エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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こんにちは。デザイナーのこげちゃ丸です。
あなたはデザインを発注するクライアントですか? それとも依頼されるデザイナーですか?
仕事を発注する、引き受けるという相反する関係にある両者ですが、共通の悩みを持っています。それは「どうやってデザイナーに発注していいかが分からない」というもの。これは、デザイナー側から見ると「クライアントが何をして欲しいか分からない」という頭の痛い問題になります。
デザイン発注するときに、どう伝えていいか分からない。デザイン案の修正コメントが思いつかない。
このような悩みを持っている方は多いのではないでしょうか? ぼくも「どう伝えれば良いのか分からないのですが……」と相談されることがあります。
今回は言われて困ったクライアントの言葉を事例にしながら、いいアウトプットを生むデザイン発注の仕方について書きたいと思います。
クライアントワークを中心に活動している、描いたり書いたりしているデザイナー。商品デザインからビジネスコンセプトづくりまで、幅広い領域で悪戦苦闘の毎日です。(Twitter:@onigiriEdesign)
これは頻繁に言われるオーダーです。完全にデザイナー任せで、出てきた案に無条件でOKを出してくれるクライアントなら神さまですが、大抵はそうではないことが多いですよね。いざ、デザイン案を提出すると「うーん、ちょっとイメージと違いますね……」なんて言われてしまうこともあります。
もしあなたが発注者で、デザイナーの腕を見込んでお任せで発注したいときは、「この企画に一番ふさわしいと思うデザインを自由に提案してください」と言ってほしいです。「いい感じでデザインしてください」と言われると、デザイナーは自分を主語にして、「自分が」いいと思うデザインをしてしまいます。それではいけません。中心に置くべきは「企画」そのものであるべきです。
だから「いい感じで」と依頼されたら、デザイナーは「もっと具体的な言葉が欲しい」と喰いついたほうがいいでしょう。ECサイトのデザイン依頼の場面を想像してみてください。「いい感じで」と言われたら普通は、どんな雰囲気にしたいですか? イメージに近い既存サイトはありますか? と質問を重ねていきますよね。
もちろん、よい言葉が思いつかないから「いい感じ」って抽象的に伝えてるんだよ!と思うクライアントもいるかもしれません。ただし、ぼくたちデザイナーは、デザイン用語で発注してほしいと思ってるわけではありません。デザイン言語が思いつかなくても大丈夫です。現場の泥臭い話をしてくれればいいんです。
たとえば、立ち上げからの顧客数推移のグラフを見せながら、苦労したエピソードやお客様からいただいた嬉しい言葉を伝えることはとても良い発注方法です。現場のリアルな一次情報はデザインの源泉です。そこからデザイン言語に落とし込むのは、デザイナーの仕事です。
昔話ですが、こんな愚痴を言っているデザイン仲間がいました。「今度のクライアント、デザインのことを知らなくて困ってるんだよね」。少し腹が立ったことを覚えています。クライアントが、デザイン知識が深くないのは当然のことです。だからデザイナーに発注しているのですから。
その企画や商品、サービスに携わる人の想いをユーザーに届けるお手伝いをするのがデザイナーの本分。だから、クライアントには変にデザイナー寄りの言葉を使わず、自分の専門領域のことを熱く語ってほしいと思っています。それが一番良いデザイン発注の仕方だと、ぼくは信じています。
これもデザイナーあるある、の言葉ですね。この言葉が出たときは、クライアントが迷ってる証拠。だから、折衷案を出してもOKがもらえないことが多い。「うまく言えないけどイメージが違いますね……」と言われるのがオチです。
「A案とB案の間」という言葉は、結論を保留にしたい、まだ見ぬ何かに期待してしまう人間の習性みたいなものです。
たとえば、上のデザインの「A案とB案の間」って難しくないですか? 「A案はシンプルすぎる、B案は主張が強すぎるから、その間でお願いします」とクライアントは言いたいのかもしれません。でも、A案のここがよくて、ここはダメと具体的な言葉で対話しないと、求めるデザインは出てこないですよね。
ホントは両案とも納得いってないのに、デザイナーに気を遣って折衷案をお願いするのもよくありません。やり直してください!と伝えるのもクライアントの大事な役目だと思うんです。「デザイナーの機嫌を損ねるかも……」と心配されるかもしれませんが、大丈夫です。クライアントがよりよいものを目指してダメ出ししているのか? 単にどうしていいか分からないからやり直しさせているのか? デザイナーは、愛あるダメ出しと、意味のないダメ出しを敏感に感じているからです。
熱意あるクライアントの言葉は、かならずデザイナーに届いています。逆に理由なきダメ出しもデザイナーに伝わってしまうんです。ぼくは修正依頼をされたとき、必ずその理由を聞きます。しつこいくらいに、どこに違和感がありますか? それはなぜですか? と質問を繰り返します。
そこで、明確な言葉が出てこない場合、「目指すゴールがご自身の中で明確でないならば、その修正をしても意味がないと思います」とハッキリ伝えています。
デザインに正解はありません。答えのない問いに解答するようなものです。その解答に少しでも近づくために、クライアントとデザイナーは会話を繰り返さなくてはいけません。それは、時間もストレスもかかる作業です。でも、その会話に時間を割くことが、遠回りに見えて実は一番の近道なんです。
大幅なやり直しを指示されても、その理由が明確で腹落ちしたならば、デザイナーは嫌な気持ちにはなりません。いいものを作りたい、という強い思いから出てくるダメ出しは、デザイナーへの期待の表れだと知っているからです。
逆に言えば、デザイナーにはそれを見抜く力が必要です。そして、自分が納得できなかったら何度もクライアントと会話しなくてはいけません。また、愛あるダメ出しを「自分のデザインが否定された」と勘違いしてはいけないのです。
無理にデザイナー寄りの言葉を使わなくていいのは、修正依頼も一緒です。前述のボトル缶のデザインをデザイナー視点で修正コメントするなら、以下のような感じになるでしょうか。
A案はシンプルでカッコいいが、エナジードリンクとしての存在感が足りません。B案は、らしさはあるが見慣れたイメージで売り場で埋もれる可能性がある。A案をベースに、水平垂直の落ち着いたレイアウトではなく、大胆な文字レイアウトとポイントカラーを使ったタイポグラフィでエナジードリンクらしさを表現してください。
こんなコメントをクライアントからされたら、逆にデザイナーのプライドが傷つきそうですよね。デザイナーがクライアントに求めてるのは、テクニカルなコメントではなく商品についての熱い想いです。
今回の商品は、5年をかけて開発した、エナジードリンクの新しいスタンダードを目指した自信作なんです。味にも拘り、ケミカル感をなくし爽快感を追求しました。だから、パッケージも店頭で目に飛び込んでくるような、エナジードリンクの新しい顔になるようなものにしたいんです。
クライアントからこんな言葉をもらったら、燃えないデザイナーはいないですよね。たしかに求められている要求は高いし、直接デザインに繋がるキーワードも少ない。でも、「ケミカル感でなく爽快感」「店頭での新しい顔」というデザインの手がかりもある。
熱意をもって高い要求をしてくるクライアントが、ぼくは大好きです。がんばりますよ!と自分にも気合が入る。逆に熱意もなくて要求も低いと期待されてないのかな、と不安になってしまいます。熱意がないのに要求が高いクライアントとは……話し合うしかないですね。
修正デザインです。大胆な縦基調のレイアウトとアイコニックな色使い、グリーンは彩度を調整し、ケミカル感を抑えながら目を引く色味でエナジードリンクらしさを狙いました。
クライアントの高い要求に対し、修正デザインを提示することは勇気がいります。また、ダメ出しされたらどうしよう……とデザイナーは不安でいっぱいです。でも、クライアントの期待に応えるため、考え抜いた自信作を提案しているのです。
もし、そのデザインが気に入ったら「前より良くなりましたね!」とデザイナーに伝えてあげてください。そのひとことが、デザイナーにとってもっとも嬉しい言葉なのです。
(執筆&イラスト:こげちゃ丸 編集:少年B)
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