「専門スキルを伸ばす VS 幅広い領域に挑戦する」フリーランスの生存戦略討論
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名前からか、混同されやすい「フリーランス」と「フリーター」。しかし、実際は社会的信用度、雇用形態、年収など、さまざま場面で大きな差があることをご存じですか?
今回はフリーターとフリーランスの違いを踏まえて、フリーランスになる方法をご紹介します。
フリーランスとは英語で「Freelance(自由契約)」を意味する単語。サラリーマンのように1つの企業と雇用契約を結ぶのではなく、会社や組織に所属せず、個人で仕事を請け負う働き方です。
1社、または複数社の企業に対し、求められる技術やコンテンツを契約ごとに提供し、その報酬を受け取るという契約形態です。
フリーターとは「Free (自由)」と「Arbeiter (労働者)」を組み合わせた和製語です。
総務省統計局によると、15才〜34才の学生でない男女(女性は未婚に限る)のうち、以下のような人がフリーターと定義されています。
フリーランスとフリーターの違いについて見ていきましょう。
ここでは、先述したフリーターの中でも「雇用者のうち勤め先における呼称がパート・アルバイトの者」に関してのみ、解説します。
フリーターの場合、非正規雇用として企業に属しています。
一方のフリーランスは、企業に雇用されておらず、案件ごとに業務委託として契約するのが一般的。複数企業と契約しやすい傾向があります。
フリーターの労働形態はパート・アルバイトなので「給与」ですが、フリーランスは契約に基づいた「報酬」を受け取ります。給与と報酬の違いは、次のとおりです。
- 給与:雇用契約を結んでいることを前提とした労働の対価
- 報酬:労働や物の使用などに対する対価
(出典:川庄公認会計事務所)
そのため、フリーターは時間給で働くことになりますが、フリーランスは案件ごとに報酬体系が異なります。
1案件ごとに契約に則った報酬をもらえる「請負契約」のほか、案件として仕事を区切ることが難しい場合には、時給で働く「準委任契約」で働く場合もあります。
フリーランスの契約の違いはこちらの記事も参考にしてみてください。
フリーランスと業務委託は何が違う?知っておきたい契約の注意点
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フリーターの給与は基本的に時給制で、多少の昇給はあれどほぼ一定なのに対し、フリーランスは案件ごとに報酬が異なります。自身の持つスキルや業務内容次第で、高単価な案件が受注できることもあります。中には長年働いているうちに能力を認められ、基本報酬が2倍、3倍になるという人もいます。
また、フリーランス実態調査結果および民間給与実態統計調査によると、フリーターの平均年収が約175万円なのに対し、フリーランスの平均年収は約200万円〜300万円。フリーランスの平均年収の方が、フリーターの平均年収よりも少し上回っています。
なお、フリーランスの平均年収については、副業やすきまワーカーも含むため、本業のフリーランスに限定した場合はより高い年収となることが予想されます。
フリーランスには、企業がわざわざ外注しなければならないほどの、高いスキルや専門性が求められます。そのため、高単価な仕事を受注できるようになるには専門分野を持つなどの市場価値が必要になってきます。
一方のフリーターは、必ずしも専門性を持つ必要はありません。正社員の補助的な立ち位置で仕事をする場合が多いでしょう。そのため、未経験でも採用されやすい傾向にあります。
業務委託として働くフリーランスは、あくまでも業務を委託されている立場。企業との関係は対等です。契約で決まっている仕事を決められた期限までに仕上げればよく、細かい業務上の指示や命令は受けません。
たとえば、「いつまでにこういうプログラムを書いてくれ」という依頼があった場合、仕様に沿ったプログラムが期限までに納品できるのであれば、8時間ずつ3日かけてやろうが、締切前日に1日かけて仕上げようが問題ありません。
フリーターは会社と雇用契約を結んだうえで働いているので、業務時間内は上司の指示や命令を聞く必要があります。「ハンバーガーを時間までに〇個作ったので、あとは帰ります。時給だけください」などということは許されません。
フリーランスは、働く時間や場所などを自分で決められる場合が多いです。
案件を受注して契約期日までに納品すればよいため、休日などもある程度は自分で調整できます。その反面、仕事を抱え込みすぎてしまうと、「セルフブラック」と呼ばれる状態に陥ってしまうこともあり、自己管理が重要になってきます。
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一方フリーターは、決められた時間や場所で仕事をするのが基本。仕事のシフト通りに働けば、それ以外の時間は自由に使えます。ただし、シフトが確定するまでは、他のスケジュールを立てづらいという欠点もあります。
フリーランスは自分で所得税を納める必要があるため、確定申告をしなければいけません。
一方のフリーターは、企業が年末調整を行ってくれるため、確定申告は不要です。ただし、複数社の仕事をかけもちしている場合は、自分で確定申告をする必要があります。
確定申告って何から手を付けたらいいの? 人気税理士に聞いてみた
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フリーランス・フリーターともに福利厚生が弱いと言われています。とくにフリーランスは現在、業界団体がさまざまな働きかけを行っているものの、支援制度はまだまだ足りないといってもいいでしょう。
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そのため、フリーランスは自分で組合に加入したり、iDeCo・つみたてNISAなどを活用することが大事になってきます。
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逆に、フリーターは会社によっては厚生年金保険や健康保険、雇用保険、労災保険などに加入することができます。パート・アルバイト先を探すときに「社保完備」と書いてある求人を探してみるといいでしょう。
社会的信用度はフリーランスもフリーターも低くなりがちです。しかし、フリーランスはスキルによって年収を大幅に上げられる可能性を秘めており、しっかりとした所得や納税を証明することで、ローンやクレジットカードの審査も通りやすくなるでしょう。
一方のフリーターは、年収がほぼ変化しません。勤続年数が増えても社会的信用が上がらず、高額なローンや賃貸契約ができない場合もあります。
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最大の違いは責任の重さかもしれません。フリーランスは高い専門性やスキルを求められ、即戦力として結果が重要視されます。決して安くはない報酬を払っている以上、企業に結果を出せないフリーランスと契約を続ける義理はありません。
フリーターは専門性や責任を求められるフリーランスと異なり、あくまでも正社員の補助的な役割を期待されています。そのため、未経験からチャレンジできたり、職場における責任が小さかったりする傾向があります。
つぎは、正社員と比較しながらフリーランスとフリーターの共通点をご紹介します。
フリーランスとフリーターは、会社員のような固定給がありません。自分の働いた分だけ収入が左右されるため、収入が不安定な傾向にあります。
たくさん働いた月は収入が大きい一方、仕事が受注できなかったり、病気などであまり働けなかった月は収入が激減するなど、何かあったときの保証が少ないのです。
会社員は基本的に定時勤務が決まっており、その日時に予定を入れたい場合は、有給などを使わなければいけません。
一方でフリーランスとフリーターは、働く時間を選びやすい傾向にあります。
フリーランスの場合は働く場所も選びやすいため、より自由度が高いと言えるでしょう。
会社員は雇用契約時に、副業が制限されることも。また、基本的には定時までフルタイムで勤務するため、時間や体力的に副業をするのが難しい環境にあります。
一方でフリーランスとフリーターは、雇用上の制約が少ないため、働く時間や量を調整しやすいのが特徴です。そのため「好きなことや得意なことを少しずつ仕事にしたい」「副業でさまざまな職種に挑戦したい」と思ったときに、副業を始めやすい環境が整っているといえます。
フリーターは周囲から「しっかりしていない」「フラフラして」などと批判されることもあります。
フリーランスも、フリーターと混同されたり、「将来は大丈夫なの?」「しっかり働いているの?」と不安がられてしまうケースもあるようです。
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特に、年代が上の親や祖父母の世代は心配しがち。定期的に仕事や収入の話をしておくなどして、安心させてあげたほうがいいかもしれません。
どちらも社会的信用度が低くなりがちなので、金融機関からお金を借りることは難しくなります。
フリーランスは継続的な収入を確保し、毎年確定申告をしっかり行うことで、クレジットカードを作ったり、場合によってはローンも組めるようになる可能性はありますが、フリーターの場合はローンを組むのは簡単ではないでしょう。
フリーターからフリーランスになるステップをご紹介します。
まずは、フリーランスになりやすい職種を知るところから始めましょう。例として下記のようなものが挙げられます。
- エンジニア
例:コーダー、ネットワーク開発者、アプリ開発者、ゲーム開発者など- デザイナー
例:Webデザイナー、グラフィックデザイナー、イラストレーターなど- Webライター
例:トラベルライター、フードライター、ファッションライターなど- 動画編集者
例:YouTube投稿動画の編集者など
自分の携わりたい業界と需要を考えてスキルを身につけることで、自分の好きなことを仕事にできる可能性が高まります。
ただし完全未経験から、生活していけるだけの仕事を受注するのは簡単ではありません。実績を積んだり、ポートフォリオや作品集を作成したりなどの準備は必須です。
しかし一度スキルを身につければ、さまざまな業界にチャレンジすることができます。
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やりたい業種を決めたら、次は実務経験を積みます。経験を積んで実績を残せば、フリーランスとして活動する際に、スキルとして証明できるでしょう。
やりたい業種で実務経験を積むには、下記のような方法があります。
実務経験をつむために、働きたい職種で企業に就職する方法があります。
未経験でも応募可能な募集を見つけなければいけませんが、業界や職種そのものが未経験者を受け付けていない場合も。いきなり正社員として就職できない場合は、アルバイトとして経験をつむのも方法の1つです。
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実務経験をつむために、インターンに参加する方法があります。インターンと聞くと、学生が参加するイメージはありますが、既卒の人材を募っている場合もあります。
インターンに参加することで、次のようなメリットを得られます。
インターンを経験したのちに正社員として就職する道もあります。
社会人インターンとは?そのメリットとおすすめ募集サービス6選
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いよいよフリーランスとして独立します。
独立前には、自分で国民健康保険に加入したり、案件を継続的に獲得できる環境を作ったりするなどの事前準備が必要です。次の記事を参考にしてみてください。
フリーランスになる前に知っておくべきこと。【保存版】
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また、フリーランスの仕事の取り方として、次のようなものがあります。
「フリーランス白書2021」によると、約7割のフリーランスが「人脈」から仕事を得ているといいます。企業で働いていた時代の人々との交流や、イベントや勉強会への参加、SNSでのつながりから仕事を獲得できる場合があります。
イベントやサロンを活用した人脈の広げ方については、次の記事で詳しく解説しています。
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マッチングサイトやエージェントを利用して、仕事を獲得するフリーランスもいます。さまざまなサイトがあるため、最初のうちはどれを使えば良いのか分からない場合もあるかもしれません。
次の記事では、フリーランスにおすすめのマッチングサイトやエージェントを紹介するとともに、使用する際の注意点も解説しています。
フリーランス向け仕事マッチングサイト13選【専門メディアが厳選】
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知名度や実績がない場合は、自ら企業に営業をかけなくてはいけません。できるだけ多くの企業との関係を築くことで、いつ仕事がなくなってしまうかもしれないという悩みをできる限り軽減できます。
営業方法については、さまざまなフリーランスの方々にインタビューした連載「フリーランスの営業術」が参考になるでしょう。
飛び込み営業成功率ほぼ100%のフリーランスに聞いた「営業を成功させるたった2つのテクニック」
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そのほかにも、案件成約ごとに1万円のお祝い金がもらえたり、報酬の先払いができたり、福利厚生に近い優待サービスが受けられたりと、フリーランスを守るサービスが多数用意。エージェントによる案件獲得サポートも用意されており、希望の働き方や、単価、条件などを伝えれば自分に合った仕事を提案してくれます。
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今回はフリーターとフリーランスの違いから、フリーランスになる方法までをご紹介しました。
自分の働きたい職種と需要を考えて、いかにスキルと経験を選択・習得し、企業に自分を売り込むかが、フリーターからフリーランスになる際の大切なポイント。
この記事をきっかけに、フリーランスに挑戦してみませんか?
(執筆:上塚千恵子 編集:mozuku)