「フォロワー1万人にセンスはいらない」匿名ツイッタラー・みる兄さんの仮面の裏側

みる兄さん - フォロワー1万人にセンスはいらない。必要なのは徹底と再現性

これまでWorkship MAGAZINEでは「実名アカウント」のTwitterマーケ術をお伝えしてきましたが、「匿名アカウント」で成果を出す人もいます。

今回ご紹介したいのは、匿名アカウントの運用を始めて1年半でフォロワー1万人を達成した「みる兄さん」。

仕事に活かすためにTwitterを始めた彼ですが、実は2年前までTwitterをほとんどやったことがなかったそう。

「フォロワー1万人にセンスはいらない。必要なのは徹底と再現性」と語るみる兄さん。仮面の裏側に迫りました。

みる兄さん
みる兄さん

ビューティ系でSNSマーケティングとECと広報・PRの責任者。経営戦略部門でデジタルとブランディングを繋ぐため疾走してます。Twitter:@milnii_san

聞き手:はつこ
聞き手:はつこ

ライター。みる兄さんとはライター講座で出会った。それも2つの講座で遭遇した。

”実験の場”としてゼロから始めた匿名アカウント

はつこ:みる兄さんのTwitterアカウントは2018年にできたんですね。比較的最近ですが、なぜ始めたんですか?

みる兄:きっかけは、自社でオウンドメディアを運用することになって、コンテンツ制作について学ぶためにとあるライター講座に参加したことです。そこで5歳さんというフォロワー12万人の輝かしいインフルエンサーに出会ったのがすべてのはじまりでした。

はつこ:5歳さんとは、同じ講座の生徒として出会ったと。

みる兄:そうです。受講生の中にTwitterがすごい人がいると話題になっていて。僕は本業がマーケティングのひとなので、彼にソーシャルマーケティングの相談をしてみたんです。「企業がTwitterを活用するにはどうしたらいいですか?」みたいな感じで。

でも話を聞いているうちに、「興味あるなら個人アカウントもやっちゃいなよ!」という流れになって。

みる兄さん ‪顔アップ(素顔隠し)

みる兄:ライター講座で「書いたものを広めるためにはTwitterが良い」という話を聞いて、5歳さんと出会ったことも重なり、これはやろうと。

会社としてソーシャルマーケティングをやる上で、個人的にアカウントを運用して学んでみようと始めました。僕にとって「みる兄さん」は実験の場なんです。

はつこ:なるほど。まずは自分でやっていく精神がかっこいい! では、なぜ匿名アカウントにしたんですか?

みる兄:僕のようだけど、僕ではないんですよね。どんなツイートが楽しんでもらえるのかを実験して学んでいくためのツールなので、そこに自我がのりすぎるのはちょっと違うなと。「みる兄さん」というキャラクターをつくっている感覚です。

もし実名だったら、家族の話やエモい文体のツイートは恥ずかしくてできないですね(笑)。匿名だからこそ色々試せるんです。

はつこ:確かに、匿名にすることで照れずにツイートできる側面はありそうですね。

みる兄:あと、これは僕が特殊なのかもしれませんが、経歴や実生活を抜きにしてゼロベースで何かを始めるというのが面白かったんです。RPGゲームの中にポンと自分をベースにしたキャラクターをつくる感じで。元々ゲームが好きなんです。大変ではあるんですけど、それが楽しさでもありました。

フォロワー1万人にセンスはいらない

はつこ:実験を繰り返していたら、アカウント開設1年半でフォロワー1万人達成したと。すごいですよね。

みる兄:特別なことはしていないんですよ。淡々と、すでに成功しているアカウントの共通項を洗い出したり、ネット上にあるTwitter運用のノウハウを読んだりして、取り入れていっただけです。

センスではなく、徹底と再現性。そこにちょっとしたエピソードを入れる。

はつこ:えっ。特別なことはしていない?

みる兄:僕が初期にやっていたのはこんなことです。

みる兄的ツイッター術①

みる兄的ツイッター術②

みる兄的ツイッター術③

はつこ:おおお! ではこれらを徹底すれば、フォロワー1万人までなら特別な才能やセンスがなくても目指せるということですか?

みる兄:全然いけると思いますよ。

みる兄さん 手

はつこ:おお……!

みる兄:たとえば「ツイートのテーマを曜日と時間で分ける」でいうと……

朝はその日のニュースにコメントを添えてツイートして、就業後は仕事関連の気づきや対人関係についての主観よりなツイートをするんです。一方で土日は、スポーツや家族のことなどをツイートします。

最近はやっていないですけど、朝は8時台と9時台でジャンルを変えていたこともあります。

はつこ:そこまで!?

みる兄:一般的なサラリーマンは8時から9時の間に出社しているので、汎用的なニュースは8時台にシェアしていましたね。

みる兄:一方でWeb系のお仕事をされている方は9時半前後に動き始める人が多いので、Web系の方が興味を持ちそうなニュースは9時台にシェアしていました。

はつこ:は〜! 本当だ! 確かにWeb系の私は、8時台だとまだお布団の中です。

属性よりもタイミング。時間帯を意識したツイートで2つの面を

はつこ:仕事関連の発信に特化して伸ばすアカウントもあるかと思いますが、みる兄さんが家族のお話もツイートするのはなぜですか?

みる兄:特化したほうが属性の熱量は高まるかもしれません。でも、1つの軸に絞ってプロダクト系で続けていくのって、ちょっと苦しいんですよね。日常のことを話したくなるときって出てくるじゃないですか(笑)。

はつこ:スタバなうみたいな?

みる兄:そうそう。乗った電車が大崎止まりだったとか。1つの軸でネタを作りつづけるのも大変ですからね。

みる兄さん 提案 

みる兄:フォロワーさんのタイプや属性も大事ですが、僕はそれ以上にタイミングを意識しています。

僕自身はマーケの人ではあるけれど、土日まで仕事の情報を得たいと思わないんですよね。休みの日はほっこり系のツイートが見たい。メルマガとかと同じです。僕は夜にECで買い物をするので、夜にECのメルマガがきたら見ますけど、昼間に来たらスルーしちゃう。

だから時間帯は意識しつつ、内容は軸を2つ掛け合わせてちょっと愛嬌があるくらいがいいかなと思ってやっています。3つ以上になるとカオスになりそうですけどね。

はつこ:なるほど。でもだからこそ、ツイートではなくみる兄さん自身にファンがつくのかもしれないですね。匿名アカウントなのに、すごく人間味を感じますし、日常や感情が見える。

みる兄:あ〜、そういう面もあるんですかね〜。

はつこ:たとえば先日、みる兄さんは「本業で職域が広がった」という旨のツイートをしていましたが、それに対して670いいね集まるって、もうファンですよね。

みる兄:確かになんの有益性もないツイートにいいねしてもらえたり、お祝いのコメントをいただけたりするのはありがたいことですよね。このツイートきっかけで、新しくフォローしてくれた方も結構いたんです。

みる兄さんフォロワー爆伸び

はつこ:本当だ!

みる兄:これは自分でも不思議でした。

はつこ:キャラ作りみたいなのも意識しているんですか?

みる兄:キャラ作りというか、嘘は絶対につかないようにしています。トラブルになって、それこそ仕事や家庭に影響があったら元も子もないですからね。匿名アカウントだといくらでも飾ることができますが、虚像にならないようには意識しています。

はつこ:確かに、お会いしてみてTwitterでのイメージ通りだなと思いました。

みる兄:そうそう。やっぱりTwitterからリアルに繋がっていったとき「なんだ全然違うじゃん」って思わせてしまうのは嫌ですよね。

強いて言うなら、キャラ作りとして一人称を「僕」にしたとかですかね。じつは普段は「俺」か「私」なんですけど、ソーシャル上では「僕」を使うことで角が取れて、親近感が湧く。これも5歳師匠がやっていたので真似しました。

はつこ:細かいことも研究して取り入れてるんですね。

みる兄:そうです。地道にコツコツ。あとは5歳さんを参考に、丁寧にリプライを返すとかもしてますね。できるだけリプライや引用リツイートには返信するし、できないときはいくつかのコメントをまとめて、ツイートします。

はつこ:たしかに自分のリプライを拾ってもらえると嬉しいです。

みる兄:反応があると嬉しいですよね。とにかく、徹底して受け手のフォロワーさんからの目線になることを大切にしてます。マーケティングで言うところの「ユーザー目線になれるか?」と同じ感覚ですね。

みる兄さん Twitter

はつこ:5歳師匠のお話が出ましたが、みる兄的ツイッター術に「師匠を2〜3名選び特徴を掛け算」とありましたね。5歳さんの他にお手本にしているアカウントはありますか?

みる兄:他にはjigen_1さんも参考にさせていただいています。

遊び心があるあたたかい文体は5歳さんを、記事を引用して毎日発信していくスタイルはjigen_1さんをお手本にしていますね。

はつこ:なるほど! お二人とも匿名アカウントですね。

みる兄:そうそうそう。実名アカウントは自分の仕事などリアルから派生したネタが強いですが、やっぱり匿名アカウントには匿名アカウントなりの戦略がありますよね。

はつこ:匿名アカウントとして、なにか特別な戦略は行っていますか?

みる兄:そうですね。たとえば僕はリツイートしすぎないようにしています。個人が立っている人ならいいんですけど、匿名アカウントが無言でリツイートをたくさんすると雑音に感じちゃうかなと。

直接仕事と結びつかなくても、間接的に繋がっていく

はつこ:匿名で始めても、これだけファンが増えてフォロワー1万人となると「これ僕です!」って実名を出したいと思いませんか?

みる兄:全くないです。

はつこ:ないのか……。でも、実名にしたほうが仕事に繋がりやすいのではないかとも思うのですが。

みる兄:仕事を取ってくるというよりは、ツイートが伸びる工程で「ああ、こういうのがウケるんだ」「意外とこういうのって全然リアクションないんだな」という学びを得る場なんです。その知見を、本業のマーケティングで活かしたり。

はつこ:なるほど……。 Twitterを通して学びを得る過程そのものが目的なんですね。

みる兄さん:そうそう。だから僕、「Twitterで仕事取りたい!」とかの目的ってないんだよな〜。こうなりたいとかもない。

みる兄さん おいちゃう

はつこ:そうかあ。 意識せずとも「みる兄さん」としての活動が本業に活かされたことはありますか?

みる兄:あ〜、それはありますね。マーケ系やデジタル系で活躍されている方と出会ったときに、ただ「マーケターです」って自己紹介するよりも、「みる兄さん」というアカウントとそこから得た知見があることで、相手から興味を持ってもらいやすいですよね。

もちろんお互いのステージや課題にある程度の共通項がないと会話にならないので、本業の成果ありきですけどね。

扇さん飯髙さん澤山さん座波さんといった学びの多い友人が大人になってからできたのは、Twitterをやってよかったことです。あと、jigen_1さんとサッカー繋がりでご飯に行けることになったのはテンション上がりましたね(笑)。

はつこ:「みる兄さん」があったからこそ、仕事の話ができる仲間が増えたと。大人になってから友人ができたり、憧れの人に会えたりするのは、Twitterの魅力ですよね。

みる兄:おかげで去年は飲み代が半端なかったので、今年は控えています。家庭があるので(笑)。

みる兄さん 顔隠し

はつこ:飲み代(笑)。確かにみる兄さんが飲み会の場にいるツイートをよく見る気がします。

みる兄:去年の一年間は誘われたらなるべく行くと決めていたんです。ライター講座に行ったのも、セミナーにたくさん行っていたのも、なんでもそうなんですけど、期間を決めたら一気にやって詰め込むようにしていますね。

なんとなく始めようとするとダラダラしちゃいますけど、期間を決めると行動を変えられると思うんです。「これから3ヶ月はダイエット頑張るぞ!」みたいな。

Twitterも同じで、まずは一度期間を決めて、コツコツとセオリー通りやってみる。ときどき息抜きをして楽しみながら。ある程度やっていれば面白くなってきて、成果が出ると思いますよ。普段の仕事もそのやり方が成功の近道ですね。

(執筆:はつこ 撮影/編集:Uchida Kazuyoshi アイキャッチ:T)

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