Twitter(現X)のロゴの歴史。小鳥に秘められた意味と「X」の襲来

Twitter X ロゴ 歴史

つねに世のトレンドを生み続けているTwitter。一般の人はもちろん、著名人から企業アカウントまで、さまざまな層で賑わっています。

実は、Twitterの象徴である「小鳥」は、サービス開始時には存在していなかったことをご存じですか?

今回はTwitterの歴史とともに、Twitterロゴに秘められた意味を紐解いていきます。

Twitter(現X)の歴史

Twitter ロゴ

▲ジャック・ドーシー氏がTwitterを構想した際の、最初期のスケッチ(出典:Twitter Blog)

Twitterのアイディアは、当時大学生であったジャック・ドーシー氏により発案されます。当初はWeb上からタクシーや救急サービスを利用できる仕組みを考え、展開を検討していました。

しかしその後、よりリアルタイム性が高く、インスタントメッセンジャーのように手軽な投稿ができるサービスを作りたいと思いついたそうです。そして道端からリアルタイムに自分の状況を知らせ、他人の状況を知れるメッセンジャーのようなサービスとして、Twitterの前身『twttr』の構想が立ち上がりました。

開発当初はSMSベース(140文字制限)であったため、1ツイートにつき最大140文字に制限され、それが現在まで続いています。なお2017年以降、日本語・中国語・韓国語以外の言語では、280字までツイートできるようになりました。

2006年にジャック・ドーシー氏は、エヴァン・ウィリアムズ氏とビズ・ストーン氏の在籍する会社・Odeoへオファーをかけます。Odeoは当時、ポッドキャスティングサービスのプラットフォーム化を目指していましたが、Appleが提供する『iTunes』に先を越されてしまい、新しい事業のアイデアを求めていました。Odeo側はこのシステムを気に入り、2006年3月21日にジャック・ドーシー氏、エヴァン・ウィリアムズ氏、ビズ・ストーン氏の3人でオブビアス社(のちのTwitter社)を設立します。

Twitter社を設立した日に、ジャック氏は『twttr』のサービスを開始することをツイートしています。

Twitter ロゴ Jack Dorsey

▲出典:TechCrunch

Twitter公式ブログによると、Twitterの名称は、サービスを利用した際になにが起きるかを元に考案されたそう。誰かがツイートすると携帯電話が鳴ったり震えたりすることから、「twitch(携帯がピクッとする)」がサービス名称の候補に。そこから、辞書上で「twitch」の次に並ぶ「twitter」が目に入り、サービス名として『Twitter』が採用されました。

「twitter」は英語で「さえずり・興奮」「無駄話」。「tweet(ツイート)」は「鳥のさえずり」を意味します。

2007年、GoogleやUberの元開発者であるクリス・メッシーナ氏が、ツイートを整理するために「#(ハッシュタグ)」を提唱。これが世界初の「#(ハッシュタグ)」機能の始まりです。現在はTwitter以外のSNSでも利用されています。

2008年4月23日には、はじめて日本語版Twitterがリリース。当時は「〜なう」という文面が多く、個人の近況報告が主でした。その後2010年に、ツイートを自分のフォロワーにシェアする「リツイート機能」が実装され、現在のTwitterの形になりました。

以降、有名人や企業の「公式アカウント」「ミニブログ」や、マーケティング目的での運用、災害時の情報発信・収集のツールとしても活用され、Twitterは社会に大きな影響を与え続けています。

Twitter(現X)のロゴの変遷

2006年

Twitter ロゴ

▲出典:fandom.com

2006年に、創業メンバーの一人であるビズ・ストーン氏によってデザインされました。

サービス名の候補であった「twttr」の緑色の文字に、水滴が描かれています。

実際に利用されたのはほんの数ヶ月でした。

2006年

Twitter ロゴ

▲出典:Logopedia

2006年〜2010年に利用されたロゴ。デザイナーのリンダ・ゲビン氏によってデザインされています。

オリジナルフォント「Pico Alphabet」を利用して、水色の文字で「twitter」が描かれています。なめらかな丸みのある形が特徴です。

なお日本においては、「t」が「ヒ」に見えると話題になり、一部では「ヒウィッヒヒー」と呼ばれていました。

Twitter ロゴ

「Twitterバード」と呼ばれる小鳥がはじめてデザインされたのも2006年のこと。2006年〜2010年の間に3回デザインが変更されました。

New York Timesによると、Twitterバードは「ハチドリ」と「ムジルリツグミ」をモデルにデザインされているそうです。The Awlでは、その鳥の色が水色であったためこの色に起用したと説明されています。

Twitterバードは誕生した当初、ロゴ文字とは別に扱われていました。

2010年

Twitter ロゴ

▲出典:Logopedia

2010年〜2012年に利用されたロゴです。デザイナーのフィリップ・パスクッツォ氏と、ダグラス・ボウマン氏によってデザインされました。

従来のロゴ文字とTwitterバードの2つで構成されています。この小鳥は内輪で「ラリーバード」と呼ばれており、NBAのセルティックスに所属していたラリー・バード氏が由来だそう。

2012年

Twitter ロゴ

▲出典:Twitter

2012年から現在に至るまで利用されているロゴです。文字が省かれ、水色のTwitterバードのみで構成されています。小鳥は以前よりも顔が上がり、丸みをおさえたものになりました。

Twitterバードのデザインは15個の円を重ねて作られており、人間が美しさを感じる黄金比を基にデザインされています。Twiter Blogによると、さまざまな「つながり」「興味」「アイデア」を意味する3つの重なった円から、「円を重ねる」というアイデアを得たそう。

「高い空の上から広大な景色を見渡すにしても、他の鳥たちと同じ目的に向かって進むにしても、空高く飛び立っていく青い鳥は、自由と希望と無限の可能性を持っている」と説明されています。

Twitterのほかにも、Appleのロゴデザインに黄金比が用いられています。

2023年4月

dogecoin

▲出典:Twitter

2023年4月、Twitterの一部のアイコンが、突如として「犬」に変わったことが騒がれました。

Twitterは2022年、起業家のイーロン・マスク氏によって約6.4兆円で買収されましたが、今回の変更はマスク氏による指示であることがうかがえます。

Twitter買収前の2022年3月、マスク氏の「新しいプラットフォームが欲しい?」というツイートに対して、「Twitterを買収して、ロゴを“doge”に変えよう」というリプライをもらい、それに「ハハハ、病気だろう(=ここでは絶賛を意味する)」と返しました。dogeとは、犬のアイコンがトレードマークの暗号通貨「Dogecoin」を指します。

そして約1年後の2023年4月4日、「As promised(約束通りだ)」というツイートとともに、Twitter上の一部のアイコンが、犬に変更されました。

エイプリルフールとしては日時もずれており、「なぜこのタイミングで?」「これまでのTwitterアイコンはどうなるの?」という疑問がSNS上で話題になっています。

なお、この件を受けてDogecoinの市場価格は10.17円→13.60円まで急騰しました。

(※2023年4月7日に、元のTwitterバードのロゴマークに戻りました)

2023年7月

X

▲出典:Twitter

2023年7月24日、Twitterのロゴが「X」に変更となりました。このロゴは、マスク氏がユーザーから募ったものを微調整したものとされています。

「X」とは、Twitter運営会社の名前であるX Corp.に由来しており、サービスの名称自体も「X」へと変更になりました。

マスク氏は「私たちはTwitterブランドに別れを告げ、徐々にすべての鳥と別れを告げるでしょう」と述べています。

Twitter(現X)のロゴのデザイン要素

Twitter ロゴ

▲出典:Twitter

Twitterのロゴはさまざまな変化を経て、シンプルな小鳥のシルエットに落ち着きました。そのデザイン要素を紹介します。

由来

現在のロゴは、小鳥のさえずりを意味するtwitterの単語から、Twitterバードのアイディアを得ています。

黄金比を利用した、シンプルで美しいデザインです。文字をなくし小鳥のシルエットのみにすることで、黄金比の美しさが際立つデザインとなっています。

twitter ロゴ ベン図

Twiter Blogによると、「さまざまなつながり」「興味」「アイデア」を意味する3つの重なった円から、「円を重ねる」というアイデアのインスピレーションを受けたそうです。

Twitterバードのモデルとなった「ハチドリ」と「ムジルリツグミ」の色から着想を得て、水色がイメージカラーとなりました。場面によって、白色の場合もあります。

おわりに

小鳥のシルエットのみで誰もが分かるTwitterのロゴ。自由、希望、無限の可能性を持って空に高く飛び立つ青い鳥は、流行や時代をリードするTwitterを象徴してきました。

しかし2023年、これが「X」へと大きく変わろうとしています。今後のTwitter(現X)は果たしてどうなることやら……。

(執筆:上塚千映子 編集:mozuku、じきるう)

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