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iPodやiPhone、Macなど、数々の革新的な製品を世に送り出してきたApple。
それらの製品に必ず付けられているのが「りんごのロゴ」です。
現在はシンプルなAppleのロゴに馴染みがありますが、かつては複雑なデザインやカラフルな配色だったのをご存知ですか?
この記事ではそんなAppleのロゴの変遷を、Apple社やApple製品の歴史と共に紹介していきます。世界的企業のロゴの変遷を理解し、ぜひ自社のロゴのデザインに活かしてみてください!
Apple社の名前の由来はこれまで公表されていなかったため、ユーザーの間で以下のような憶測が飛び交っていました。
- 電話帳の最初のほうに掲載したかったから。(とくに、以前ジョブズが働いていたアタリ社よりも先にしたかった)
- 当時ジョブズがフルーツ・ダイエットをしていて、社名がなかなか決まらないときにもリンゴを食べていたから。
- ジョブズがビートルズのファンで、ビートルズが設立した会社名が「Apple Corps Ltd.(アップル・コア)」であったから。
そして2011年に発売されたジョブズの伝記の中に、社名の由来の答えが記されました。
On the naming of Apple, he said he was “on one of my fruitarian diets.” He said he had just come back from an apple farm, and thought the name sounded “fun, spirited and not intimidating.”
(Appleという社名を付けたことについて、ジョブズ氏は「果実食主義者の主要な食べ物のひとつだから」と語っています。続けてジョブズ氏がリンゴ農場から戻ったばかりのときに「Appleという名前は活発で面白そうだし、高圧的ではない印象であると考えた」とも述べています。)
『スティーブ・ジョブズ』より
自身が果実食主義者であっただけでなく、コンピューターの冷たく高圧的なイメージを払拭したかったことが分かりますね。
世界に名だたる大企業として知られるApple。
その歴史は、1976年にスティーブ・ジョブズ氏がスティーブ・ウォズニアック氏とともに、実家のガレージで創業したことに始まります。
1976年にAppleから初めて販売された製品が「Apple I(アップルワン)」です。
スティーブ・ウォズニアック氏がほぼ独力で開発したマイクロコンピューターで、この「Apple I」の成功を機に翌年Appleは法人化しました。
その後1977年に「Apple II」が発売されました。
「Apple II」の特徴は、280ドット×192ドットという解像度で、6色ものカラー表示が可能な点です。
当時においては革新的なコンピューターだったため、「Apple II」は販売台数500万台を超える大ヒット製品となりました。
そして「Apple II」を打ち破る次世代パーソナルコンピュータとして開発されたのが「Macintosh」です。「Macintosh」という名前は、McIntoshという品種のリンゴのタイプミスをもじったことが由来です。
電源を入れればすぐに使える1000ドルのコンピューターとして販売されました。
しかしジョブズは「Macintosh」の需要予測を大幅に誤り、Appleは初めての赤字を計上してしまいます。この出来事がきっかけで、Apple社内でジョブズの経営スタイルへの不満が募り、1985年にジョブズはAppleを追放されてしまいました。
その後1997年にジョブズはAppleに復帰し、その翌年に「iMac」が発表されました。
「iMac」の魅力はなんといってもそのデザインです。当時のパソコンは、黄ばみやすいアイボリーのデザインがほとんどでしたが、そんな中、透き通ったブルーで流線型の「iMac」は人々に大きなインパクトを与えました。
「iMac」の「i」は、主にインターネットを指しています。
タワー型のデスクトップPCが一般的だった当時、インターネットに接続するためにはいくつものケーブルをごちゃごちゃと接続しなければなりませんでしたが、「iMac」は本体側面のポートにLANケーブルと電源ケーブルを繋げばすぐにインターネットが使えました。
必要な配線をシンプルにした設計は「iMac」の強みでした。
続いて2001年には「1000曲をポケットに。」というキャッチコピーのもとに「iPad」が発表されました。
「iPod」はiTunesのライブラリに溜め込んだ楽曲をすべて持ち歩けるミュージックプレーヤーです。「iPod」によってユーザーは楽曲をCDに焼かなくても、外で聞けるようになりました。
そして2008年にAppleから発表されたのが「iPhone」です。
キーボードと画面を初めて一体化したのがこの「iPhone」で、現在のスマートフォンのひな形を作り上げました。リリース後わずか74日で販売台数が100万台を突破し、人々に驚きと感動を与えた製品です。
創業当時のAppleのロゴは、現在のシンプルなロゴからは想像もつかないような複雑なデザインでした。
ニュートンがリンゴの木の下に座っているこのロゴは、Apple第3の創業者と言われているロナルド・ウェイン氏によってデザインされたものです。
しかしデザインが複雑だったこともあり、このロゴは1年も経たずに変更されてしまいました。
その後1976年〜1998年の間に使われたのが、このレインボーなロゴです。
6つの鮮やかなカラーはAppleIIの基本表示色を表しています。また「冷酷でネガティブなイメージのあるコンピューターを暖かく親しみやすいイメージにすることで、家族が使える存在にしたかった」という製作者(ロブ・ジャノフ氏)の願いもこの配色に込められています。
このロゴで生まれたりんごのかじり跡は、「他の丸い果物と誤解されないためにデザインした」とジャノフ氏は述べています。
コンピューターの記録単位である「byte(バイト)」と、Appleのスローガンであった「Byte into an Apple」、これらにかじるという意味の「bite(バイト)」をかけて誕生した説もありますが、この説に関してジャノフ氏は「幸運な偶然」とコメントしているので、ユーザーによる憶測の可能性が高いです。
スティーブ・ジョブズ氏がAppleに復帰した翌年の1998年、レインボーのロゴから単色のロゴに変更されました。
この単色ロゴは、Apple製品に応じて異なる色が使われていました。単色ロゴは現在のApple製品でも採用されているため、だいぶ馴染みのあるものになりましたね。
その後、2001年にAppleのロゴは立体感のあるものに切り替えられました。この年はAppleがiPodを発売した年でもあります。
りんごをかじった型に変わりはありませんが、陰影や光沢感が付け加えられているためスタイリッシュな印象になっています。
iPhoneが発売された2008年に、再度Appleのロゴが変貌を遂げました。
このロゴはiPhoneに合わせてデザインされたと言われています。
そして2013年から2020年現在まで使用されているのが上記のロゴです。いままでのカラフルな配色や立体感のあるデザインは一掃され、グレー1色のシンプルなフラットデザインとなりました。
この年のロゴ変更は、iOS7が発売に起因したと言われています。iOS7ではフラットデザインが採用され、アイコンやボタンが立体的なデザインから平面的なデザインになったのです。それに合わせてAppleのロゴもフラットデザインが採用されたのでしょう。
iOS7によってフラットデザインがユーザーに浸透し、その後多くのWebデザインでも取り入れられるようになりました。
ロゴの基本形状は、2代目のロゴから変わっていません。しかしロゴの変遷をApple製品の歴史と共にみていくと、革新的な製品を発表するごとにそのデザインが変わっていることが分かります。
製品とリンクしたロゴはユーザーにとって違和感がありません。このこともAppleのロゴが世界中で浸透し、愛されている理由なのでしょう。
Appleのロゴは「黄金比」で構成されていると、ブラジルのデザイナーであるチアゴバルセロス氏が発表しました。
黄金比の数学的な比率は「1:1.618(約5:8)」です。エジプトのピラミッドやモナリザ、パスポート、名刺などこれらは全て黄金比で構成されています。
ロブ・ジャノフ氏がAppleのロゴをデザインした当時は、手書きで制作しています。そのため、意図して黄金比を使った可能性は低いです。繰り返しりんごをデザインし続け、偶然にも黄金比で構成されたことが、今でもりんごのロゴが多くの人々に愛されている理由でしょう。
Twitterやペプシのロゴにも黄金比は取り入れられているため、自社のロゴを黄金比で構成してみるのもいいですね。
ここまで、Appleのロゴについて解説してきました。
Appleのロゴは革新的な商品とともに変化する傾向にあり、その傾向は今後も変わらないでしょう。次にAppleがどのような製品を打ち出し、ロゴがどのように変わるのか。世界中が注目しているでしょう。
(執筆:木村 優美 編集:Sato Mizuki )
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