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フリーランスの月商10万円、50万円、100万円の壁の攻略方法

フリーランスの月商10万円、50万円、100万円の壁の攻略方法
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フリーランスとして生計を立てていくことは、そう簡単ではありません。それぞれの生活環境によって目標は異なると思いますが、毎月の月商を一定の価格帯で安定させるためには、仕事の獲得方法や立ち回り方にコツがあります。

私はWebライターとして未経験からフリーランスになり、その後法人成りをして、現在は小規模なチームを組んで編集プロダクションを営んでいます。これまでの月商を振り返ってみると、10万円、50万円、100万円とさらなる高みを目指すうえで、それぞれに異なる壁があったように思います。

今回は10万円、50万円、100万円に分けて、それぞれの月商の壁を乗り越えるためにどのような立ち回り方をするとよいか、個人の経験に基づいて解説します。

宿木雪樹
宿木雪樹

広告系の企画制作会社、教育事業会社での企画職を経て、2017年ライターとして独立。ビジネス領域のインタビュー記事執筆を中心に実績を重ね、2020年株式会社宿木屋を設立。チームで言葉を軸にした企業の発信支援を行う傍ら、個人名義でのコラム執筆や創作活動もしている。(X:@yuki_yadorigi

月商10万円、50万円、100万円には異なる壁がある

「もっと稼ぎたい」と思ったとき、皆さんはどうしますか?

フリーランスは自分自身で仕事の量や内容をコントロールできるので、「稼ぎたいなら、そのぶん働けばいいじゃん」と思う方もいるかもしれません。しかし実際働いてみると、そう簡単でもないことがわかってきます。いっぱい働いてるのに「貧乏暇なし」状態から抜け出せない、という方も多いのではないでしょうか。

フリーランスが月商を上げる手段は、大きく分けると「仕事量を増やす」「サービスを提供する料金の価格帯を上げる」かの二択です。ただし、働ける時間には体力的な限界がありますし、価格帯を上げるにしても市場の相場があります。「もっと稼ぎたい」と思っていても次の行動が思い浮かばない人は、労働時間をこれ以上増やすのも、価格帯を上げるのも、現状のままでは現実的ではないからこそ悩んでいるのではないでしょうか。

今回の記事では、月商10万円、50万円、100万円というマイルストーンに着目し、自身が月商を上げていくためにどのようなアプローチをしていったか、経験談をもとに解説します。

私はライターとして歩んできたので、本記事で解説する積み上げ方は成果物を納品することで都度対価をもらう、ライター、イラストレーターなどの職種を対象としたものです。コンサルタントやエンジニアなどプロジェクト・月単位の稼働が多い職種には当てはまらない内容だと思いますので、ご自身の働き方に合っている方はこのまま読み進めてください。

10万円の壁:継続案件の獲得を重視しよう

相場価格で継続案件を獲得することが最優先

まず月商10万円の壁を超えるためには、「相場価格かつ継続的な案件を複数獲得すること」を最優先の目標にしましょう。単発かつ不定期の案件や、相場よりも安い案件にリソースを割いていると、月商はいつまでも安定しません。

そういった案件は(収支計画上問題なければ)思いきって切り捨て、空いた時間をつかって継続案件に絞った営業活動をしてみてください。

継続案件の商談のコツ

このフェーズの営業活動のポイントは、長くお付き合いできるとアピールすることです。

継続案件の発注者は、できるだけ人員を入れ替えることなくその案件を安定的に依頼し続けたいと願っているはずなので、リソースの空き具合、コミュニケーションのとりやすさなどを商談でアピールできると効果的です。

最初の1件目が次の段階への足がかりとなるので、相場よりも安く請けることはおすすめしません。ひるむことなく、相場価格の見積りを出しましょう。それが通らないのであれば、自身のレベルには見合わなかったのだと判断し、次の商談に進みます。

よく「挑戦させてもらえるなら、安くても引き受けたい」という意見を聞きますが、その挑戦は安定した月商を得られるようになってからです。順序を間違えないようにしましょう。

複数の継続案件を確保して安定を目指す

相場価格の継続案件を1件獲得できたら、類似領域で案件数を増やしていきます。1件目で通った条件、継続的に積みあがっていく実績を元に営業すれば、2件目以降はスムーズに商談が通りやすくなります。

月10万円の仕事を1件獲得するのもひとつの手段ですが、安定性を優先するのであれば、月3~5万円の仕事を5件程度かけ持つのが理想です。たとえどれかの契約が切れても、月商が0円にならない状況を、単発案件に頼らず維持できることを目標にしてみてください。

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次のステップに向けた実績の蓄積

そしてこの複数案件で積み上げられる実績は、次の「50万円の壁」を超えるために、なるべく多角的にまとめておいてください。ジャンル、価格帯、担った役割、月の稼働量などの項目ごとにそれぞれの案件における自身の価値を可視化しておくと、ポートフォリオ作りに役立ちます。

また、それぞれの案件で学んだこと、自分が得意だと感じたこともメモしておきましょう。私の場合は「取材して書く記事のほうが手戻りが少なく、クライアントからの評価が高い」「ビジネス系の依頼はほかと比べて原稿料が高い」「原稿の自由度が高い案件のほうが、提案力を活かせるので自身の強みを発揮できる」といったメモを残していました。

このメモをベースにすると、どんな領域で自分が仕事を増やしていくべきか、自然と見えてきます

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50万円の壁:実績を活かして高価格案件を獲得しよう

ポートフォリオの作成がカギ

安定した継続案件を複数回せるようになると、月商50万円の壁が見えてきます。そして月商50万円の壁は、「高価格案件の獲得」を目標にすることで超えられます。このフェーズで最も重要なのは、適切なポートフォリオを作ることです。

それまで多角的な視点でまとめてきた実績を、ポートフォリオに落とし込みましょう。たとえば、「スピード重視のクライアント向け」、「質の高い成果物を求めるクライアント向け」「〇〇ジャンルに特化したクライアント向け」というように、相手に何をアピールするかによってポートフォリオを作り分けると商談を有利に進められます。

ポートフォリオには全部の実績を並べるというのもよく見る手法ではありますが、数が多ければクライアントに刺さるかと言えば、必ずしもそうとは限りません。相手が求めるものを提供できるということを、いかに伝えるかが重要です。私の場合は一覧をWeb上に公開し、実際の商談では相手に応じて作り分けたポートフォリオを提出するようにしていました。

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ポートフォリオを武器に、高価格案件の商談に挑む

このポートフォリオを武器として、今までよりもレベルの高い案件に、やや高価格の見積りを出してみましょう。通らなければ、相場を見ながら適切な価格帯に調整します。

相手のニーズを捉え、商談を通じて信頼を勝ち取ることができれば、多くの場合、やや高価格の見積りでも通ります。

既存案件の価格見直し

また、既存案件の価格帯の再交渉も、相手との関係性を見ながら挑戦してみましょう。非常に難しい交渉ではありますが、クライアントが人手不足に困っているタイミングで交渉すると、比較的通りやすいです。

価格を見直していただくことで、さらに業務範囲を広げ、御社に貢献できます」などといった提案を添えると、双方にとってより良い条件へとブラッシュアップできる機会になります。

また、クライアントが予算を検討している期間も、交渉に適しています。いずれの手法も今までの信頼関係を元手に交渉するので、成果物にご満足いただけているか、日ごろから温度感を探るようにしましょう。

紹介案件の増加

ちなみに、月商50万円の壁が見えてくる頃になると、紹介案件も増えてきます。私の場合、月商50万円前後で安定してきた頃からは、紹介によってほぼすべての新規案件を獲得してきました。

日ごろの業務でしっかり満足いただけていれば、お世話になっているクライアントを通じて新しい案件が舞い込んできます。営業を通じた出会いでは、互いの相性がいいかどうか、ご契約いただけるかどうかは商談してみなければわからないので、自身の強みを理解してくださっているクライアントからの紹介による案件獲得の割合が増えたほうが、より月商が安定していきます。

ポートフォリオを武器とした高価格帯の新規案件獲得、既存案件の価格見直し、そしてクライアントを通じた紹介案件の獲得。これらのピースがうまくはまると、月商50万円の壁を乗り越えられます。

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100万円の壁:提供価値を変えていき、チームを作っていこう

企画やディレクションなど上流工程へのシフト

最後は、100万円の壁です。フリーランスの月商としては、100万円の大台が一区切りというイメージがあります。というのも、この壁を乗り越えるためには、「提供価値の見直しとチームづくり」が必要になってくるからです。

ここまでの道のりは、あくまで「個人が提供できる成果物の価値をいかに高めるか」が月商アップにつながってきました。

しかし、個人の労働力の限界と相場価格のボーダーラインを考えると、100万円の壁を超える直前あたりで「もうこれ以上は厳しいかな」と感じ始めます。ただし、これは適切な労働時間や相場価格は職種によって異なるものなので、あくまでライターとして自身が感じた限界です。

100万円の壁が見えてくる頃になると、いち成果物を提供するだけでなく、その上流にあたる企画やディレクション、コンサルティングといった領域でも、活躍できる可能性が広がり始めます。今まで自分が積み重ねてきた経験が、ほかの形でサービスにできるのではないか、と検討するイメージです。

クライアントからも「あれやこれも相談したい」といった要望をいただくことが増えてくるので、自分で計画してサービスを創っていくというよりは、自然と業務範囲が拡大していくような流れが生まれ始めます。

チーム体制の構築

そうすると、上流の戦略を練る業務に対して相応の見積りを出すことができるようになります。これでまた月商はぐんと上がりますが、一方で、その戦略を実行するためのリソースが足りない状態に陥るはずです。

企画やディレクションといった業務と、それを実行する諸業務をすべてひとりでやるとなると、クライアント数を絞らないと時間が足りません。ここで初めて、チームづくりの必要性が出てきます。

自身が獲得した案件を、誰かと協力して完遂する。今までとは異なるゲームを始めることになるので、このフェーズは一番過酷だと思います。プレイヤーとしてやり続ける業務と、新たにマネジメント側で始める業務が重なるので、私の場合は業務量が急増してしまい、あらゆる悩みを抱えることになりました。

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法人成りを視野に入れる

信頼して仕事を頼める仲間がほしい。自分自身のマネジメントスキルも伸ばさなければならない。そもそも自分の提供価値って何だろう。クライアントにとってどういう形のサービスがいいんだろう……。

そんなことを悩み始めたら、もはや個人事業主ではなく、法人になったほうがいいかもしれません。というのも、法人成りしたほうが自身が仕事を頼む相手との業務委託契約を結ぶ際の信頼性が増したり、上流の業務を直接契約で引き受けやすくなったりするからです。

もちろん、フリーランスのままチーム体制を築いたり、ディレクションを務めたりすることに問題はありません。ただ、仕組みづくりや新規事業への挑戦といった新しい課題が出てくると、法人成りしておいたほうがやりやすいことも多々あります。

私の場合は、月商100万円の壁を超える前から法人成りし、試行錯誤しながらチーム体制を作って進んでいくなかで、その壁を超えていくことができました。そして私の「宿木屋」という会社は、ライティングを軸としつつディレクションやMVV策定といった業務も引き受け、小数メンバーで互いの強みを活かしながらプロジェクトを進めていく体制に落ち着きました。

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100万円の壁:提供価値を変えていき、チームを作っていこう

10万円、50万円、100万円の壁は、それぞれ乗り越えるポイントが異なります。

  • まずは継続案件を獲得して足場をつくる
  • 次に実績を活かして価格帯を上げる
  • 最後に対応する領域や人的リソースを拡大することで事業そのものを安定させる

この3ステップは私の経験談に基づいたものですが、今回の記事をベースとしつつ、ご自身が目標とする月商までのキャリアプランを描いていただければ幸いです。

Workship

▲出典:Workship

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(執筆:宿木雪樹 編集:少年B)

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