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独立開業準備に必要な13のやることリスト。個人事業主になる用意はできた?

個人事業の独立開業 やることリスト

昨今は独立開業のハードルが下がり、個人で事業を運営する人も多く見かけるようになりました。

しかし、独立開業に際しては、いくつかの事務手続きが必要なのも事実。絶対に必要な手続き以外にも、事前に準備しておくと事業運営がグッとラクになるものもあります。

そこで、今回の記事では現役の個人事業主が「独立開業準備に必要な13のやることリスト」をまとめ、詳しく解説していきます。

独立開業準備に必要な13のやることリスト

「独立開業準備に必要な13のやることリスト」は以下の通りです。

  1. 国民健康保険へ加入する
  2. 国民年金へ加入する
  3. 開業届を提出する
  4. 許認可を取得する
  5. 事業用のクレジットカード/銀行口座をつくる
  6. 確定申告に備える
  7. 屋号を決める
  8. 事業用の名刺/印鑑をつくる
  9. 事業用のHP/SNSアカウントをつくる
  10. 補助金/助成金などを申請する
  11. 創業融資などを利用する
  12. 独立開業後の見通し/収入源を確認する
  13. 周囲のひとに独立開業の意思を伝える

このうち、1~4「独立開業に(原則)必須の手続き」、5~13は「独立開業時に済ませておくとラクな手続き/準備」です。

ここからは、上記のやることリストを細かく解説していきます。

独立開業に必須の手続き

書類に記入している様子

1. 国民健康保険へ加入する

フリーランスになったら、今まで会社で加入していた健康保険から、国民健康保険に切り替えます。

退職日の翌日に健康保険の加入資格を喪失するので、退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村役場で手続きを行いましょう。納付方法は、口座振替からコンビニでの支払いまで幅広く選べます。

ただ、国民健康保険の保険料は意外と高く、所得に比例するため、収入が上がると保険料も跳ね上がってしまいます。

そんなときは、同業者で構成される各種組合に加入し、「国民健康保険組合(国保組合)」を利用してみましょう。国保組合は保険料が一律になるため、高収入になれば国民健康保険よりも保険料が割安になります。

【国民健康保険について覚えておきたいこと】

  • 医療保険
  • 保険料は全額自己負担
    (会社員時代は会社が保険料の半分を負担していたので、自己の負担は大きくなる。)
  • 世帯主と家族の医療費は3割負担
  • 加入には下記の書類が必要
    (離職票or健康保険資格喪失証明書、退職証明書、国民健康保険被保険者資格取得届)

2. 国民年金へ加入する

会社員は厚生年金に加入していますが、フリーランスになると自分で国民年金に加入するのが原則。厚生年金の脱退手続きは会社がやってくれるので、お住まいの地域の役所へ向かい、国民年金への加入手続きをしましょう。

国民年金の納付額は月額16,000〜17,000円前後で、月額は毎年度見直しが行われています。とはいえ、会社員時代よりも直接の納付額は減ることが多いです。

しかし、同時に受給額も少なくなるため、老後への備えとして「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」などの「国民年金に上乗せできる任意の年金制度」の利用をおすすめします。

【国民年金について覚えておきたいこと】

  • 原則20歳以上60歳未満のすべての人が加入する保険
  • 納付額は、会社員時代の厚生年金に比べて少ない
  • 納付額が少ないので、受給額も少ない

3. 開業届を提出する

個人の開業届と事業開始等申告書は、開業時の必須書類です(ただし未提出時の罰則はないため、届け出ずに事業を行うことも可能)。開業届は提出することによる税金的なメリットが大きいため、可能なら提出することをおすすめします。

また、ほかにも「青色申告承認申請書(提出することで65万円の税控除が受けられるようになる)」など、メリットのある書類も多いため、面倒くさがらずに手続きを済ませておきましょう。

【個人事業の開業(廃業)届出書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:開業(廃業)日から1ヶ月以内
  • 提出の有無:必須

【事業開始等申告書】

  • 提出先:都道府県税務事務所
  • 提出期限:都道府県による
  • 提出の有無:必須

【青色申告承認申請書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:青色申告を希望する年の3月15日まで
  • 提出の有無:青色申告の承認を受ける場合

【消費税簡易課税制度選択届出書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:適用を受けようとする課税期間の初日の前日(普通は12月31日)まで
  • 提出の有無:消費税の簡易課税を選択する場合

【消費税課税事業者選択届出書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:適用を受けようとする課税期間の初日の前日(普通は12月31日)まで
  • 提出の有無:消費税の課税事業者を選択する場合

【給与支払い事務所等開設届出書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:開設から1ヶ月以内
  • 提出の有無:給与を支払う場合

【源泉所得税の納期特例承認申請書】

  • 提出先:税務署
  • 提出期限:特になし
  • 提出の有無:源泉所得税の納期に特例を受ける場合

4. 許認可を取得する

業種によっては、大臣や警察、保健所などの許認可が必要です。許認可には「許可」「届出」「登録」という3つのレベルがあり、「登録>届出>許可」の順で許認可を得やすくなります。例えば、タクシー業/トラック運送業/飲食店/中古品販売には「許可」が必要です。

一方で美容院/クリーニング店/軽トラック運送業は「届出」でOK。旅行業は「登録」のみで許認可が取れます。それぞれ取り扱っている所管官庁が違うので気をつけて手続きを行いましょう。

【許可が必要な業種例】

  • タクシー業:国土交通大臣
  • トラック運送業:運輸局長
  • 飲食店:保健所
  • 中古品販売店:公安委員会

【届出が必要な業種例】

  • 軽トラック運送業:運輸局長
  • クリーニング店:保健所
  • 美容院:保健所

【特定の職種に必要な免許例】

  • 運行管理者
  • 整備管理者
  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者
  • 旅行業務取り扱い管理者
  • 美容師免許

独立開業時に済ませておくとラクな手続き/準備

チェックリスト

ここまで紹介してきた4つの手続きは「独立開業に必須のもの」でした。最低限、この4つ(業種によっては3つ)を満たしていれば、独立開業が可能です。

しかし、必須ではないものの、独立開業前に済ませておくとラクな手続き/準備もあります。以下では、それらの手続き/準備を解説します。

5. 事業用のクレジットカード/銀行口座をつくる

事業用のクレジットカードと銀行口座は、必須ではありませんが作成を強くおすすめします。個人事業主になれば、確定申告のために帳簿付けが必要になるため、事業/プライベートがごちゃまぜになっていると、記帳がかなり面倒に。事業の収入と支出を可視化しにくくなり、お金の出入りを管理することも難しくなります。

クレジットカードは収入が不安定な個人事業主だと審査に落ちやすいため、会社員のうちに作成しておくことをおすすめします。

6. 確定申告に備える

事業をスタートすると、基本的に初年度から確定申告が必要になります。とはいえ、今まで経理や税務にかかわったことがなければ、確定申告と言われてもよく分からないでしょう。それでも申告期限はやってきてしまうため、独立開業前に以下の準備を済ませておくと、安心して確定申告に臨めます。

  • 確定申告や税務にの基本についてざっくり学ぶ
  • クラウド会計ソフトを導入する
  • 領収書/レシートなどの管理方法を決める

7. 屋号を決める

屋号とは、個人事業主が仕事上で名乗る名前のこと。会社でいう「会社名」にあたりますが、屋号は決めなくてもOK。筆者も個人事業主ですが本名で活動しています。

ただ、職種や業態によっては、屋号があったほうが信用が高まったり、取引が円滑に進んだりすることも。また、何らかの事情で本名を明かしたくない方も屋号の利用がおすすめです。

8. 事業用の名刺/印鑑をつくる

個人事業主は、言ってしまえば「自分」が商品です。そのため、自分の名前や職種を覚えてもらうための「名刺」は作成しておくべきでしょう。取引先で名刺交換を求められる場合も多いので、ビジネスマナーを守るためにも名刺は欠かせません。

名刺のデザインは、個人事業主の性格が出ます。筆者はシンプルなデザインのものをつくっていますが、相手に強烈な印象を残すためにド派手な名刺をつくる人も意外といます。

【名刺に最低限いれたい項目】

  • 屋号(名前)
  • 職種/肩書き
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • SNSのアカウント
  • 公式ホームページのURL

印鑑に関しては、最初から店舗経営や法人格での開業をするうえ、法人や金融機関との取引が多くなりそうな方は必要です。実印のほかに取引で使用する「角印」や「銀行印」を用意しておくと便利です。

9. 事業用のHP/SNSアカウントをつくる

昨今のネット社会では、どんな事業をするにも事業用のHPはつくっておくことをおすすめします。クリエイティブ系の事業であればポートフォリオサイトをつくることで実績をアピールできますし、店舗経営でも顧客に必要な情報を届け、事業への信頼性を上げられます。

合わせて、事業用にSNSアカウントを開設するのもいいでしょう。SNSでの発信が契約につながることは多く、カスタマーサポートに活用することも可能です。

10. 補助金/助成金などを申請する

職種や業態、お住まいの地域によっては、独立開業時に利用できる補助金/助成金などがあるかもしれません。補助金/助成金は返還不要なものがほとんどで、独立開業時のコストを軽減できます。

ただ、補助金/助成金は大々的にニュースになる機会が少なく、「そもそも補助金/助成金の存在を知るのが難しい」という側面もあります。市役所や都道府県、経済産業省などのHPには、ときどき目を通すようにしてみましょう。

補助金/助成金を受給するまでのもう一つのハードルは、「事業計画の策定」などを通じて申請先機関の審査を受ける必要があること。審査の準備は複雑なものが多く、頑張って申請を終わらせても受給が確定するわけではないので、準備が負担になりそうな場合は行政書士や社労士の力を借りるのもおすすめです。

11. 創業融資などを利用する

リスク回避を意識する場合は手持ち資金で独立開業することを推奨しますが、リスクを取ってでも事業を大きくグロースさせたいと思った場合や、最初に大きな開業費がかかる事業の場合は、創業融資やクラウドファンディングなどを使って資金調達をするのも選択肢の一つです。

代表的なところでは「日本政策金融公庫」と「都道府県や市区町村」が実施する創業支援は、金利や保証料などが安めに設定されており、民間の創業融資よりも申請ハードルが低め。ただ、「自己資本比率」や「返済可能性」などがしっかり審査されるので、未知の事業を展開する場合はクラウドファンディングなどを利用して資金調達するのもありでしょう。

12. 独立開業後の見通し/収入源を確認する

事業にもよりますが、事前にある程度は独立開業後の見通しや収入源を確認しておきましょう。もちろん開業後は想定通りにいかないことも多いと思いますが、ノープランでいきなり独立開業するのはかなりキケンです。

資金繰りの面では、「最低限半年は無収入でも生きていけるだけの貯金」や、独立開業前の時点で「開業後に仕事をくれるであろう見込み顧客」などをしっかりと確保し、リスクマネジメントをしておくと安心できます。

13. 周囲のひとに独立開業の意思を伝える

「ひとりで働く」というイメージが強い個人事業主でも、実際は周囲のひとたちとの交流が欠かせません。そこで、独立開業を決意した場合は、その意思を周囲のひとに伝えてみましょう。特に、家族や恋人には独立開業に理解を示してもらえるのがベスト。人間関係の悪化につながりかねないからです。

その他の知り合いなどにも独立開業を伝えることで、独立開業後のパートナーや顧客の確保が見込めます。

各種手続き/準備の完了後は、いよいよ事業開始へ

ここまで、「独立開業に必須の手続き」と「独立開業時に済ませておくとラクな手続き/準備」をまとめてきました。

ただ、事業によっては、今回書ききれなかった手続きや準備が必要になることも……。独立開業を考える際は、ぜひ同じ分野で事業を運営している先輩の体験談などを入手し、無理のない範囲で手続きや準備を進めてみてください!

(執筆&編集:Workship MAGAZINE編集部)

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