「Twitterは、ときにマスメディアを凌駕する」ホットリンク飯髙悠太氏が語る、Twitterマーケを主戦場にする理由

「Twitterマーケティング」というワードをちらほら聞く昨今。

しかしそもそも、Twitterマーケティングって一体何を指すのでしょうか。

ただTwitterに広告を配信するだけ? それともフォロワーをいっぱい抱えてインフルエンサーになる? フォロー&RTキャンペーンを実施すれば良い??

今回はTwitterを中心としたマーケティングサービスを展開する株式会社ホットリンクのCMO・飯髙悠太氏に、Twitterマーケティングの疑問をぶつけてみました。

飯髙1

飯髙 悠太(いいたか ゆうた):
広告代理店、制作会社、スタートアップで複数のWebサービスやメディアの立ち上げる
2014年4月 ferretを立ち上げ創刊編集長に就任
2017年1月 株式会社ベーシックの執行役員に就任
2019年1月 株式会社ホットリンク入社
2019年4月 株式会社ホットリンクの執行役員CMOに就任
Soar、BookS&Apps、COUXUアドバイザー
東証1部上場企業を含め50社以上のコンサルティングを経験

本日はよろしくお願いします!
はい、よろしくお願いしますー。実はインタビュー受けるたびに喋りすぎちゃって、毎回「記事化が大変!」って言われちゃうんだけど……大丈夫かな?
が、頑張ります……(笑)。

再現性のあるSNSマーケティングを作る

では早速ですが……さまざまなSNSが乱立する昨今において、飯髙さんがCMOをつとめる株式会社ホットリンクがTwitterを主戦場にする理由はなんですか?
理由は大きくふたつあります。ひとつはSNSの中で、もっともTwitterが「バズを起こしやすい」から。たとえば最近のFacebookは広告プラットフォーム化してて、シェアしたものが目立ちにくくなっている。またInstagramはハッシュタグ活用やコンテンツがメインでバズが発生しにくい。一方でTwitterはRTなど拡散機能が強いですよね。
(ただInstagramは広告の精度がとても高く、ブランドとかにはめちゃくちゃ相性いいです)

ふたつめは、僕らがTwitterマーケティングの勝ちパターンを、ある程度理解しているからです。現状のSNSマーケティングって、SEOとかと比べると「王道の勝ち方」みたいなものってあまりないんですよね。たとえば大手のアカウントがTwitterマーケティングの成功例みたいに捉えられてますけど、「あれ誰がマネできるんですか?」って話で(笑)。僕らは再現性のあるものを作りたいんですよ。こうすればUGCが増える、みたいな。

なるほど。シェアのされやすさと、ホットリンク社の経験の蓄積からTwitterを主戦場に置いてるんですね。
ただし、僕らホットリンクのミッションは「SNSマーケティングのスタンダードを創る」ことです。だから「ほかのSNSマーケティングの支援はやらない」というわけではない。僕らにとってTwitterは、口コミを発露させるためのベースのようなものなので、たとえばTwitterの投稿がInstagramで言及されるなんてこともあっていいんです。Twitterを起点として、SNSマーケティング全体のスタンダードを作っていきたいと考えてます。
最近では、SNSマーケティングにおけるビッグデータ活用にも注目が集まってますよね。
SNSは、ユーザーが自発的に発言した内容まで詳細なデータが保持されています。なかでもTwitterは、ほかのSNSに比べて口コミが多く拡散されるので、広告だけでなく、さまざまな形でデータを活用できます。流行りやトレンドをデータから分析・判断して、それを商品開発に活かす、とかですね。たとえば「暑い」ってツイートが増えたとき、それとともに「チョコミント」ってワードが共起していたことがあったんですよ。そこで製菓会社が「チョコミントアイス」を出したら売れますよね、みたいな。

フォロー&RTキャンペーンはやってはいけない?!

Twitterのビックデータを使った商品開発は興味深いですね。では逆に、間違った使い方をしている企業の事例は何かありますか?
Twitterを、ただの「広告ツール」としてしか考えていないケースですね。たとえばフォロー&RTキャンペーン。実際にそのキャンペーンに対してアクションを起こしてるアカウントの半数近くが、実は懸賞用アカウントだったりすることもあるんです。

※懸賞用アカウント:フォロー&RTキャンペーンに参加するためだけに作られたアカウント。botだったりすることもある。

飯髙&じきるう

約50%が懸賞用アカウント!? そこにリーチしても、なんの意味もない……。
これは、そもそもSNSマーケティングを実施する意味を理解できていないことに起因します。SNSマーケティングは、UGC(ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツの総称。口コミなど)を発生させて、自然拡散させて、アテンションを広げるためにやるべきなんです。なので企業アカウントとフォロワーの関係を、マス広告のような「1対n」の関係で捉えるのは違うかなと。

SNSは広告媒体ではないので、プレスリリースやテレビCMなどの延長線上でやろうとしても上手くいきません。使い方として正しいのは「n対n」のコミュニケーション。広告含め「ターゲットに当てる」のではなく、「ユーザーに広げてもらう」のが大切。

では、企業はフォロー&RTキャンペーンをやらない方が良いですか?
決してフォロー&RTキャンペーン自体がダメというわけではありません。たとえばコモディティ商品はUGCがかなり出にくいので、そういった場合にはフォロー&RTキャンペーン含め企画をやる意味があります。ただ、「n対n」のコミュニケーションが取れる仕組みを、まずは構築しなければいけないと思いますね。

フォロワー10,000人のインフルエンサーより、フォロワー100人のクラスの人気者

なるほど。ちなみにその「n対n」のコミュニケーションを生み出し、UGCを創出するにはどういった方法が考えられますか? ただ良質なコンテンツを作ればいいというわけでもなさそうですが……。
「質の高いフォロワーを獲得する」ことが大切ですね。もちろん商品やプロダクトが良いものであることは大前提です。
「質の高いフォロワー」とは具体的にいうと?
言ってしまえば、クラスの人気者みたいな存在です。学校のクラス30人と濃く繋がっているような、特定の狭いコミュニティに対して影響力がある人。たとえばクラスの人気者である3年A組のAさんが「○○駅前のカフェめっちゃオシャレだった!」ってつぶやいたら、それを見たBさんCさんがそのカフェに行くような。こういう30人の質の高いフォロワーを抱えた人は、10,000人の雑多なフォロワーを抱えているインフルエンサーより質が高いと判断します。

それとフォロー/フォロワー数が少なくて、ツイート数が多いユーザーも良いですね。例えば「フォロー3000人/フォロワー10,000人/ツイート数3,000」の人と、「フォロー30人/フォロワー50人/ツイート数50,000」の人。どっちの方がクチこんでくれるかといったら、後者です。フォロー数が少ないと、その人のタイムラインに流れてくるツイートが限られてくるので、アテンションしやすいんですよね。

ふむふむ。狭いコミュニティに影響力がある、ツイートが多くフォローの少ないユーザーが良い、と。
そういう質の高いフォロワーを獲得したら、次は「彼らの抱えるフォロワーにフォローしてもらう施策」が大事。そうすることで、ひとつのコミュニティに深く入り込めるんです。

これがなぜ効果的かというと……たとえば、コミュニティに入り込むことができれば、フォロワー一人ひとりのタイムラインに自分のツイートが表示される可能性は当然高くなりますよね。そのなかの5人でも口コミを投稿してくれたら、タイムラインには時間は違えど5人分の口コミが発生します。それを見た人は「これが流行しているのか」と感じますし、興味が出るわけです。

ULSSASの循環をつくり、UGCを産み続けるサイクルを

とはいえ口コミなどのUGCは、一度爆発的に生み出されても、一過性で終わってしまうものも多いですよね。UGCを長く生み出し続けることは可能なのでしょうか?
はい可能です。しかし仰るとおり、多くの企業が一過性のキャンペーンで終わってしまっているのも事実。そこで重要になるのが「ULSSAS(ウルサス)」を理解し、循環させる仕組みを構築することです。ULSSASとは「UGC→Like→Search1(SNS検索)→ Search2(Yahoo!、Googleなどで検索)→Action→Spread」という、一連のユーザー行動の頭文字を取ったものです。
たとえば、ある商品を購入したAさんが、口コミをSNSに投稿しますよね。その投稿に対してフォロワーの数人がLikeを押して、その後SNSで検索、もしくはGoogleやYahoo!で検索をして、購入すると。そしてまたその口コミをSNSに投稿するというサイクルが生まれる。これがULSSASのフレームワークです。
ホットリンクさんが提唱しているULSSAS、最近は徐々に言われるようになってきましたね。ただ、そのようなULSSASSのサイクルを生み出しにくいものも存在するのではないでしょうか。
もちろんそうですが、やり方次第でULSSASを生み出すことは可能です。たとえば弊社はtoBサービスを提供する企業ですが、今までずっと「BtoBはSNSでアテンションできない」って言われ続けてきたんですよ。でも僕はそうは思ってなくて。

僕がこういうメディアの記事に出てSNSでシェアされると、「ホットリンクって何?」って気になった人が検索しますよね。実際、僕がメディアに取り上げられるようになってから、Googleから「ホットリンク Twitterマーケ」などといったキーワードで検索する人がめっちゃ増えてます。UGCで言うと去年の12月と4月を比べると6倍くらいになっています。これって取材してもらうって考えると一気にハードル上がりますけど、記事広告出稿だっていいわけです。

BtoBの企業でも、メディアやSNSに露出していくことでULSSASサイクルを生み出すことは可能であると。
そう。あと最近のホットリンクは自社サービスへのリンクが一切ないメルマガを配信してるけど、あれもクチこんでくれる人が結構いますね。で、そもそもホットリンクのメルマガを読んでくれてる人ってマーケターの方ばかりなので、マーケターのTLにホットリンクの話題が上がる。そしたらそのマーケターの先にいるお客さんにアテンションできますよね。そしてそれが指名検索となって流入してきているわけ。
ホットリンク メルマガ

▲出典:ホットリンクのメルマガ

ホットリンクさんのメルマガ、ぶっ飛んでますよね(笑)。自社サービスの宣伝が一切ないうえ、謎の連続小説が連載されてたり。
かなり自由だよね(笑)。「BtoB企業がリンクなしのメルマガ出すとかありえない」「リードを取らなきゃダメだ」とか言われがちですけど、そんなこと誰が決めたの?って思うんです。しっかり面白く読めるコンテンツであれば、必ずしも自社の情報はいらないんじゃないですかね。実際、メルマガをきっかけにSNSでUGCが発生してますし。

こんな感じで、メディア掲載だったり、メルマガだったり、イベント登壇だったり、全部繋がってUGC発生のための財産になってるんです。「ホットリンクって楽しいよね」って思ってもらえれば、それがリード獲得に繋がる。もちろん、自分たちがただ楽しんでやってるってのもありますけどね(笑)。

Twitterでセルフブランディングってそもそもどうなの?

ここまで企業向けの話が多かったですが、最近はセルフブランディングのためにTwitterを活用する方が多く見られます。飯髙さんはプライベートでもTwitterをかなり使っているようですが、セルフブランディングみたいな意識はありますか?
僕自身は、そういうのは意識したことないですね。ありのままの自分でやってるだけ。ただ、もし僕がセルフブランディングのためにTwitterをやるとしても、自分の好きなものを投稿するかな。フォロワーを増やすために不自然な投稿をするよりも、その方がよっぽど本質的かなと。例えばじきるうはダンスが好きらしいけど、ダンスのことなら何も考えずにつぶやけるでしょ?
まあ、そうですね(笑)。
自分の好きなダンスに関するツイートをしてたら、ダンス好きは自然と集まってくるよね。自分もダンス好きをフォローするよね。そういうのが積み重なった結果、セルフブランディングにつながると思うんです。

飯髙2

またこれは多くの人が誤解している点だと思うのですが……Twitterとリアルなコミュニケシーションって基本は同じなんですよね。だから、Twitterだけでセルフブランディングしようとしても、本質的な意味でのブランディングにはならないと思います。Twitterでセルフブランディングできてる人って、そもそも自分の事業をしっかり伸ばせてる人だったりするんで。

あ、でも140字のテキストコンテンツが上手い人は別ね。そういう人たちはそもそもTwitterの才能があるから(笑)。

では、Twitterがセルフブランディングの場として注目されているのはなぜなのでしょう?
それはおそらく、世の中における「メディア」のあり方が変化しているという背景があるからだと思います。SNSの登場で、個人の発信力が劇的に強まっており、時にマスメディアを凌駕することもある。たとえば既存のメディアが、SNSでバズった情報を報道することがよくあります。新聞やテレビといったマスメディア、そしてWebメディアでさえも、もはや一次情報を報じることが難しくなってきてるんですよ。例えば熊本大地震の時とか、マスメディアよりもSNSの方が情報が回るのが早かったですね。SNSを利用している7500万人一人ひとりが、パーソナルメディアとして強く機能しているんです。

またそれに加え、Twitterは拡散機能が強いですよね。おそらくTwitterがセルフブランディングとして注目されているのは、この拡散性の高さにあると思います。

Twitterは、好きだからやっている

なるほど。ちなみに飯髙さんがTwitterを積極的に使っているのはなぜですか? 何か可能性を感じているから?
可能性という話でいくと、Twitterが持つ、バズを発生させてアテンションを広げる場としての可能性には、非常に魅力を感じますね。GoogleやYahoo!で検索するときって、何か情報との出会いというか、そういうきっかけがないと検索しない。Twitterは、そのきっかけを作りやすいと感じていますね。

あとこれは個人的な想いなのですが、僕がプライベートもここまでTwitterにドップリ浸かってるのって、単純にTwitterが好きだからなんです。僕は個人アカウントを全部で4つ持ってるんですが、RTとかも含めると合計で1日200ツイート以上してる(笑)。僕にとって、Twitterでつぶやくのって、息を吸うのと同じ行為なんですよ。

飯髙3

(執筆:Murakami Kan 企画/構成:内田一良(じきるう) 写真:Shochik)

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