たとえば昔の映画はサイレント(無音)だったので、映画の説明役として「活動弁士」という仕事があったんです。でも、映画に音声がついてからは一気に廃れてしまいました。このように、新しい技術によって仕事が淘汰される例は、過去にも至る所でありました。なので、AIに取られてしまう仕事もあるという前提のもと、うまくAIを活用したり、AIが真似できない領域に行くなどの対処が必要だと思います。
水落:
うちのコンテンツ制作会社では実際に、いわゆる「こたつ記事」を発注するのをやめました。また、そういった記事を書くライターもいなくなることを考え、会社の体制も変えている最中です。
「僕が介在しないとお金が生まれない仕組み」を作り、「自分が提供できるものの価値を上げる」など、ビジネスの考え方には大きく影響が出ていますね。クライアントの反応を見てると、だいぶ変わってきていると感じます。
しろ:
AIツールの波は来ていますよね。Product Huntというサイトで海外の人気ツールが紹介されているのですが、AIを活用した便利ツールは毎日のようにリリースされ続けています。
ライターの世界で言うと、現状はAIが書いた記事の正確性が問題になっていますが、AIによるファクトチェックの精度が上がってくるとまた変わってきそうですよね。
内田:
そうですね。AIに限りませんが、情報感度を高めて、新たな技術で何ができるか、どんなツールが出ているか、それらをどう活用していいのかを考えるのが大切な気がします。「AIが来る!」と焦るよりも、実際に調べて使ってみるのが大事じゃないかと思います。
今回は座談会形式で「個人事業主になるには」をテーマに記事をまとめました。AIの話も出てきたので、最後に今回執筆した記事をNotion AIを活用して要約してもらいました。
▼NotionAIを使った要約
- 個人事業主になる前には、貯金やスキルの習得、クラウドソーシングなどでの仕事の経験が大切
- 個人事業主になると、自分の時間を自由に使えることや、クライアントを選べることなどがメリット
- AIによる淘汰が進む中、AIを活用したり、AIが真似できない領域に進出することが大切
個人事業主の働き方をイメージしながら、ひとつずつぜひ準備を進めていってみてください。他にもWorkship MAGAZINEでは個人事業主向けの記事をいくつも掲載しています。記事の一覧はこちらから確認できるので、ぜひ気になる記事をチェックしてみてくださいね!
(執筆:しろ 編集:少年B)