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”SNS報奨金制度”より大切なこと。テテマーチ・ふくままさひろ氏に聞いた、社内外を巻き込むTwitter戦略

ふくままさひろ
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社員個人のSNS活用を推奨する企業が増えている昨今。

その中でも「SNS報奨金制度」を設けるなど、会社全体で積極的にSNS運用をすすめているのがテテマーチ株式会社です。

やはり社員がSNSを活発に使うためには、報奨金を付与したり、制度を決めたりすべきなのでしょうか?

今回はテテマーチ株式会社・コミュニケーションデザイン室長のふくままさひろ氏に直撃。すると「報奨金制度の効果ですか? なんでも話しますよ……」「……っていう効果はありましたけど、制度より大事なことをやってるんです」と、本当になんでも話してくれました。

ふくままさひろ
ふくままさひろ

テテマーチ株式会社 コミュニケーションデザイン室 室長
2017年1月テテマーチ株式会社入社。SNSを軸とした、企業のコミュニケーション企画・運用を行う。その他、社内外のイベント企画やメディア運営を担当。 「#これからのSNSマーケ」「#マーケについて語る夜」 「#若手うぇぶまーけ会」主催。アドテック2019公式スピーカー /TwitternoteInstagram

聞き手:はつこ
聞き手:はつこ

ライター。Twitter運用を学ぶイベントに行ってみたら登壇していたふくまさんと出会った。それ以来Twitterで話題のイベントに行くと、だいたいふくまさんを見かける。

はつこ:……そのポーズなんですか?

ふくま:「ハッシュタグ覗き」です。SNSでよく使われる「#(ハッシュタグ)」をイメージしました。

はつこ:ああ!「#」だ! SNSへの愛がすごいですね!今日はSNSについて存分に語っていただければと思います……!

ふくま:なんでも話します。

SNS報奨金制度は必要ない……!?

はつこ:テテマーチさんはふくまさんをはじめ、社員個人のSNSが活発ですよね。とくに、会社としていいね報奨金制度」「SNS報奨金制度を期間限定で設けていたのが印象的です。社員個人のSNSのいいね数やPV数に応じてインセンティブを付与するというのは、珍しい取り組みですよね。

ふくま:はい。「インフルエンサー採用」など、すでにSNSを活用して影響力を持った人を採用する制度を導入している企業はありますが、社内にいる人のSNSを強化する制度というのは聞かないですね。

はつこ:やっぱり社員のSNSを活発化させるには、制度が必要なんでしょうか?

ふくま:いや、効果はありますけど必要ではないですよ。

はつこ:えっ。

ふくま:制度より大切なことがあって。うちはそれを実践してきたのが大きいですね。

ふくままさひろ

はつこ:制度より大切なこと……? でも報奨金制度は、2018年、2019年と、2回も実施されていますよね?

ふくま:やってよかったし、またやりたいと思っていますよ(笑)。まず、会社として制度を設けるメリットとして「テテマーチはSNSに力を入れている会社なんだ」と社内外にアピールできることが挙げられます。実際、制度を発表してからメディア露出も増えました。

はつこ:なるほど。オフィシャルで宣言することに意味があると。

ふくま:そうです、そうです。その上で社員個人のSNS自体にも、もちろん効果がありました。1回目のときは制度実施前後の変化を集計したのですが、いいね数は全員が前月対比で上回り、一番伸びたメンバーだと数値が2倍以上になりました。

ふくままさひろ

はつこ:すごい……!

ふくま:2回目を実施するころには、もう社員みんなが自然とSNSを使っている状態になっていましたね。

はつこ:1年でそんなに変わったんですか?

ふくま:変わりましたね。その間にやっていたのが、制度より大切なことなんですけど。

はつこ:それ! 教えてください!

「テテマーチブースト」で、Twitterを楽しめる環境づくりを

ふくま:社員の個人SNSを活発にするには、社内で地道にSNSを使う文化や環境をつくるのが大切です。

はつこ:やっぱり地道な積み重ねが大事なんですね。どうやっていまの状態をつくってきたんですか?

ふくま:たとえば社員が制度をきっかけにTwitterアカウントを立ち上げたり、新たな社員が入ってきたりしたら、「テテマーチブースト」をやります。

はつこ:テテマーチブースト?

ふくままさひろ

ふくま:社員みんなでその人をフォローするのはもちろん、「テテマーチに入社しました」みたいなツイートをしてもらって、それを社員みんなでいいねしたり引用RTしたりして拡散します。すると、テテマーチを知ってる人がフォローしてくれたり、反応をくれたりするんです。

はつこ:なるほど、それは嬉しいですね。

ふくま:あとは僕がその人のアカウントで、おすすめの人をフォローしていきますね(笑)。

はつこ:フォローする人も一緒にみてくれるんですね(笑)。

ふくま:SNSで一番辛いのって「フォローもフォロワーも0」の段階なんです。誰をフォローしたらいいかわからないし、フォロワーがいないと呟いても誰も反応してくれない……ただただ辛いですよね。

呟いた先に人がいて、何かを呟けば反応が返ってくる状態になったときに、初めて楽しくなると思うんです。

はつこ:ああ〜、たしかに反応がないと悲しいですね。

ふくま:「Twitterを開けば誰かとコミュニケーションをとれる状態」までもっていければ、自然と楽しくなると思うんですよ。しかしそこまでいくのが難しいので、早く馴染めるように周りの人が環境をつくってあげるのが大切です。

テテマーチは「誰でも出入りできる村」。自然とUGCが生まれる仕組み

はつこ:たしかにテテマーチの皆さんって、Twitterを楽しんでいる雰囲気を感じます。

そういえば、社外の人が「テテマーチ」とツイートすると、社員の皆さんが見つけていいねするという施策もやっていましたよね! あれは会社が呼びかけてやっていたんですか?

ふくま:ああ、やっていましたね(笑)。あれは別に「いいねしましょう」みたいなのはまったくなくて。「テテマーチ」ってキーワードを見つけると嬉しいから、みんなでいいねをしていただけなんです。遊び感覚でしたね。

はつこ:へ〜! 自然に始まったんですね。

ふくま:やっているうちに社外の人から「”テテマーチ”ってツイートするとエンゲージメントが上がる」と言われはじめて、テテマーチツイートがだんだん増えてきたんです。それからはゲーム感覚でしたね。「みんなでいいねしに行くぞ〜!」って(笑)。

ふくままさひろ

はつこ:テテマーチツイートでいうと、テテマーチさんは「#テテマーチ勉強会」というハッシュタグでイベントも開催していますね。

ふくま:はい。もともとは社内向けの勉強会だったんですけど、マーケティングや広告の知識をつけていくために、外部から特定分野に詳しい人を講師としてお呼びするようになったんです。

そのうち講師だけじゃなくて、参加者もオープンにしようってなって。そしたら社外からきた人が「#テテマーチ勉強会」でめっちゃ呟いてくれるようになったんです。いわゆるUGC(ユーザーの手によって生成されたコンテンツの総称。口コミなど)が発生したんですよね。

はつこ:「#テテマーチ勉強会」という名前は、UGCを意識してつけたんですか?

ふくま:そうですね。「#テテマーチ勉強会」ならツイートしやすいし、わかりやすいかなと思ってつけました。

はつこ:勉強会をオープンにしたのも、UGCを意識してのことですか?

ふくま:あ〜、そうですね。ノウハウを共有した方がいろんな人と繋がり作れるし、UGCが出るよねっていうのは考えていました。でもその結果、思っていた以上にテテマーチに親しみを持ってもらえましたね。

ふくままさひろ

ふくま:僕の感覚なんですけど、テテマーチの強みは「誰でも出入りできる村」みたいなところだと思っていて。

はつこ:「誰でも出入りできる村」ですか?

ふくま:はい。社員じゃないんだけど、メンバーの一員みたいな。勉強会が外部の人もウェルカムなのもあるんですけど、たとえばテテマーチ社員がTwitter上で交流がある他社の人と、よくご飯に行ってたりするんですよ。社内と社外の垣根が低いと、親近感を持ってもらいやすいんですよね。

はつこ:なるほど。

ふくま:さらに社外の人がテテマーチの社員複数人と相互フォローになってくると、タイムラインにテテマーチのことがたくさん流れてきます。すると自分がテテマーチの社員なんじゃないかって錯覚してしまうらしく(笑)。社外の人からよく言われるんですよ。

はつこ:たしかに村の準住民みたいな気持ちになりますね。

フォロワーを増やす運用はしていない。すべては「楽しみ」の延長線

はつこ:勉強会といえば、ふくまさんは個人でも 「#これからのSNSマーケ」「#マーケについて語る夜」「#若手うぇぶまーけ会」など多くのイベントを主催していますよね。

ふくま:僕、イベントを主催するクセありますね。

はつこ:クセ(笑)。そういえば前回の連載で取材したベーシックのカイさんが、「ふくまさんは主催したイベントに来た人とSNSで繋がってフォロワーを増やしているので、会ったことのあるフォロワーが多い。あの増やし方はすごい!」と仰っていました。

ふくままさひろ

ふくま:カイさん……(笑)。ありがとうございます。たしかに会ったことのあるフォロワーが多いですね。

はつこ:ふくまさんは自身のアカウントを、どのように運用しているんでしょうか?

ふくま:僕は、フォロワーを増やすための運用をできていないですね。

はつこ:ええ!

ふくま:本来フォロワーを増やすためには、役立つコンテンツとか、Twitterの文脈に合うようなグラレコとかイラストとかを使って情報発信をするべきなんです。そうすれば結構バズって、100人とか1000人単位でフォロワーが増えると思います。

はつこ:ん〜、なるほど。

ふくま:でも僕の場合、イベントというリアルな場で僕のことを知った人がフォローしてくれている感じなので。フォロワーの伸び方は、じわじわ……といった具合です。

はつこ:イベントの主催は、フォロワーを増やすために戦略的に始めたわけではないんですか?

ふくま:いや、学生時代からイベントを主催するのが好きで。社会人になっても友達や知り合いを増やしたくてイベントを開いてるんです。フォロワーを増やそうとか最初は意識していなくて、結果的に増えたなって感じですね。

はつこ:すごい……。でも、それだけですか? リアルでたくさんの人に会うだけでなく、Twitter上で気にかけていることはありますか?

ふくま:ああ、それはありますね。Twitter上でコミュニケーションを活発にとるよう意識しています。いいねや引用RT、コメントをたくさんしたり。

はつこ:なるほど。でも、たとえば会ったことないフォロワーにコメントするのって、ハードル高くないですか?

ふくま:そう思いますよね。でも自分の立場に置き換えると、たとえ会ったことない人でも反応もらえたら嬉しいと思うんです。

はつこ:たしかに……!

ふくま:だから面識のない相互フォローの人にも積極的にいいねをしていって、徐々に引用RTやリプライなど、コミュニケーションの幅を広げていってます。

ふくままさひろ

ふくま:仲良くなったら、その人をTwitter上で紹介するというのもいいですよ。「紹介すること」は「紹介されること」と同義なので。

はつこ:おお、どういうことですか?

ふくま:カイさんがよくやるんですけど。たとえば「僕をいじってくる人ランキング5」という、5人にメンションしたツイートをします。すると紹介された人は嬉しいし、引用RTしますよね。そうしたらその5人のタイムラインに、僕のツイートが流れるわけなんですよ。

はつこ:本当だ! 紹介すると、紹介される!

ふくま:お互いにとってメリットがありますよね。あと僕は基本的に、自分が認識している人ならフォローバックするようにしています。フォロー100人、フォロワー1,000人とかのアカウントのほうが人気者みたいでかっこいいかもしれませんが、僕はそういうカリスマっぽい感じにならなくていいなって。やっぱりフォローされると嬉しいから、僕もフォローして仲良くなりたい。

はつこ:へえ〜! フォロー/フォロワー比も気にしないんですね。

ふくま:Twitterをやる目的にもよりますけどね。僕は友達を増やしたいのが一番なので。仕事にももちろんプラスになっているんですけど、それは友達を増やした先にある、おまけのメリットなので。

はつこ:会社としてSNS活用を推奨しているテテマーチさんでも、仕事へのメリットを一番に置いてはいないんですね。

ふくま:そうですね。やっぱりSNSは、楽しむことが一番です。

SNSって、人によってはやること自体が合わない場合もあると思うんですよ。「発信したくないな」とか。そういう人は無理にやらなくていいと思います。テテマーチにもSNSをやっていない人はいますよ。それはそれでいいんです。

会社として個人のSNS活用を推奨していても、前提として「合わない人には押し付けない」「やりたい人が楽しむ」というのを大事にしています。

(執筆:はつこ 編集/撮影:内田一良(じきるう) アイキャッチデザイン:奥貫あずさ

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