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パタゴニアのロゴの歴史。モチーフになった山の名は?

パタゴニア ロゴ 現行
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アウトドアブランドとして唯一無二の存在感を放つパタゴニア(Patagonia)。この記事では、そんなパタゴニアのロゴデザインの歴史を、会社の歴史や製品とともに振り返ります。

パタゴニアの名前の由来や、ロゴのモチーフとなっている山についてもご紹介しているので、ぜひロゴ制作の参考にしてみてください。

パタゴニアの名前の由来

パタゴニア ロゴ 現行

▲出典:Freak

パタゴニアは、1957年に登山家のイヴォン・シュイナードが創立したアウトドアウェアのブランドです。

パタゴニアとは、南アメリカ大陸を流れるコロラド川以南の地域を総称する言葉のこと。この言葉が社名に採用された理由は、公式ホームページで以下のように語られています。

  • 地図には載ってないような遠隔地というイメージがあったため
  • フィヨルドに流れ込む氷河、風にさらされた鋭い頂き、ガウチョやコンドルが飛び交う空想的な風景が思い起こされるため
  • どの国の言葉でも簡単に発音できるため

パタゴニアのロゴに採用されている山の正体は?

パタゴニアのロゴデザインのモチーフとなっているのは、パタゴニア地方にあるフィッツロイ山群。

標高は3405メートルで、クライマーの聖地として知られています。

フィッツロイ山群

▲出典:Wikipedia

パタゴニアのロゴデザインには、フィッツロイ山群を構成する複数のピークや幻想的な空が忠実に表現されています。

パタゴニア製品の歴史

パタゴニアの始まりは、登山家のための「ピトン」作りでした。

クライマーが岩を登るために、ピトンと呼ばれる道具を岩に打ち込むことがあります。当時のピトンは軟鉄製で引き抜くことが困難だったため、一度打ち込んだピトンは岩に放置されたままでした。

ピトン

▲ピトン(出典:YAMA HACK

そこでシュイナードは、1965年にパタゴニアの前身である「シュイナード・イクイップメント社」を設立し、再利用可能なピトンの製造に着手。シュイナードが作ったクロモリ製のピトンは、頑丈で再利用が可能だったため、多くのクライマーから支持されました。

しかしクライミングが流行するにつれて、人気ルートの岩壁にはピトンが絶え間なく打ち込まれ、山にダメージが蓄積されていきました。自身が作ったピトンが環境を破壊していると考えたシュイナードは、ピトンの製造から手を引くことを決断。こうしたシュイナードの環境保全に対する考え方は、現代のパタゴニアにも脈々と受け継がれています。

ピトンの製造をやめたシュイナードは、登山用フリースの製造に着手します。この頃から、「パタゴニア」を名乗るようになりました。それまでクライマーに使われていたウールのセーターは、防寒性が高いものの、濡れると乾きにくいという問題がありました。シュイナードはこの問題を解決できる素材を探し、1970年代初期にアクリルのパイル生地を発見。保温性と速乾性があるパイルジャケットを製造し、登山家たちに愛用されるようになりました。

しかしそのパイルジャケットも、たった1度の洗濯で外側に毛玉ができてしまうという欠点がありました。そこで1985年に、毛玉が発生しない両面起毛のフリースを開発。これがフリースの元祖として広く知られている「シンチラ」です。このシンチラは、現在も冬に欠かせないアイテムとして多くの人に愛用されています。

シンチラ

▲シンチラ(出典:GO OUT

パタゴニアロゴの変遷

ここからはパタゴニアが設立された1970年代から、各年代のロゴを時系列順にご紹介します。

1970年代前半:オレンジの夕焼け雲が描かれたロゴ

オレンジの夕焼け雲が描かれたロゴ

▲出典:JAM

初期のロゴは、背景に白色が採用されています。夕焼けがオレンジ一色で表されており、現在のロゴに比べてシンプルなデザインです。

フォントは丸みを帯びており、現在よりも字間が広くなっています。

1970年代後半:オレンジ、紫、水色で空が描かれたロゴ

パタゴニア ロゴ 2代目

▲出典:A級放浪計画

こちらも背景が白色のロゴです。70年代前半とは空のデザインが異なっており、オレンジ、紫、水色が用いられています。幻想的な自然の風景を彷彿とさせますね。

70年代前半〜70年代後半の白いタグがついているパタゴニア製品は、現在もビンテージとして古着マニアの方々に愛されています。

1980年代前半:Rマークなしのデカタグ

パタゴニア ロゴ デカタグ

▲出典:A級放浪計画

1980年代からのロゴは、背景に黒色が採用されるようになりました。タグ自体のサイズが大きくなったため、「デカタグ」と呼ばれています。

1980年代前半のロゴは、デカタグのなかでも「patagonia」の右横に®(Rマーク:「登録された」という意味がある”registered”の頭文字をとり、商標が登録されていることを示すマーク)がないことが特徴です。

1980年代後半:Rマークありのデカタグ

パタゴニア ロゴ デカタグ Rマークあり

▲出典:A級放浪計画

フォントや色のデザインは80年代前半と同じですが、80年代後半からはRマークが付くようになりました。現行のロゴに近いデザインが採用されています。

1990年代前半:雪なしタグ

雪なしタグ

出典:JAM

92年~94年の3年間のみ使用された希少性の高いロゴ。フィッツロイ山群にかかった雪を表す白い線がないことが特徴です。当時はパタゴニアを始めとする人気ブランドのコピーアイテムが多く出回っており、その対策としてこのロゴデザインが採用されたと言われています。

またこのロゴからRマークが簡略化され、◯の中のデザインが点になりました。

1995年〜現在:デカタグを小さくしたタグ

1995年からのロゴは現行と同じデザインです。1980年代のデカタグのロゴをベースとしていますが、サイズはデカタグよりも小さくなっています。Rマークは90年代初期に採用された点のデザインが採用されています。

おまけ:波タグ

パタゴニア ロゴ 波タグ

▲出典:A級放浪計画

1993年〜96年の間に採用されたロゴデザイン。山ではなく、波が描かれていることが特徴です。また空のデザインにはオレンジ、赤、紫が使われており、従来のデザインより暖色が多く用いられています。

おわりに

パタゴニアのロゴは細部のデザインを変えつつも、基本は変えずに現在まで至ります。長く愛されるこのロゴから、デザインのヒントは得られたでしょうか?

パタゴニア以外にも、ぜひさまざまな企業のロゴを分析し、インスピレーションを得てみてください。

(執筆:Workship MAGAZINE編集部 編集:齊藤颯人)

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