エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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こんにちは。2021年7月にフリーランスライターからの法人成りを経験した、新米経営者の夏野かおるです。
フリーランスとしてそこそこ売上が上がってくると、法人化を視野に入れる人もいるでしょう。というか、そもそも「専業フリーランスとして食っていくからには、法人成りをゴールに据えていくぜ!」と決めて日々を過ごしていらっしゃる方もおられるかもしれません。
そうなると、気になるのが法人成りのメリットとタイミング。
何を隠そう私も、法人化前にはあらゆるメリット・デメリットをググりました。
「なんか知らんけど、税金的に有利?なのか?」
「なんか知らんけど、社会保険?に入らなアカンのか?」
ってな感じで。
結局、自分では判断しきれず、税理士さんと司法書士さんを頼って法人化したのですが……。半年経った今だからこそ、「税金以外にもメリットがあるぜ!」って話もできる気がします。
そんなわけでこの記事では、実際に経験した立場だからこそ語れる、法人成りのメリットとタイミングについてまとめようと思います。実際に税理士さんからいただいた提案やシミュレーション表などもズバンと公開しますので、似たような立場のフリーランスさんも、「いつかは法人化を!」と考えている方も、ぜひ参考にしてください。
フリーランスの編集者・ライター。コンテンツマーケティングやディレクション、マネジメントに仕事の幅を広げ、2021年7月に1人会社を設立。高等学校教諭一種免許状(国語)保有。京都大学大学院博士課程指導認定退学(博士論文準備中)。趣味はゲーム。(Twitter:@Natsuno_Kaoru)
※この記事は税理士監修のもと公開しています。 協力:竹内雄一税理士事務所
目次
そもそも、フリーランスから法人成りするタイミングって、いつが適切なんでしょうか。その答えは……
純粋に税金のことだけを考えるのであれば、利益(売上 − 経費)が900万円になったあたりで「法人のほうが確実におトク」になります(詳しい仕組みと具体的な計算はのちほどご説明します)。
ただ、これはあくまでも数字の話であって、結論は「人による」としか言えません。事業内容や従業員数、お住まいの自治体によっても変わりますし、そもそも、どのくらいリスクを取れる性格なのか?みたいな、ヒューマンな要素も関わってきます。
法人成りについて語ったこの記事でも書いたとおり、フリーランスから法人の代表になると、毎日の活動にプレッシャーがかかります。
「このプレッシャーがかえってやりがいになるぜ!」という(私みたいな)性格であれば良いのですが、どうにもプレッシャーが苦手で……という方なら、最悪の場合、心身の調子を崩してしまうかもしれません。法人成りで節税するはずが、思うように働けなくなり、減収になってしまうリスクもあるわけです。
そう考えると、電卓をはじいて機械的に「900万円以上なら法人がおトク!」と言い切るのは危険かなとも思います。この記事では法人成りのメリット等を事実ベースでご説明しますが、鵜呑みにはせず、ご自身でもいろいろと調べてみてください。加えて、専門家や家族、身近な友人にも相談することをおすすめいたします。
監修税理士からのひとことコメント:
法人成りのタイミングは人それぞれです。それこそ、「法人成りしたら社会保険に強制加入でしょ? 社会保険なんてこの時代、信用できない! 払うだけ損!」という価値観の方もいらっしゃいますしね。
それを踏まえて私の事務所では、利益が400万円を超えたら一度シミュレーションしていただき、税負担や社会保険料負担、仕事上のメリットデメリットを考慮して決定することをおすすめしています。ぜひお気軽にお近くの税理士事務所をたずねてみてください。
と、前置きをした上で、「じゃあ夏野はどういう決断をしたの?」を公開していきます。
まずは具体的な数字をお見せしますが、2020年の収入は566万2553円、所得は407万9431円でした。いや、「900万円を超えたら検討」ちゃうんかい。
ただ、これはあくまでも「2020年」の話でして。法人化を検討していた2021年3月あたりでは、「今年はもうちょっと上がるだろうな」という感覚がありました。具体的には、+200万円(収入750万円)くらいになってもおかしくないなと。かつ、法人化することで、ディレクション/マネジメント系の業務も受託できるようになりそうだな、と感じていました。
このような事情があったことから、「100万円以内の損失であれば、『機会に投資した』と納得できる」と気持ちを整理。その上で、税理士さんに法人化シミュレーションをお願いしました。その結果がこちらです。
これはどういう試算かというと、2021年の収入が900万円、経費は10%と仮定した上で、個人事業主/法人(社宅あり)/法人(社宅なし)の3パターンを比較したものです。
このシミュレーションによれば、それぞれの手取りは、
個人事業主……469万1千円
法人(社宅あり)……511万2千円
法人(社宅なし)……477万7千円
ということが分かりました。個人/法人がちょうどトントン。積極的な節税ができる分、法人化したほうが多少はプラスかな?という水準ですね。
ただ、900万円(75万円/月)というのはあくまでも試算。っていうか、この時点では「そんなん無理ですよ!」くらいの気持ちでした。もう一回言いますけど、2020年の実績は566万2553円ですからね。ここから伸びるとは限らないし、なんなら「2021年の実績は300万円でした! ぴえん」の可能性も捨てきれないなあと思っていたくらいです。
実際に税理士さんからも、「シミュレーションはしたものの、あと100万円くらいプラスになってから法人化しても遅くないのでは」とのアドバイスをいただきました。
それでも踏み切ったのは、ハッキリ言えば、29歳だったからだと思います。20代最後の冒険、的な。これが33歳だったら、あと1年くらい様子を見ていたかもしれませんね。
そんなわけでいよいよ、事実をベースに法人成りのメリットをまとめます。
なお、ここで挙げるのは一般的なメリットで、「事業承継がしやすくなる」など、今のところ私の会社には関わりが薄いメリットについては触れていませんのでご注意ください。
個人事業主(フリーランス)の所得には、所得税と住民税、事業税の3つが課されます。一方で法人の収益には、法人税、地方法人税、住民税、事業税の4つが課されるようになります。
個人の所得税は、利益が増えると税率が上る累進税率となっています。それぞれの所得に応じた税率は以下の表のとおり。それに加え、一律10%の住民税と、事業税(業種によっては非課税、もしくは3~5%)がかかります。
課税される所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超 330万円以下 | 10% |
330万円超 695万円以下 | 20% |
695万円超 900万円以下 | 23% |
900万円超 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
監修税理士によるひとことコメント:
ちなみにこの累進税率の計算、けっこうややこしくて、たとえば所得が950万円だった場合、単純に「950万円×33%」が課税されるわけではありません。「195万円までの部分は5%、195万1円〜330万円までの部分は10%、……」と、段階的に課税されるシステムになっています。
たとえば所得が950万円の場合は……
195万円×5%
+(330万円-195万円)×10%
+(695万円-330万円)×20%
+(900万円-695万円)×23%
+(950万円-900万円)×33%となります。
よく、900万円を境にグッと税率が上がる(23% → 33%になる)ことを「900万円の壁」と呼んだりしますが、実際のところは、900万円を超えた部分にだけ33%の税金がかかるので、「急激に税金が上がった!」とは感じづらいかもしれませんね。(※個人の感想です)
閑話休題。
法人の利益にかかる法人税は、額に関わらず23.2%です。しかもこれは大法人の話で、資本金/出資金が1億円以下の中小法人の場合、税率は「800万円以下の部分は15%、800万円を超えた部分は23.2%」と軽減されるきまりになっています。
……ちょっと漢字が多いのでカンタンにまとめると、「ちっちゃい会社は、利益が800万円を超えるまでは税率15%でカンベンしといたるわ」ってことです。年間800万、たった一人で稼ぐのって結構大変ですよね。そう考えると私を含め、だいたいのフリーランスは法人税率15%の対象だと考えて良いと思います。
さて、ここでミソとなってくるのが、個人の所得税との差です。仮に、個人事業主(フリーランス)としての所得が800万円だったとしましょう。このままだと、330万1円〜695万円の部分には20%、695万1円〜800万円までの部分には23%の税金がかかりますね。
ところが法人化すると、800万円までは税率15%ですし、それ以上に稼いだとしても、税率23.2%で済みます。それこそ、「900万円の壁」を突破するころには、相応の節税になることでしょう。
おまけに法人化すると、もろもろの節税策も活用できるようになります。どうでしょう、法人成りがおトクな理由が少しずつ見えてきたでしょうか。
監修者(税理士)によるひとことコメント:
ちなみに、法人にかかる住民税率は(個人事業主の住民税が一律10%なのに対し)自治体によって異なります。税率は、利益800万円までの会社の場合、おおよそ25%~30%程度となることが多いです。(※厳密には、事業税の関係で0~400万円と400万円~800万円の2段階に分かれています)
こういったことも考え合わせると、「有利/不利が分かれる金額」が一概に言えなくなってきます。そもそも、自治体によって税率が違うわけですからね。「できれば専門家に相談を」とおすすめしているのは、このような事情からなんです。
個人事業主(フリーランス)の確定申告にはいわゆる白色申告/青色申告があります。このうち青色申告は、帳簿がちょっと難しい代わりに、65万円の特別控除(e-tax利用の場合)を受けることができます。
控除=課税対象から外してもらうこと。払うべき税金が減るわけですから、ありがたい存在ですね。
ただ、逆に言えば、個人事業主(フリーランス)としてやっている限り、どんなに几帳面に帳簿をつけても65万円しか控除してもらえません。おトクになる金額は、所得税額にして13万円ちょっと。1ヶ月1万円くらいです。
一方で法人成りすると、最大195万円の給与所得控除を受けることができます。つまり、個人事業主の3倍もの額を控除してもらえる計算になるのです。
しかもこの給与は、法人の利益(税金がかかる!)から差し引くことができます。
するとどうなるか?
という、二段構えの節税ができるのです。
しかも、です。条件を満たすことにより、フリーランスの憧れの存在、「ボーナス」まで受け取ることができます。どういうことなのか、具体的に見ていきましょう。
法人の役員には、以下の3パターンの報酬が認められています。
(1)定額同額給与
(2)事前確定届出給与
(3)利益連動給与
このうち、(1)定額同額給与はいわゆる「お給料」。毎月同じ金額を受け取る、アレです。そして(2)事前確定届出給与が「ボーナス」にあたるのですが……1人会社の場合、一般的な「給与」「ボーナス」とは事情が異なります。どういうことなのかご説明しましょう。
先ほどご説明したとおり、法人成りの節税スキームは、「利益=給与」になるように給与を設定してしまうことで、見かけ上の利益を0円にし、法人税をできる限り安く済ませようとするものでした。
ただ、ですよ。もしも給与額を毎月フレキシブルに変えられるしくみだと、「毎月の売り上げに応じて、毎月給与額を変えちゃえばいいじゃん。そしたら永遠に利益ゼロ!」ということになってしまいます。国からしてみれば、たまったものではありませんね。
そのため役員の給与は、「はじめに決めたら、その期のうちは変えられない」ことになっています。私の会社では給与を35万円、手取り29万円に設定しているのですが、仮に何らかの奇跡が起きて、毎月1億円ずつ転がり込んできても、手取りは変わらず29万円です。12億円がヌルヌルと税金に消えていくさまを、指をくわえて見ているしかありません。
これと同じことがボーナスにも言えます。給与が固定でも、ボーナス額を自由にいじれるようにしてしまったら、またしてもズルいことができてしまうからです。
そこで役員のボーナスは、「法人設立から2ヶ月以内に、支給日・支給額を税務署に届け出ておき、1円のズレもない金額を予定通りの日に支給した場合に限って、経費と認める」ルールになっています。ボーナスはボーナスなので、業績によっては「支給しない」選択肢がある分、給与よりはフレキシブルですが……。やっぱり、ズルいことはできない仕組みなのですね。
さて、この仕組みを踏まえると、役員の給与はこのようにして決めるのがよいそうです。
ステップ1. 売り上げに対する悲観的な予測/ポジティブな予測を立てる
ステップ2. 悲観的な予測をもとに、定額同額給与(いわゆる給与)の額を決める
ステップ3. ポジティブな予測 − 悲観的な予測の差額を事前確定届出給与(いわゆるボーナス)にしておく
ちなみに、私の事前確定届出給与は100万円に設定しました。100万円!!! 夢みたいな金額ですね。想像しただけで心拍数上がってきました。
しかも、なんと驚き、節税策はこれだけではありません。さらに見ていきましょう。
個人事業主(フリーランス)の場合、自宅の家賃や光熱費を経費にするには、割合に応じて按分する必要があります。
たとえば、以下のような計算です。
4部屋あるうち、1部屋を仕事部屋にしている
= 4分の1(25%)ワンルームに住んでおり、平日のみ仕事をしている
= 7分の5(約71%)
一方で法人化すると、按分の必要はなくなり、「役員社宅」として経費にできます(※ただし全額ではありません)。会社名義で物件を借り、最低限の金額で「役員に転貸している」名目にすることで、かなりの部分を経費にできるのです。
ちょっと分かりにくいので、私の実例をご紹介しましょう。
私は、埼玉のちっちゃな2LDK(=4部屋)のアパートに住んでいます。家賃は10万円ちょうどです。
このうち1部屋を仕事部屋にしているため、個人事業主(フリーランス)時代は4分の1にあたる2.5万円を経費にしていました。
一方で法人化後は、10万円のうち8.5万円を経費にできるようになりました。その差、なんと6万円! 年間72万円もの大金を、新たに経費計上できるようになりました。
このほかにも節税策はいろいろとありますが、代表的な節税策はこんな感じ。どうでしょう、だんだんイメージがつかめてきたでしょうか。
さて、ここからは事業に関するメリットです。
事業で赤字が出た場合、個人事業主(フリーランス)なら3年まで赤字を繰り越すことができます。
といってもWebライターのような業種だと、そもそも赤字になりづらいため、「赤字を繰り越すって何?」と思われるかもしれませんね。少し詳しく説明しましょう。
たとえば、昨年100万円の赤字が出て、今年100万円の利益が出たとしましょう。
「繰り越し」がない=各年度それぞれを切り離して見ることになりますから、このままだと、普通に税金を払うことになります。
一方で「繰り越し」があると、昨年の赤字を今年の利益で相殺する形となり、今年の利益は0円に。儲かっていないのだから、税金もかからず、納税額は0円で済むわけです。「繰り越し」さまさまですね。
(※分かりやすく単純化しています。法人化した場合、いかに赤字でも法人税の均等割を支払う必要がありますので、厳密に言えば0円ではありません)
ここで、個人事業主(フリーランス)の赤字は3年まで繰り越せると書きましたが、法人の場合、9年(事業年度によっては10年)も赤字を繰り越すことができます。
「お前が何を知ってんねん」って言われちゃうかもしれませんが、世の中の事業って、3年で結果を出せるものばかりではありません。それこそメディア事業だって、収益が立つまでに数年かかることも少なくないです。あれこれやっていると、3年なんてあっという間に経ちますよね。
そう考えると、9年(or 10年)も赤字を繰り越せるのは、チャレンジの幅が広がってありがたいなと思います。いや、速攻で黒字化できるのが一番理想的なんですけどね……。
これも、「そもそもお世話にならない方がいいんだけどね」系のメリットです。
事業で何らかの損失を負ったとき、個人事業主(フリーランス)は全額個人でひっかぶる必要があります。最悪の場合、自己破産もあり得るでしょう。
一方の法人は、あくまでも出資金の範囲内でのみ責任を負う(有限責任)と決められています。今や出資金は1円でも構いませんから、極端な話、1円失ってハイおしまい。というわけです。
と、ここで。「なんだって! じゃあ銀行から5000兆円借りてメチャクチャしてやるぜ!」と考えた人もいるかもしれません。落ち着きましょう。世の中はそんなに甘くありません。
残念なことに、歴史の浅い中小企業の場合、銀行から融資を受けるには、社長個人が連帯保証人になることを求められることがほとんどだそうです。
言い換えると、「会社が倒産しても、社長のあなたが自分の資産で払ってね」というシステムになっています。結果だけを見るなら、個人事業主時代とさほど変わらない責任を持つ必要があるでしょう。
(※事業内容や決算書によっては、連帯保証人なしで借りられる場合もあると言いますが、実際のところはわかりません)
と、このように条件付きであるとはいえ、です。「ミスったら自己破産だ!」か、「ミスったら出資金がパアだ」か。あなたなら、どっちが気楽ですか?
おそらくですが、後者と答える人が圧倒的に多いでしょう。いわば気持ちの問題で、「会社と個人は別人格」と思えるだけでも、事業のプレッシャーが多少緩和されると思うんですよね。これに限らず、法人化のメリットって意外と「気持ちの問題」が大きいなあと思います。
というわけで、ここからは私の感じた、個人的なメリットも挙げていきます。
法人成りの経緯について説明したnoteを公開し、「2020年の収入は566万2553円、所得は407万9431円でした」と書いたところ、「たったそれだけの売り上げで法人化するの?」という意見も当然いただきました。いや、そうですよね。自分自身も、税理士さんからいただいたシミュレーションを見て「微妙なところだなあ」と感じました。
それでも法人化したのは、「これを起爆剤にして、どんどん仕事をいただけるようになるぞ」と決意したためです。実際に、法人化してからは仕事の幅が大きく広がりました。具体的に言うと、12月の売り上げは昨年対比4.5倍でした。(ここから外注費をお支払いするので、まるまる利益ではありませんが……)
こういう結果になったのは、もちろんアシスタントさん・クリエイターさんに一部業務を委託できるようになった(制作体制を拡充した)ためでもあると思うのですが、一番は「応援してあげよう」と思ってくれる方が増えたからではないかと考えています。小さな会社でひいひいやっている人間に対し、世の中はけっこう優しいみたい。これが一番の発見でした。
日本の年金制度は、原則として「夫婦の片方がサラリーマンとして働き、もう片方が扶養される」スタイルで組み立てられています。ここから外れる個人事業主(フリーランス)のセーフティネットは、残念ながら貧弱と言わざるを得ません。
この図を見てみましょう。会社員である第2号被保険者は、国民年金+厚生年金保険の2階建てとなっており、希望すれば、確定拠出年金・iDeCoの3階建てにまですることができます。
一方、フリーランスを含む自営業者(第1号被保険者)は、何もしないと、国民年金のみの1階建て。希望すれば国民年金基金、もしくはiDeCo(※)を追加して2階建てにできますが、それでもたった2階建てです。
※国民年金基金とiDeCoは併用できますが、上限金額は増えないため、3階建てになるわけではありません。2階部分に、部屋が2つできるだけです。
もちろん、最近では働き方の多様化に伴い、フリーランス向けのさまざまな支援制度も登場しています。以前と比べれば、フリーランスのセーフティネットは充実してきたと言えるでしょう。
フリーランスの支援制度って会社員と比べてどうなの?ITフリーランス支援機構に聞いてみた
Workship MAGAZINE
ただ、それでもフリーランスにとって「公的年金はじめ、社会保険が少ない」ことは2022年2月時点において揺るがない現実なわけで……。
法人となり、強制的に国民年金+厚生年金保険へ加入させられることにより、ある程度ホッとできるのも事実でした。所定の手続きを踏めば、退職金制度も設けられますしね。
最後は本当に気持ちの問題なのですが、まだまだ世の中、会社員として働いている方が多いので、「フリーランス」という働き方について説明するのが難しいときがあったんですよね。
その代表例が実家の父で、正月に帰省するたびに、
「お前は今、何して生活してんの?」
「フリーランスでWebのいろいろやってる」
「フリーランス? つまりフリーターか?」
「いやフリーターではなくて、あれよ、自営業みたいなやつ」
「自営業? っちゅうことは店でも構えとるんか」
「いや店っていうか、普通に家で仕事してるけど」
「どういうこっちゃねん!?」
みたいなことになります。ちなみに父は最近、ExcelのSUM関数(足し算)を知ったそうで、「お前、サム知ってるか!?」「サムは便利やぞ!」と何度も自慢してきます。
ところが法人化するとですね、
「お前は今、何して生活してんの?」
「会社やってる」
「ほお〜!」
これで終わりです。これまで「東京に出ていって、インターネットで何かをしているプータローまがいの娘」だったのが、「大社長」にランクアップですよ。
ここでは極端な例を挙げましたが、結局、これが「社会的信用が増す」ってことだと思うんです。そう考えると、ビジネスとはいえ人と人とのコミュニケーションですし、仕事の上でもメリットがあるかもしれません。
ただし、法人化した直後は、あらゆる友人から「ヨッ! 社長!」とイジられます。覚悟してください。
というわけで今回は、法人化を考えるタイミングとメリットについてまとめました。ただ、最後に、究極に個人的なメリットを述べると、「腹が据わった」ことだと感じます。
私が法人化したのは20代も終盤の29歳で、博士号を取るのかドロップアウトするのか、仮に博士号が取れたとしてテニュアトラックを目指すのか民間に就職するのか、民間で働くとしてフリーでやっていくのか就職するのか……などなどの悩みを抱えていました。
ところが「法人化」という結論を選んだことにより、「会社作ったんだから、もうやるしかないんだよ」と覚悟が決まりました。結果、以前にもまして仕事に打ち込むことができ、売上も立つ……という好循環が回るようになりました。
世の中、事業に失敗したくらいで命までとられるわけではありません。精一杯頑張って、ダメだったら廃業して別の道を行けばいいだけです。「フリーランスになって、売り上げもそこそこあるけど、いまいち専業でやっていく覚悟が決まらん」という方は、法人化という形で気合を入れるのもアリかもしれませんよ。(あ、もちろん自己責任でお願いします)
(執筆:夏野かおる 編集:少年B イラスト:あずさ 監修:竹内雄一税理士事務所)
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