フリーランスの税金はなぜ高い?会社員との違いや節税対策を解説

フリーランスの税金はなぜ高い?

フリーランスになると、会社員と比べて税金が高くなることに不安を感じませんか?

「社会保険料を全部自分で払うってホント?」「税金の種類が多くて、計算が複雑そう…」

そんな風に心配する人も多くいるのではないでしょうか。

今回はフリーランスの税金をテーマに、会社員との違いをわかりやすく解説。フリーランスが知っておくべき税金の種類や仕組み、節税対策までご紹介します。

この記事を読めば、税金に関する不安が解消され、賢く節税しながら、安心してフリーランス生活を送るための準備ができるはずです。

フリーランスになると税金はどう変わる?

フリーランスになると、税金に対する意識や負担が大きく変わってきます。

具体的に何が変わるのか、会社員とフリーランスの税金の仕組みの違いを以下の表にまとめました。

会社員

フリーランス

納付方法

会社が年末調整を行い、給与から差し引いて納付する

自分で確定申告を行い、納付する

計算方法

給与所得に基づいて計算

事業所得に基づいて計算

社会保険の負担

会社と折半で負担

全て自分で負担

保険の種類

  • 国民年金+厚生年金
  • 健康保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 国民年金
  • 国民健康保険 ※

※退職した会社の健康保険を継続する方法(2年間まで)や、配偶者の扶養に入る方法もある

会社員と異なり、フリーランスは1年間の所得を、「確定申告」で税務署に申告し、自分で納税する必要があります。

社会保険に関しても、会社員は負担が折半となっていますが、フリーランスは「国民年金」「国民健康保険」に加入し、全て自分で保険料を支払わなければいけません。

国民健康保険は傷病手当金がなく、年金は国民年金だけの加入なので将来受け取れる年金額が少なくなります。

このようにフリーランスは、会社員と比較して税金の自己負担が大きくなると言えます

フリーランスの税金が高いと感じる4つの理由

フリーランスになって、支払わなくてはいけない税金の高さに驚く方もいるかもしれません。

税金が高く感じる主な理由としては、以下の4点が挙げられます。

  1. 自分で税金を納めなくてはいけない

  2. 支払う税金の種類が多い

  3. 社会保険料の負担割合が高い
  4. 給与所得控除がない

それぞれ以下で詳しく解説します。

1. 自分で税金を納めなくてはいけない

会社員として働いていると、税金は給与から天引きされているため、普段税金を意識することは少ないと言えます。

しかしフリーランスの場合は、これらの税金をすべて自分で計算して納めなければなりません。

それも一度自分の懐に入った収入から税金を支払う仕組みのため、まるで損をしているような気分になり、「税金が高い」と感じてしまう人もいるかもしれません。

2. 支払う税金の種類が多い

フリーランスは、ほぼ毎月のように何かしらの納税期限があることも多く、税金を支払う回数が多いことで「税金が高い」と思う人もいるでしょう。

フリーランスは一体、どんな種類の税金を自分で支払う必要があるのでしょうか?代表的なものを表で見てみましょう。

税金の種類

説明

所得税

  • 個人の所得に対する税金
  • 所得に税率をかけて、控除額を引くことで納付額が確定する

住民税

  • 都道府県や市町村に支払う税金
  • フリーランスに一律で課される「均等割」と、所得に応じて課される「所得割」がある

消費税

  • 商品の売買やサービスの提供などを行う際に課税される
  • 「インボイス制度」で課税事業者になると、自分で収める必要が生じるようになった

個人事業税

  • 事業所得に対して課税される
  • 事業所得が年間290万円を超えた場合に納付する必要がある

固定資産税

  • 土地や建物などの固定資産を所有している場合に課税される

このように、フリーランスには、さまざまな種類の税金が課せられます。

これらの税金に加えて、フリーランスは国民健康保険料や国民年金保険料なども自分で支払う必要があるため、負担が大きいと感じることもあるでしょう

フリーランスの税金の種類と、それぞれの支払いタイミングについては、以下でくわしく解説しています。

なお、2023年10月1日から始まったインボイス制度の登録事業者は、消費税の確定申告も必要になりました。消費税の確定申告については、以下の記事もご覧ください。

3. 社会保険料の負担割合が高い

会社員の場合、「健康保険」「厚生年金保険」の社会保険料は会社が半分負担してくれます。

しかし、フリーランスは社会保険には入れず、国民健康保険と国民年金保険の料金が全額自己負担になります。

会社員時代は意識していなかった社会保険料の負担ですが、フリーランスになるとその重さに驚く人も少なくありません。

しかし支払った社会保険料は、確定申告をすることで、「社会保険料控除」として控除することも可能です。

4. 給与所得控除がない

会社員の場合は、給与所得から「給与所得控除」が差し引かれた金額をもとに所得税の計算がされます

この給与所得控除とは、給与を得るために必要な経費とみなされたもので、簡単にいうと「働くためにはお金がかかるよね」という考えに基づいたものです。

例えば、スーツや仕事着の購入、スキルアップのための講座受講などがこれにあたります。会社員は給与所得控除を受けることで、自動的にこれらの経費が控除されている状態になっています。

給与所得金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)

給与所得控除額

1,625,000円まで

550,000円

1,625,001円~1,800,000円

収入金額×40%-100,000円

1,800,001円~3,600,000円

収入金額×30%+80,000円

3,600,001円~6,600,000円

収入金額×20%+440,000円

6,600,001円~8,500,000円

収入金額×10%+1,100,000円

8,500,001円以上

1,950,000円(上限)

(参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」

一方、フリーランスにはこの給与所得控除がなく、事業で得た収入から経費を差し引いて、自分で課税対象となる所得を計算します。

つまりフリーランスは、経費を漏れなく計上しなければ、会社員よりも多くの税金を支払わなければいけない可能性があるということです。

会社員とフリーランスの税金を比較

会社員とフリーランスは、具体的にどの程度の額の税金を納めているのでしょうか。

年収350万円の場合

「年収350万円」の場合の会社員とフリーランスの税金の大まかな違いを、簡略化して以下の表にまとめました。

フリーランスは20~39歳の独身で、経費は売り上げの30%、青色申告によって65万円の特別控除があると仮定します。

対象

会社員

フリーランス

所得税

67,950円

44,650円

住民税

145,900円

99,300円

健康保険 179,640円 222,900円
年金 329,400円 203,760円
雇用保険 30,000円

手取り

2,757,260円

1,881,040円

(※数値は「個人事業主シミュレーション」を参考。上記はあくまで概算で、経費や控除などの条件によって税額は変動します。)

年収350万円の場合、会社員と比較して、フリーランスは社会保険料の全額負担や個人事業税の発生などにより、手取り額が約88万円少なくなります。

年収500万円の場合

次に「年収500万円」の場合の、会社員とフリーランスの税金の違いです。

フリーランスは20~39歳の独身で、経費は売り上げの30%、青色申告によって65万円の特別控除があると仮定します。

対象

会社員

フリーランス

所得税

137,900円

91,100円

住民税

245,400円

192,200円

健康保険 245,508円 343,500円
年金 450,180円 203,760円
雇用保険 30,000円

個人事業税

30,000円

手取り

3,890,712円

2,670,040円

(※数値は「個人事業主シミュレーション」を参考。上記はあくまで概算で、経費や控除などの条件によって税額は変動します。)

年収500万円の場合、会社員と比較して、フリーランスは手取り額が約122万円少なくなります

このように、フリーランスは会社員と比べて手取り額が少なくなる傾向があります。

フリーランスの節税対策!税金を抑える5つの方法

フリーランスとして賢く働くためには、税金に関する知識を深め、適切な節税対策を行うことが重要です。

ここでは税負担を軽減し、手元に残るお金を増やすための方法を5つご紹介します。

  1. 青色申告を活用する
  2. 経費をしっかり計上する
  3. 控除制度を活用する
  4. 保険の見直しを行う
  5. 長期的な資産形成も検討する

1. 青色申告を活用する

フリーランスの税金を抑えるためには、青色申告を活用することが非常に有効です。

青色申告とは、一定の要件を満たすことで最大65万円の控除を受けられる制度です。青色申告には、控除に加えて、以下のようなメリットがあります。

  • 最大30万円までの資産を一度に経費にできる
  • 赤字が発生した場合、最長で3年間差し引くことができる
  • 家族に事業を手伝ってもらった場合、給与を経費として計上できる
  • 一括で貸倒引当金を計上できる など

このように白色申告と比較して、節税効果が高いことが最大の特徴と言えるでしょう。

青色申告を行うためには税務署へ申請が必要で、複式簿記で帳簿を作成する必要があります。申請書類の作成や帳簿付けは、会計ソフトを活用すると便利です。

2. 経費をしっかり計上しよう

フリーランスとして節税をするために欠かせないのが、経費の計上です。

例えば、フリーランスのWebライターの場合、仕事で使用するパソコンやソフトウェア、インターネット接続料、取材のための交通費などが経費になります。

以下のように仕事に必要な費用を経費として計上することで、課税対象となる所得が減り、税金の負担を軽減することができます

  • パソコン、プリンターなどの備品費
  • 仕事用ソフトウェアの購入
  • インターネット接続料
  • 仕事場を借りている場合の家賃
  • 取材のための交通費
  • 宿泊費
  • 書籍代、資料代 など

経費を計上するためには、領収書やレシートなどを保管しておくことが必要です。

また、事業とプライベートの費用を明確に区別することも大切で、クレジットカードを別にするなど混同しないように工夫しましょう。

3. 控除制度を活用する

フリーランスが少しでも税金を抑えるためには、控除制度の活用もポイントです。

控除制度とは、所得税や住民税などの税金を計算する際に、所得から一定額を差し引くことができる制度のこと。控除を受けることでその分税金が安くなります。

控除にはさまざまな種類があります。代表的な控除としては、以下のようなものがあります。

控除名

控除の内容

所得税基礎控除

所得金額に応じて受けられる控除

配偶者控除・配偶者特別控除

所得の少ない配偶者がいる場合に受けられる控除

扶養控除

16歳以上の配偶者以外の扶養親族の所得が年103万円以下と少ない場合に受けられる控除

生命保険料控除

生命保険料や個人年金保険料を支払っている場合に受けられる控除

医療費控除

1年間で支払った医療費が10万円を超えた場合に受けられる控除

4. 保険の見直しを行う

保険は万が一のリスクに備えるだけでなく、節税対策にも有効な手段となりえます。

しかし、闇雲に保険に加入するだけでは、効果的な節税はできません。フリーランスにとって特に重要なのは、

  • どんな保険料が経費になるのか
  • 節税効果の高い保険は何か

を理解することです。

一定の条件を満たせば、個人事業主の保険は控除の対象となり、所得税や住民税を軽減できます。

対象となる保険には、以下のようなものがあります。

  • 生命保険
  • 介護医療保険
  • 個人年金保険

これらの保険への加入を検討する際は、保障内容だけでなく、税務上の扱いも考慮することが重要です。

自分に合った保険がわからない際には、保険のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することもおすすめです。

5. 長期的な資産形成も検討する

フリーランスとして働く以上、会社員に比べて収入が不安定になりがちです。また、税金や社会保険料の負担も大きいため、将来のお金について不安を感じる方もいるでしょう。

将来のお金の不安を軽減し、ゆとりある生活を送るためには、長期的な視点での資産形成が重要です。

フリーランスにおすすめの資産形成方法としては、以下のようなものがあります。

資産形成方法

特徴

iDeCo(個人型確定拠出年金)

掛金が全額所得控除の対象になるため、節税効果が高い

積み立てNISA

運用益が非課税になるため、効率的に資産を増やせる

これらの制度を活用することで、節税しながら将来の資産を築くことが可能です。

将来のライフプランやリスク許容度などを考慮し、自身に合った方法を選びましょう。

FPに相談して最適な対策を!

今回はフリーランスの税金が高いと感じる理由や、節税対策について解説してきました。

フリーランスとして安心して活動するためには、税金への理解を深め、適切な対策を講じることが欠かせません。

しかし税金の仕組みは複雑で、自身だけで最適な対策を見つけることは容易ではありません。

そこで、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談することをおすすめします。FPはお客様の状況に合わせて、最適な節税対策や保険の見直し、資産形成などを提案してくれます。

より事業を安定させ、充実したフリーランス生活を送るために、早いうちから専門家のサポートを受け、税金対策に積極的に取り組みましょう。

▲出典:Workship

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(執筆・編集:Workship MAGAZINE編集部)

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