デザイナーには、文章力が必要かも

デザインの言語化ってなんだろう?

「デザイナーだから絵がうまいんでしょ?」

デザイナーです、と名乗るたびによく言われました。この質問、こそばゆいんですよね。謙遜するのも変だし「はい、うまいです」と答えるのも違う気がする。だから僕は「絵を描くのは好きです」と答えています。

はじめまして。こげちゃ丸と申します。クライアントワークを中心に活動しているデザイナーです。プロダクトデザインからコミュニケーションデザイン、最近はブランド戦略のお手伝いとデザイナーに求められることが広がっているな、と感じます。

デザイナーの定義が多様化したいま、「絵を上手に描くこと」はデザイナーの必須スキルではありません。ただ、絵を描くことが好きなデザイナーは多いと思います。教科書の隅にパラパラ漫画を描いたり、休み時間にアニメのキャラを黒板に描いて大ウケを取った、なんて経験をした方もいるでしょう。

では、デザイナーの方々に質問です。

「文章を書くことは好きですか?」

「いやいやいや、書類とか作るのがキライだからデザイナーになったんだよ!」と答える方もいるかもしれません。好きじゃないけど仕方なくやってる、という人もいるはずです。

そうなんです! デザイナーとしてキャリアを積むと多くの人が気付くことがあります。

「デザインするためには、文章力が必要かも……?」

僕がデザインに言語化が必要と感じたことを、事例を交えて書かせていただきます。

言語化は聞くことからはじまります

デザイナーにとって、一番身近な言語化は「デザインコンセプトづくり」だと思います。デザインコンセプトは、デザインする上での地図でもあり羅針盤です。デザインワークに迷ったら自分の立ち位置を確かめる。進むべき方向を見失ったときの心のより所にもなります。

たとえば、クライアントからこんな依頼を受けたとしましょう。

年齢、性別、国籍も関係なく宿泊者同士が交流できる広い共用部(客室部比33%)が特徴のビジネスホテル。ボーダレスな空間にしたいという思いからホテル名は『HOTEL B』。開放的で心地よい空間を想起させるWeb制作をお願いしたい。

一般的に共用部が30%以上の施設は高級ホテルと位置付けられますが、ビジネスホテルで33%という数字は大胆な特徴です。最近は客室を極力狭くして、リーズナブルな宿泊費で共用部を充実させているホテルも増えましたね。

特徴をシンプルにデザインコンセプトにするのは王道の手法です。33という数字を使ってグラフィック展開したり、3×3と分解して9つのグリッドでデザインするなど、少しひねった展開も考えられます。

ただ、“ボーダレス” という数値化できないものに対して数字を使ったデザインコンセプトは違和感を感じます。クライアントの想いともズレてしまっている予感がしますね。デザインの言語化、はじめの一歩は「クライアントの想いを読み解くこと」です。ここを怠るとあとのデザインワークでの修正が頻発します。だから、キックオフ時のクライアントへのヒアリングがとても重要なんです。急がば回れ、というやつですね。

その言葉はクライアントに向いていますか?

では、次のコンセプトはどうでしょう?

ボーダレスな雰囲気もあり、グラフィックへ展開しやすいコンセプト。一見よさそうに見えますね。状況によっては、このコンセプトでもいいと思います。ただ、僕の経験上「カラーコンセプト」と「デザインコンセプト」は明確に分けた方がいい結果につながることが多いです。少なくても、色をデザインコンセプトにする理由が言語化されている必要があります。

  • 「なぜグラデーションなのか?」
  • 「なんで7色なのか?」

クライアントに質問されたら、言葉で答えなくてはいけません。

  • 「さまざまな人がコミュニケーションで溶け合うイメージを表現しています」
  • 「7色は多様性を想起させるからです」

これだけだとちょっと抽象的な印象を受けますね。もう少し具体的な説明が必要です。デザインコンセプトは、デザイナーの考えを言語化したもの。そして、自分の想いがデザイナーに伝わったのか? クライアントがそれを確認する為のツールでもあります。

デザインチーム内で全員がいける!と確信していたアイデアが、クライアントの反応が悪くやり直しになった。デザインあるあるですよね。でもそれは、デザインが悪いのではなく、伝え方が悪かった可能性があります。

クライアントに「おっ、こいつオレが言ったことよく分かってるじゃないか」と思ってもらわないとデザインが先に進みません。だから、デザインコンセプトは、クライアントが理解しやすい言葉で伝えなくてはいけないのです。

クライアントが理解しやすい言葉で伝えよう

「ひと言で全部伝えるなんて無理だよ~」

もちろん、そうです。ひと言で全部伝えなくても大丈夫です。ビジュアルの力も使いながら、クライアントに伝わる言葉を重ねていけばいいんです。

たとえば、HOTEL B のデザインコンセプト。こんなアプローチもあるかもしれません。

▲画像引用元: Pepe Reyes on Unsplash

このビジュアルを使って疑似プレゼンをしてみましょう。

デザインコンセプトは「infinity」、無限や永遠を意味する言葉です。

私はいただいた依頼内容からボーダレスがもっとも重要なキーワードだと感じました。心の境界線を解放し宿泊者同士の交流が生まれるシーンを表現したコンセプトワードが「infinity」です。

また、共用部の開放的で心地よい空間、それがHOTEL B 最大の魅力。それを境界なくつながるビジュアルで表現したいと考えています。縦スクロールに合わせて展開していくWebデザインがいまのトレンドですが、今回は敢えて橫スクロールを基調としたデザインがいいと思います。

年齢、性別、国籍に関係ない宿泊者同士の交流は対等でフラットな関係のはず。そこを橫基調の連なるビジュアルで表現したいんです。

プレゼンで一番大事なことは、相手が知りたいことを伝えることです。自分が伝えたいことは、その次です。クライアントが知りたいことは、ただひとつ。「自分が依頼した内容をこの人はどう解釈したんだろう?」これに尽きます。ぼくはプレゼン時に、依頼文に出てくる言葉をなるべく使うようにしています。そうすることで共通言語で議論ができるんですね。

間違っても専門用語を駆使して相手をけむに巻いてはいけません。「敢えてビジュアルヒエラルキーをつけずにボーダレスな世界観を演出します。パララックスを使ってフラットながら効果的な強調表現にトライしたいです」なんて、ここまで偏った言い方をする人はいませんが、必要以上に横文字を使うデザイナーっていますよね。専門用語を使いすぎるのは、逆効果だと覚えておいた方がいいでしょう。

デザインの言語化は難しいけれど楽しい!

デザインコンセプトは、デザインの方向性を決めプロジェクトを円滑に進める役割の他に、アイデアを加速させるという機能もあります。いいデザインコンセプトは、クリエイティブな発想を刺激し、ときにそれはデザイナー以外の人へも波及します。

  • 「ラウンジの内装、大きな鏡を入れて空間の広がりを強調したいね」
  • 「バーで出すオリジナルカクテル、“永遠イライト” というネーミングはどうかな?」

自分が考えたコンセプトが、Webという世界を超えて広がっていったら、こんなに嬉しいことはないです。デザインの言語化は、とても難しい。でも、魅力的な考えを、力ある言葉で表現できたときは、めちゃくちゃ気持ちいいです。自分でもほれぼれするような絵が描けたときと同じくらい達成感があります。

書いて、描いて、また書いて。よいデザインをするために、書くトレーニングも大事だなと感じる毎日なのです。

(執筆&イラスト:こげちゃ丸 編集:少年B)

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