フォロワー数1.7万、でも数に価値はない。問題解決でファンをつかむ、かまだ流Twitter運用

かまだ

Twitterは上手く運用すれば、個人にファンをつけ、仕事も獲得できるツールです。しかし、そうは言っても「なかなか上手くいかない……」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Twitterのフォロワー数1.7万人を超え、Twitter経由で企業個人問わず写真撮影を中心としたお仕事依頼が集まるフリーランス・かまださんに、Twitterの運用方法を伺いました。

「フォロワー数は意識していない。大切なのは問題解決による価値提供」

「コンテンツではなく人として認識されるアカウントは、ファンがつき攻撃もされにくい」

と、フォロワーを増やすこともツイートをバズらせることも経験したかまださんならではの説得力と驚きのあるお話の連続でした。

鎌田 敏行(かまだ としゆき)
鎌田 敏行(かまだ としゆき)

制作会社、営業会社、スタートアップで複数の事業やメディアの立ち上げを経験。2017年1月 株式会社アクシスでWEB制作や30を越えるサイトの運用を経験。2018年9月 アクシスチャージ株式会社で営業会社の立ち上げに参加。2019年6月 株式会社PPP’sでSNSマーケティング事業部の立ち上げ。2019年9月 フリーでSNSや企業のコンサル、写真家として活動。2020年1月には1か月間、下北沢で女性向けイベント「loop」を開催予定。Twitter

聞き手:はつこ
聞き手:はつこ

ライター。インタビューとコラムを中心に執筆。企画、編集、ディレクションも行う

半年でフォロワー1万増のTwitter運用戦略

はつこ:かまださんはいつ頃からTwitterを運用し始めたんですか?

かまだ:ちょうど1年前くらいですかね。

はつこ:1年でメインのアカウントのフォロワーが1.7万になったんですか!

かまだ:そうですね、半年で1万人くらいいきました。

はつこ:すごいですよね。どうして運用を始めようと思ったんですか?

かまだ:仕事でSNSの運用をやることになって、自分のアカウントで練習しようと思ったのがきっかけですね。

はつこ:戦略的にやっていたんですね。

かまだ:そうですね。最初はフォロワーを増やす運用をしていました。

はつこ:どうやって増やしたんですか?

かまだ:フォロワーを増やしたいと思う人がみんなやるようなことなんですけど。

たくさんの人に見てもらえる投稿時間を考えてみたりとか。インフルエンサーのツイートを頻繁にいいね/RTしている「よくアクションを起こすアカウント」を見つけて、その人をフォローしてフォローバックしてもらったりとか。

正直、あんま賞賛されないことしてましたね(笑)。いまは一日のフォロー数制限が厳しくなっていると思うので難しいですが。

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はつこ:なるほど……それだけですか? 他にやっていたことはありますか?

かまだ:「よくアクションを起こすアカウント」がいいね/RTしている投稿をわーって抜き出して、共通する単語があるかとかを見ていましたね。

はつこ:すごい、マーケターだ。その分析から自分の投稿内容を変えていたということですか?

かまだ:変えてましたね。文章だけでなく、写真も。

はつこ:おお〜、いいねやシェアが伸びるのはどんな写真ですか?

かまだ:Twitterって主にスマホの小さい画面で見るじゃないですか。表示される写真なんて本当にちっこい。だから引きの写真を一枚載せても「なんの写真だこれ」ってなってしまうことが多いんですよ。

写真を載せるときは、1ツイートに縦の写真を1枚、横の写真を2枚載せて、1枚は表情がわかるアップの写真を入れて目をひくとか、工夫していました。

はつこ:本当だ。引き込まれますね。

かまだ:あとは色味を考えるとか。Twitterって青系の写真がバズりやすいんですけど、プラットフォームが水色だからだと思っていて。

はつこ:あ〜なるほど! たしかにTwitterって水色ベースだ……!

かまだ:Webサイトを運用するときに、バナーデザインをサイトデザインのトンマナに合わせると、それだけでクリック率が変わることもあるんですよね。それはSNSも同じです。プラットフォームにあわせて写真をレタッチをするって大事なんです。

はつこ:すごい……。ちなみに写真をメインにTwitterを運用していたのも、何か戦略があるんですか?

かまだ:それはたまたま、自分がカメラを持っていたからですね(笑)。もともと風景を撮ってTwitterに載せていたんですけど、当時の彼女の写真を撮って載せるようになって。そしたらTwitter経由で依頼がきて、いろんな女の子を撮るようになっていきました。

はつこ:へ〜! そんなきっかけだったんですね。

かまだ:そうなんですよ。当時はまだTwitterに写真アカウントがいまほど多くなくて、ライバルも少なかったんです。タイミングがよかったのも、ここまでフォロワーを伸ばせた要因ですね。

はつこ:それにしても、半年で1万フォロワーってすごいなあ〜。

かまだ:フォロワーはただの数なんですけどね。

はつこ:えっ。

数から価値へ。カギは問題解決と自分の武器

かまだ:フォロワーの増やし方も、ツイートのバズらせ方もわかったんですけど、アカウントの価値はフォロワー数の多さと別だということもわかりました。

最初はフォロワーを増やすことを考えていましたが、いまは価値を上げる運用に変えています。

はつこ:何があったんですか……?

かまだ:フリーランスになったのがきっかけですね。お金を稼ぐには価値が必要で、価値って問題解決なんですよね。

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はつこ:なるほど。

かまだ:何万人フォロワーがいても、たとえば「今度こんなサービスを出します」と言ったときに何も反応がなければ、フォロワーから求められていないんですよね。価値が生まれないから、お金は払われない。

はつこ:うんうん、たしかにそうですね。

かまだ:価値ってそもそも「問題を解決する」ところにあると思ってて。フォロワーがどういうところに問題を抱えていて、それを自分がどう解決できるか考える。その上で言葉やコンテンツを発信していくことが、価値を上げるために大切です。

はつこ:かまださんは、どんな価値提供を考えてTwitter運用をしているんですか?

かまだ:「女の子を可愛く撮ること」です。どんな価値を提供できるかは、問題だけでなく自分ができることも考えます。
僕より写真に詳しい人なんてたくさんいるんですけど、僕は「女の子を自然に可愛く撮ること」ならできるし、自信があるんですよ。

はつこ:自分の武器も考えるんですね。ではどんな問題を解決しているんですか?

かまだ:Instagramで顕著に表れていると思うんですけど、女の子ってアプリで加工した自分の写真をあげる人が多いじゃないですか。でもその写真に「可愛い」とコメントがついたり、いいねが集まったりするのって、肯定されているのは「作り上げられたコンテンツとしての自分」なんですよね。

否定はしないですし、それはそれでいいと思うんですけど。バーチャルな自分が肯定される一方でリアルな自分が肯定されないと、自信がなくなっていく場合もあるのかなって。

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はつこ:たしかに……。

かまだ:理想と現実の乖離に落ち込むことがあるかもしれないじゃないですか。それだと本当の意味の自己肯定感って上がらないですよね。

はつこ:おっしゃるとおりです……。

かまだ:でも、どんな女の子にもそのままの可愛さがある。だから僕は顔の形を加工で歪めたりせず、自然な可愛さを引き出した写真を撮っているんです。写真というコンテンツ自体、「その瞬間の最高値を撮れる」という価値を持っていると思いますし。

作り上げたものではなく、本人が「あ、私だな」って思える。それでいて可愛い。その子自身を、自然な形で肯定できる写真を取ることで、理想と現実の乖離による「満たされない気持ち」や「自己肯定感が上がらない」といった問題解決の手助けをしています。

はつこ:女の子の希望の光だ……。実際に、かまださんには撮影依頼が殺到していますよね。

かまだ:ありがたいことに、そうですね。最初は被写体をやっている人から依頼がきて相互無償で撮っていましたけど、フリーランスになってから有償で撮っています。

いまは僕の想いに共感してくれた企業からの依頼や、普段は被写体をやっていない女の子からの依頼が多いですね。

想いを語り、コンテンツではなく人にファンを

はつこ:かまださんは写真をツイートするだけでなく、「女の子を可愛く撮る」「加工しなくても自然な可愛さがある」という想いやレタッチの仕方も発信していますよね。

一方でサブアカウントの「限界メンヘラお兄さん」では、フォロワーに向けたメッセージやプライベートなどの言葉の発信が中心な気がします。どんな意図があるのでしょうか?

かまだ:やっぱりファンになってもらうには自分の想いを伝える必要がありますよね。アカウントをコンテンツとしてではなく人として見てもらうために、考えをツイートしたり、人間らしさを出したりしています。

僕、実験的に「自分の文脈と関係ないけどバズりそうな動画」をあげたこともあって、実際に6万いいねくらいバズったんですけど、フォロワーはほとんど増えないしただコンテンツが消費されただけで。

はつこ:自らバズらせて証明してるのがかっこいいですね……。

かまだ:ほんと、なんの意味もなかったんですよね(笑)。コンテンツだけだと飽きられてしまいますし。

そして大事なことなのですが、アカウントに「人としての認識」がないと、攻撃しても心が痛まないと思われて、心ない言葉を浴びせられる可能性が高くなるんですよ。

そうじゃなくて「俺、人だよ」って、「ちゃんとコメントが届いて傷つくこともあるんだよ」って、アカウントの先に人が見えるように意識しています。

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はつこ:は〜! なるほど! アカウントを「コンテンツ」としてではなく「人」として見せることで、ファンがつきやすくなるだけでなく、攻撃の対象にもなりにくいんですね!

かまだ:はい。実際に僕は炎上しないですし、アンチも少ないんですよ。

はつこ:すごい……。

かまだ:もちろん風景写真やフォロワーが増えそうな写真など、コンテンツを前面に発信していたときに知ってくれて、いまでもフォローしてくれている人もたくさんいます。

でもやっぱり「女の子を可愛く撮る」アカウントとして発信を初めて、その想いに共感してくれるフォロワーは、普段からツイートによく反応してくれますね。

はつこ:では、アカウントを2つ作ってツイートを分けているのはどうしてですか?

かまだ:新しく僕を知ってくれた人のために分けている感じですね。写真から僕を知ってくれた人がアカウントを見にきてくれたときに、しょうもない言葉が並んでたら「こいつなんやねん」って離脱しちゃうじゃないですか(笑)。

「写真いいなー」で入ってきた人に対しては、「写真いいなー」でフォローしてもらう。そのあとサブアカウントで「僕はこういう考えのもとで写真を撮ってるよ」と伝えて思想を知っていってもらって、徐々にファンの深度を深めていきたいなと。逆にサブアカウントから知ってもらうこともありますしね。

はつこ:だからアカウントを分けて、サブアカウントのツイートを本アカウントでRTすることがあるんですね。

かまだ:そうなんです。写真の技術的なことをツイートするのも、企業から依頼をいただくためにやりたいですしね。

はつこ:そうかあ。「企業向け」と「個人向け」の両方を意識しているんですね。

かまだ:はい。企業向けの発信に関していうと、「写真を綺麗に撮れます」っていうのはもう誰でもできる。だからそれだけじゃなくて、「僕がメインイメージのレタッチをするとページの離脱率が下がります」とか、「こういう商品は一眼で撮った写真より、スマホで撮った写真の方がコンバージョン高いですよ」というツイートをしています。

仕事を頼む側も、どんな人に発注すればいいか分かっていないことがあるんですよ。だから、「僕ならこんな価値を提供できますよ」ってツイートしておくと、「あ、この人は写真をビジネス目線で見れるんだな、頼んでみよう」って依頼してもらえるので。

はつこ:先回りして発信しておくんですね。

かまだ:そうですね。

リアルとTwitterのギャップをなくし、信頼と仕事を獲得する

はつこ:企業からの依頼も、Twitter経由が多いんですか?

かまだ:ん〜、Twitterの発信で興味を持ってくれてた人とリアルで会ったときに、仕事をもらえることが多い気がします。リアルが先のこともありますけどね。

結局、Twitterでかっこいいことを言ってても、リアルで会ったら本当はどういう人かって分かるじゃないですか。だから、Twitter上の自分とリアルな自分のギャップをできるだけなくすように意識しています。

はつこ:Twitterで仮面を被っていても、仕事はこないぞということですね……(笑)。

かまだ:アルで会った印象の噂って、よくも悪くもリアルでめっちゃ流れますからね(笑)。

はつこ:なるほど……。やっぱり仕事を獲得するには、リアルでのコミュニケーションが必須なんでしょうか?

かまだ:企業からの依頼はリアルで会った人が多いんですけど、個人からの依頼は会ったことのない人が多いので、一概に言えるものではないような気がしますけどね。

はつこ:そうかあ。改めて考えてみると、会ったことのない個人から1対1での撮影依頼が来るのって、すごい信頼関係を築いていますよね……!

かまだ:そうっすね、びっくりですよね(笑)。

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はつこ:普段のツイートでそれだけ「かまださんという人」が伝わっているということですね。

かまだ:そうですね。個人から依頼が集まるという面でも、普段のツイートでどれだけフォロワーの感情的な部分を刺せるかが大事かもしれないですね。

やっぱり「会いに行きたい」とか「お金を払ってでも撮影して欲しい」って僕に価値を感じてくれるようなファンが大切なので、いまはもうTwitterを運用するうえでフォロワー数は意識していないです。

ファンの深度をどれだけ深められるか。「目の数」よりも「動かせる心の数」を意識しています。

はつこ:フォロワーの増やし方も、バズらせ方も知っているかまださんだからこその説得力がありますね。

では、今後も「女の子を可愛く撮る」カメラマンとしてファンを増やし、お仕事をしていく予定ですか?

かまだ:写真にはとらわれていないですね。「女の子の自然な可愛さを肯定する」という軸は変わらないんですけど、そこからアパレルやメイク、イベントなど活動の幅を広げたいと思っています。

じつはすでにアパレルのスポンサーがついてくれてるんですよ。あと、下北沢で1ヶ月という長期間のイベントを主催したりもします。

はつこ:なるほど、軸をもとにいろいろなジャンルへ展開していくんですね。今後の活動も楽しみです。

(執筆:はつこ 撮影/編集:Uchida Kazuyoshi アイキャッチ:T)

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