採用ミスマッチはなぜ起こる?企業が陥りやすい原因と改善ポイントを解説
- 働き方
こんにちは。物書きと写真で生計を立てている、古性のちです。
会社を去って早3年、フリーランス歴も4年目に突入しました。

「世界一周に行く!」と豪語し会社を辞め、世界をくるり一周しながら仕事をしていた私。「どうやら仕事を受けるには個人事業主の登録をしておいた方がいいらしい」という友人からのアドバイスを受け、フリーランスに転身しました。当時は「これから先もずっとフリーランスでやっていく」という予定はなかったのですが、帰国後も何となくのらりくらりとフリーランスを続け、今に至ります。
そんな風にフリーランス歴を積み上げてきてしまったため、フリーランスの準備を何もせぬまま、その後も特に何も調べぬまま、ここまできてしまいました。そしてよく分からぬまま確定申告を迎え、よく分からぬまま税金を支払い、を繰り返していたら……

気づけば分からないことばかり。
このままじゃいけない。今は何とかなっているものの、絶対いつか、大きな壁に当たる。当たった時にはもう遅い気がするし、なんなら壁に当たっているのに気づいていない可能性すらある。
そんな私に「4年目のフリーランスが、ひたすらお金のプロに困っていることを聞いてみる」という神のような機会をWorkship MAGAZINEさんからいただき、今回この3年間ひたすら溜まりに溜まった疑問を色々ぶつけさせていただきました。
この記事は前編後編の二本立て。前半は「これからフリーランスになるから、どんなところに注意すべきか知っておきたいよ!」という方、後半は「もうフリーランスとして走り始めちゃってるけど、税金やお金のことよく分かってないよ!」という方を対象に質問をまとめました。
「そんなこと知ってるよ!」な事も多いかもしれませんが、もしかしたら何かのヒントになるかもしれません。私と同じ状況の方がいたら、さらり読んでもらえると嬉しいです。
目次
今回お話をしてくださるお金のプロは、この方。


大学卒業後、Citiグループの日本における持株会社に勤務。在籍中に金融工学MBAを取得する。その後スタンダードチャータード銀行の東京支店に転職。現在は金融機関を退職し、明治大学、龍谷大学や企業研修・セミナーなどで金融論等について各種講義を行っている。
右も左も分からずな私に、的確なアドバイスをくれました。

それでは早速なのですが岸さん。会社をやめてフリーランスになる際に、対策しておいた方が良い事を聞きたいなあと思っていて。
ざっくりしすぎた質問ですみません……。
大丈夫です(笑)。
私自身が、後先考えず「やーめよ!」ってテンションで会社員辞めちゃったんですよね。何の心構えもしていなかったので、まずはどんな対策をしていたら良かったのかなあと思いまして。
うーんそうですね……まず、辞める時期にもよるのですが、よく聞くのが退職後に送られてくる住民税の支払い額に驚かれる方が結構いるなあという印象です。
うわあ。身に覚えあります。
もう昔の事なのでうろ覚え気味なのですが、世界一周に旅立つ前の月に、突然、税務署から確か20万近くの請求が来たような。世界一周用に準備してた費用をごっそり削られた記憶があります。
何も分からぬままとにかく「何かやばい」と思って支払った気がするんですけど、あれって住民税だったんですね。
そう、あれ知らないとめちゃくちゃびっくりしますよね。
そもそもなんですけど、あの住民税って一体いつのなんですか?
実はあれ、前年の所得に応じた住民税が退職時にくるんです。
前年!?
たとえば社会人1年目って、実は住民税を払っていないんですよ。前年の所得がないので。
なのでみなさん「1年目より2年目の方が手取り減る」とおっしゃるのですが実はそうではなくて、単純に1年目に住民税が引かれていないだけなんですよね。
なるほど。住民税は前年に稼いだ年収にかかってきてる税金なんですね。これ、例えば前年の年収が高い人は当然……。
はい、退職時に莫大な住民税の請求がきます。
怖!
わたしは前年の所得がそんなに多くなくて良かった(?)けど、それでも20万の請求ってパニックになりますよね……。
まさしく「急に20万!」とかきちゃうのは辛いです。ましてのちさんの場合、世界一周出発前の大事な資金でしたもんね。
ちなみに救済措置というわけではないのですが、ハローワークに申し出ると経済状況によっては分割払いとかにもできるはずです。
え、そうだったんですか……!? うわあ、今更だけどめっちゃ分割払いにしたかった……。
もちろん、退職後に住民税の支払いがくることに備えて、事前に多めの貯金をしておくことが大切ですね。
※住民税:市町村民税・道府県民税の総称で地方自治体による教育や福祉、行政サービスの資金のために徴収されるお金。住んでいる地域と収入によってその金額は異なり、前年の所得をベースに翌年の納税額が決定されます。会社員時代は給料から自動的に引かれます。
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あとフリーランスって、年金払ってない方って結構いると思うんですよ。
あれ……そういえば私、年金払ってない気がする……!? あれ?
いつの間にか、年金の請求が来なくなった気がするんです。
そうなんですよ。実はフリーランスになると、年金の通知が自動的に止まるので、自分で手続きをしなければいけません。
うわー! そうなんだ!? やばい……払わなきゃやばい……。
ちなみにフリーランスと会社員って、年金の制度や金額も違ったりするんですか?
金額は一緒です。ですがそもそも、会社員・公務員であれば、国民年金の上乗せとして厚生年金があるんです。よく聞く「二階建て構造」ってやつですね。
対して個人事業主やフリーランスの場合は、国民年金だけしか受け取ることができません。
んん……? いまいち違いがよくわかりません……。
簡単に言うと、通常積立が国民年金でしかできないので、フリーランスの方は65歳になった時に受け取れる年金が会社員より少ないんです。
え……!!! 絶対少なくなるんですか!?
個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済など、さまざまな対策方法があります。フリーランスの方は自分でそのような年金対策が必要になってくるのですが、それらの多くは基本国民年金を払っていることが前提になるので、まずは支払いを……。
今すぐ払います(震)。
ですね!
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これもよく聞くのですが、私は運が良いのか(?)家を借りられなかったり、クレジットカードを作れなかったことはないんですよね。
そうなんですね。しかしフリーだと継続的な収入の保証がないので、少なからず借りられなかったり、作りづらくなるケースはありますね。
やっぱりそうなんだ。じゃあ退職前にしておいたほうが良い感じなんですね。
ですね。会社をやめる前がオススメです。
ちなみにその場合も、自分から素直に言っちゃうパターンは、審査に不利になる可能性があるので要注意です!
自分から素直に、とは……?
基本的に家やクレジットカードの審査では、「あなた来月転職しますとか?」「来月からフリーになるんですか?」って質問はしないと思うんですよね。
やってしまいがちなのは、自分からフリーランスになることを自白してしまうパターン。その結果、ちょっとフリーランスだと……ってなるケースが発生します。
確かに、自分も不安だし「フリーランスなんですけど」ってつい言っちゃいますよね。
まあ、審査側としては言っててほしい話かもしれませんけどね(笑)。
そうですよね。家を貸す側からしたら不安ですもんね。
なので退職前に賃貸やクレジットカードの手続きをする時は、今のことしか聞かれないので、今のことだけを話せば良いのです。嘘はもちろんダメですよ!
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会社員時代は気にする事少なかったけど、フリーランスになったら入る保険って、国民健康保険ですよね?
基本はそうなりますね。のちさんも自分で手続きされたと思うのですが、その前段階として会社の保険を ”継続する” というパターンもあります。
そういえば退職時に何か言われたような……あの時は何も考えず辞退してしまった気がします。
なるほど。物にもよると思うんですけども、場合によっては国民健康保険に入るよりも安く継続できるパターンもあるので、検討した方が良いかもしれません。
のちさんはフリーランス3年目なので実感してらっしゃると思うのですが、国民健康保険って結構高くないですか?
正直、泣きそうなくらい高いです。
ですよね。国民健康保険は前年度の収入によって決まるので、結構高くなってしまう場合が多いんですよ。
なのでもし会社で入っていた保険のほうが条件が良さそうであれば、継続するのもアリです。会社で加入していた保険は、退職後2年までなら入っていられるので、フリーになった後の収入の様子を見つつ、保険を検討していくのがベストかなと思います。もちろん年収が低いうちは、国民健康保険を選択しておいたほうが良い場合もあるので、要検討ですね。
あとはちゃんと自分で比較することが大事ですね。月3000円と月1万円の保険、内容をきちんと見てみたらあまり大差ない!なんてこともよくあるので。
いずれにせよ、収入に応じて保険を見直すのが大事なのですね。3年前の自分に教えてあげたい……。
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フリーになるときに役所で開業届を出すと思うんですけど、その時に「青色申告したかったらこれも書いてね!」って申請用紙が渡されるじゃないですか。
渡されますね。
で、「青のがいい」と友人から聞いたので、私も青色申告のを一応書いたんです。なので毎年確定申告は、青色申告はしているんですけど……。
はいはい。
ただ、なんで青のが良いのかよく分かってないんですよね。そしてそのまま3年たっちゃいました……。
本来は白色がメインなので、何もしなければ白色申告になるんです。で、確定申告の時期になると、白色申告だと税務署にその年のレシート持って行ってぼーんってお願い!みたいなの可能なんですよね。
え! めっちゃ楽じゃないですか! すごい白色……。
なんですけど、青色申告はそのひとつ上のバージョンで、しっかりと帳簿をつけるタイプのものなんですね。
ノートにレシートとか貼るあれですよね。
そうです。
ぺたぺた……。あれめっちゃ面倒くさいんだよなあ。ここまで聞いてると、私の中では白色のほうが良いように思えてきます。
そうなりますよね(笑)。でも、帳簿をちゃんとつけてくれることで、税務署としてもチェックしやすくなるんですよ。
なので、帳簿をつけてくれた代わりにインセンティブ与えましょうって考えが青色申告なのです。
おお! なんか控除?みたいなのはよく聞きます。
そう。頑張って帳簿をつけてくれたご褒美に、所得から65万円を控除できますよっていう割と大きなプレゼントをしてくれます。
うーん……あんまりピンとこないのですが、控除?してくれると何が良いのですか?
控除のぶん所得が下がるので、それだけ節税に繋がりますね。
先ほども申し上げたとおり、所得によって支払う税金が大きく変わるので、所得は下げておくに越したことはないです。
おお! そう考えるとかなりでかいですね。
ということは、青色申告はやはり大きなメリットがあったのか。
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すごいざっくりした質問なんですけど、フリーランスのメリット・デメリットってなんですか?
本当にざっくりですね(笑)。
はい、ざっくりいきます(笑)。
メリットはそうですね……色々ありますが、フリーランスが「会社を立ち上げたい!」となった時に、いろんな補助制度が沢山あるところですかね。
え、予想外のきた! 「満員電車に乗らなくていい」とかそういうのじゃないんですね。
もちろんそういうのもあるかもしれませんが……あくまで今回はお金に関わる話を(笑)。
たとえば小規模事業者向けの補助金で、Webサイトを制作できたりもするんです(小規模事業者持続化補助金)。
Webサイト制作にも補助金があるんですか……!?
また女性が起業するとなると、結構な支援金がでたりします(女性、若者/シニア起業家支援資金など)。
女性に朗報だ……!
たぶん良くも悪くも、感覚的にフリーランスと起業って、なんかみなさん違うものと思ってる人が多いと思うんですよ。
うんうん、別物な感じはしてます。
でも法的にはどちらも個人事業主としての起業であり、扱いは同じなんですよね。
すごいな……これは詳しく調べてワクワクしたいやつ。
「こんな事やりたい!」って構想が何かある人は、一度しっかり調べてみても良いですね。
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逆に、フリーランスになるデメリットは何かありますか?
うーん……。
会社員とフリーランスって意味で言うと、まさしくその会社名ですよね。よくあるパターンとして「株式会社○○の△△さん」で仕事もらってたのに、独立したら仕事がなくなったっていう……。
うわあ。よく聞きますね。
そう。あなたじゃなくて、株式会社○○に仕事頼んでたんですってケース。そうなった場合、やはり営業力が大切になってくるんですよね。ライターやエンジニアなど、どんなに優秀でスキルがあっても、その方が仕事取れるかっていうとこはまた別の話というのが現実です。
なのでそれも踏まえて、営業力を磨いて置いたり、また営業をしてくれる人を味方につけたりなど、そういう対策は必要ですかね。デメリットとは別の話になっちゃうかもしれませんが。
いえいえ。会社ではクリエイティブに専念していれば大丈夫だった部分が、そうもいかなくなる……みたいな事ですもんね。
まさにそう。フリーランスは自由も多いけれど、やはりカバーしなければいけない範囲も多いですからね。
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岸さんありがとうございました!
後編では、すでにフリーランスとして働いている人向けのお話をさせていただきます。
(執筆:古性のち 撮影&編集:じきるう イラスト:なかそねことみ)
古性のちの「すみません、今更フリーランスの税金とお金の話聞いてもいいですか?」